閉じられて

俺は今まで何をしてきたのだろう。

なんのために、何を続けてきた?

 自分を過信していた。なんとかなるだろうと思って日々を貪ってきた。
 ふと自分を見ると、行き先を失った、もう大人になってしまった人間だった。 前を向いて歩いている奴らを笑っていた。自分を表面的な理論武装で守り、誰かより一段上にいる気でいた人間は、誰よりも下にいた。ほら、こんなにも笑える人間が一番身近にいたじゃあないか。

「声だけ」で理想の像をかたどっていた人間は、姿を現すと誰よりも矮小だ。誰も見ないでくれ。放っておいてくれ。一人にしないでくれ。

 この数年、自分に向き合ってきたか?孤独を、受け入れてきたか? いや、違う。
 俺がやってきたのは、孤独からの逃走。弱い自分から目を背け、顔も知らない他人に心血を注ぐ?注いですらない。浅瀬で妄想ごっこを続けるのは、さぞ居心地がよかったことだろう。

本当にグロテスクな自分、醜く、どうしようもない本性を、ひた隠すためにグロテスクを演じてきた。自分すらもパロディ化してみせた。
気づけば、自分はどこにもいない。  

それとも、まだ夢の中なのかい?
  
 ファンタジーの中に逃避し続ける人間は、かわいそうに。現場から目を背け続けて、いくつになっても、本当の意味で孤独のままだ。

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