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放置自転車の処分

大阪市で、放置自転車を条例で定められた期間より前に撤去等していたことが明らかになった。

大阪市 放置自転車2200台以上“不適切撤去” 約150万台も調査

その数2,200台以上というから、相当長期間にわたって同様の対応を行なっていたのだろう。

「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律」において、撤去後の自転車は市町村長が保管しなければならないとされている。

市町村長は、駅前広場等の良好な環境を確保し、その機能の低下を防止するため必要があると認める場合において条例で定めるところにより放置自転車等を撤去したときは、条例で定めるところにより、その撤去した自転車等を保管しなければならない。

自転車法第6条第1項

が、大阪市のプレスリリースには以下の記述があるので、もしかすると保管期間を経ずに廃棄してしまったのかもしれない。いずれにせよ、調査は継続して行われるようなので、続報に注目したい。

調査の結果、不適正事務による放置自転車の撤去及び処分に係る自転車の所有者様に対する賠償(対象・賠償基準・額等)については、今後検討を行います。

報道発表資料 放置自転車撤去業務における不適正事務について

「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律」(通称「自転車法」)は、市町村長に対し、放置自転車の撤去・保管・処分の権限を付与している。これは、私有財産権との衝突でもあるため、慎重な手続が法に規定されている。

①市町村長は、条例で定めるところにより撤去した自転車を保管し、その旨公示する。
②公示日から相当期間経過しても返還できない場合で、保管に不相当な費用を要する場合、自転車を売却できる。
③売却しても買受人がない、又は売却できないと認められるときは、自転車を廃棄することができる。
④保管に不相当な費用がかからない場合は、保管を継続し、公示の日から起算して6月を経過すると、自転車の所有権は市町村に帰属する。

といった具合である。
撤去した自転車に対して「保管に不相当な費用を要する」という判断は、(トラブルを避けたいという観点から)現場ではなかなかしづらいだろう。畢竟、保管期間は長期化し、自転車の摩耗も進み、返還を希望する者も日に日に減っていくことになる。

不届きな職員に対しては然るべき処分が下されるのだろうが、法律の「使い勝手」を向上させるという視点も、必要なのではなかろうか。

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