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公転周期

「春のうららかな日差しが一筋の光となり、皆様のお心に希望の花が咲くことを願いつつ迎えたこの日に、ご来賓いただき、誠にありがとうございます。」


暖かい陽気と晴天の空に包まれた今日、サークル活動に節目を迎えた。

1年の春、期待と不安、いいや、絶望と落胆を胸に新歓のチラシを握って一人降り立った朝霞の地。遅れて行って、キャンパスがわからなくて通りがかりのおじさんに聞いたことを覚えている。

あれから4年、キャンパスではなかったが同じ朝霞の地で、駅前のローソンの裏で、共に歩んだ友人とこれからを担ってゆく新しい顔ぶれに別れを告げた。

1年の夏合宿で同じパートの先輩に恋したことや、その時聞いていた6月の曲、あの人たちと憧れの環境で演奏できる喜びに走って帰った日、2年の人生で3本の指に入るくらい緊張した本番、悔しさに泣いた夜や、夏の終わりに見た会場の煌めきと翌朝の知らない人からの心躍るLINE、3年の秋に友達と集まってこれからについて話したこと、心細かった日々、4年の問題だらけでスタートした秋や喧嘩して仲直りした冬と、最後は楽しいと言ってもらえた演奏ができた春待つ日、生きてるって思えた、暗い夜道でかけてもらった言葉、クリスマスの次の日のスカイツリーの最上階。

同じサークルの中でも、4年のうちにたくさんのことがあって、新しく知った曲がたくさんあって、すごく嬉しい言葉も落胆する出来事もあって、メンバーも入れ替わって、季節が何度も巡って、毎日のように会っていた時期も全く会えなかった時期もあったけど、ずっと私はここにいました。

公転周期 地球でいえば、それがほとんど4回巡る間に、たくさんの音楽が過ぎて行ったね。

春は、April in Paris 体力勝負に勝てた日。

夏は、Ugetsu あなたに恋した日。

秋は、Time Stream 時の流れ。ずっとやりたかった最後の曲。

冬は、Hark the Herald Angels Sing 三拍子をひらすら追いかけた日。

ドアを開けてからずっと寄り添ったあなたと、共に手を取り合って進んだあなたと、流星のようなあなたと、きっと出会ったたくさんのあなたのほとんどが、Fly By(回る星々が重なり合っては離れゆく様)であるとしても、この想いは一生あり続けるでしょう。形を変えながら、ふとした瞬間思い出すでしょう。きっと、ゆず塩つけ麺の湯気を嗅いだ時なんかにね。

さようなら、あの坂、あの橋、あの部屋、あの音。これからは武蔵野線の車内で過ぎゆくのを見送る駅になるけど、またいつか降りたてるように。そのときはどんな私になっているかな。








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