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Haru 3

はると私は、高校ではクラスが分かれたが、私が中学生のころから通っていた塾にはるがやってきてたため、一緒に帰ったりすることはあった。最寄り駅も同じであったため、降りるときも一緒だった。しかし、それまでと変わらず、私とはるはつかず離れずな距離を保っていたように思う。

高校1年の冬に入るころ、私は一人の男の人に恋をした。出会いは高校近くの古びた映画館の出口だった。「君、よく図書館にいるよね?持ってたテキストでうちの高校の人なんだって、思ってたんだけど。」緑と青のチェック柄のジャケットを着て、にやにやとこちらを見てくる。彼はしばらく前から地元の図書館で私の姿を幾度か確認していたらしい。しかも、同じ塾にも通っているみたいだった。いわれてみれば、見たことのあるジャケットのような気もした。彼とは帰りの電車も同じであったため、話しながら帰った。彼は私の最寄りの一つ前の駅で降りて行った。話しかけられたときは見知らぬ人だったけれど、家に着くころには、ずっと頭の中にいる人になっていた。

時間にルーズな私は、いつも始業ぎりぎりの電車で学校に行っていたのだけれど、その年の冬は数学の補習で朝が早かった。いつもより2本前の電車に乗ろうとホームにかけ出ると、はるがいた。「いつもこんなに早いので行ってるんだね。」私が言うと、「そうだよ。」と、はるは答えた。そして、冷たい空気をかき分けながらやってきた電車に、2人で乗り込んだ。次の駅で停車した時、ホームの奥の方に、彼の姿が見えた。私がその姿を目で追っていると、はるは少し顔をしかめてこういった。「あの人、この前突然話しかけてきたんだよ。アカペラ部の子だよね?って。急に隣に座ってきてさ。驚いちゃうよね。」なんだ、誰にでも話しかけるんだ、と少し残念に思うも、一層彼のことが気になってしょうがない、もっと聞かせてほしいと、思った。それからというもの、私は補習のない日もそのいつもより早い電車に、しかも彼と同じ車両に、乗るようになった。

つづく

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