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「レズギンカ」をご存知か?

まえがたり

アンコールの解説やってる団体って、今まで1回だけ見たことがあります。
なかなか珍しいというか、そこまでやるんかい!という感じがします。
そこまでやりますよ。

アンコールの特性上、これはお客さんが演奏を聴いた後に読んでもらう文章になるわけです。
普通の曲紹介と違って、聴きどころとか書いても「それ聴く前に教えてや」ってなるんで、あんまりアンコールの解説というのは見たことないと思います。
ネタバレはよくないですからね。


というわけでレズギンカ、楽しかったですか?
これを書いている時には、本番の演奏がどんな仕上がりになっているのか分かりませんが、たぶんテンションMAXの爆演だったことでしょう。

演奏が終わってしまった曲の中身に言及しても、あまり文章として効果をあげれそうにないので、今回は「レズギンカ」という踊りについて、どんなものなのか紹介してみたいと思います。

しかし終演後であることを承知の上で、あえて聴きどころというか見どころに言及するとすれば、やっぱり「スネアのお兄さん」じゃないですかね。
キレキレのアドリブリムショットが炸裂してたのではないでしょうか。

この曲は「スネアのおっさん」の愛称で知られる、モスクワ放送交響楽団の首席打楽器奏者、アレクサンドル・サモイロフ氏の演奏があまりにも有名です。
こうはならんやろ。


レズギンカってなに?

今回のアンコール、バレエ音楽「ガイーヌ」より レズギンカ(A.ハチャトゥリアン)でございましたけれども、なかなかド派手な曲でしたね。

レズギンカというのは、あまり馴染みがないかもしれませんが、東欧のダンススタイルの一種になります。南欧のフラメンコとかと似たようなイメージでしょうか。
コーカサス地方の山岳民族の舞踊であり、そこに住んでいたレズギ人の踊りという意味で「レズギンカ」という名前が付けられています。

黒海の東側がコーカサス地方。
ルーマニアとも近いんですね〜。

この踊りには、主に男性のソロで演じられる場合と、男女のペアダンスで演じられる場合などのバリエーションがあります。

男性の個人演舞では、しばしば剣技を伴うことがあり、どうやら肉体の強靭性や持久力を誇示することが目的の「ダンスバトル」的な側面も持つようです。
肉体の限界に挑戦していそうなオススメのレズギンカの動画があるので、良かったら見てみてください。超かっこいい。


ペアダンスとなると男女の振り付けの対比が面白く、各々に特徴が見られます。
男性はつま先立ちや膝立ちなど、様々なステップを取り入れつつ、ジャンプやスピンを多用した大胆な振り付けで勇猛さをアピールします。
対して女性は流れるようなステップで、主に上半身の動きからなる流麗な振り付けが印象的です。

レズギ人は自由の象徴としてを重要事しており、レズギンカの中にも鷲を思わせる両手を掲げるポーズがしばしば現れます。
特に男性が鷲を、女性が白鳥を模して踊るという説もあり、鳥類の求愛行動をモチーフとした、求愛の舞踏であるという見方もできます。

アルメニア・バレエ団の公演映像でも、これらの特徴がよく現れているのが分かりますので、こちらも合わせてぜひどうぞ。


あとがたり

この演奏会では、「ペールギュントとさまざまな女性たち」「ショスタコーヴィチとエルミーラ」というように、ちょっと複雑な男女の関係性が裏テーマでした。
ここに求愛の舞踏がアンコールとして加わるのは、なかなかどうして粋なことではありませんか?


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