イルカと泳いで

20230612 イルカポリス ライブ

鶴舞駅を出て、高架沿を伝っていけば"k d japon"という小さなライブハウスがある。
開演の30分ほど前に着くと、すでに狭い店舗内は賑わっていて、酒を飲んだりカレーを食べたり、談笑したりしている人々の群れ。

NALUCKと川本真琴のおっとりとしたパフォーマンスを聴き、良い雰囲気で場が盛り上がったところで、派手な奴らが出てくる。

何度か派手なやつと店内ですれ違ったのでもしかしてと思っていた奴ら。動画では見たけど実際に見るのは初めてだったのですぐには気づかなかった。

ガーリィでポップな衣装のgt.vo Marcoはきれいだった。お化粧をして着飾っているから?うん、それもある。でもそれ以上に、日本でライブするのをワクワクしている旨の発信を事前に行い、ちゃんとがんばって日本語を勉強してきていたのが愛くるしい。 MCは我々がわかるようにと、英語や中国語をほとんど使わずに翻訳明日を駆使しながら一生懸命伝えようとしていた。

彼女は、一生懸命だ。当然、それだけじゃない。歌のうまさ、破天荒なパフォーマンス、インストの絡み合いの中でも映えるジャキジャキのバッキングもいい。だけど、やっぱり最終はその人間性が人の心を動かす。


とにかく良い夜だった…素晴らしいライブだった。

終演後に外で立っていたらメンバーたちが出てきて、一服しながら談笑している。自分は当然混ざれずに、何となく別に吸いたくもないタバコを横で吸う。

若者がそのうちメンバーに寄っていき、写真を撮っている。
なぜか自分は踏み出せない。

知らん人とイルカの写真だけを謎に2枚も撮ってあげたタイミングで、メンバーは中に入って行った。

帰ろうかと思ったが、ちょうど良い電車がなかった。
そうだ、グッズのTシャツを買おうと思っていたけど、現金がなくて買えなかったんだ。時間もあるし、お金をおろしに行って戻ってこよう。

戻ってくると、TシャツはSサイズしか残っていなかった。やはりみんなパフォーマンスに感動して、衝動買いしていったのだなあ。

仕方なくきれもしないSサイズの真っ赤なTシャツを購入して、まだフロアで片付けをしている出演者を横目にそそくさとライブハウスを出た。

なんかこのまま帰るのも寂しく、ライブハウスの横でまた1人タバコを吸う。

しばらくするとメンバーがまた出てきて、談笑している。仲良いんだな。

俺も中国語が喋れたらなあ。一緒に混ざれるのに。
そんなこと思いつつも、実際中国語が話せてもその輪に入りに行句ことなんてできないことを半分知っている。


最後にメンバーに、もう一度「せんきゅー!イルカポリス!またきてね」とだけ言いたかった。言えなかった。

何のリスクもないのに、なぜか一言挨拶することができずに、吸いかけのタバコを捨てて無愛想にその場を去った。

自分の中には、幸せな余韻と、空虚な感情が同居したままその日が終わった。

ありがとう、イルカポリス。

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