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アルプスの少女ハイジとラクレットチーズ

 1997年、日本で初めて行われた「ナチュラルチーズコンテスト」。その晴れの第一回で最優秀賞を受賞したのが、共働学舎新得農場のラクレットチーズが選ばれた。当時、その農場でチーズを作っていたが、その反響はすごいものがあった。
 世の中で、チーズと言えば、やっぱり、雪印や明治などの大手が主流になっており、農家が作ったチーズを日の目を見るのは、まだまだ先の話と思われていた。しかも、チーズはまだまだ一部の人の食材であり、みんながチーズを食べるという習慣はなかったのだ。
 それが、マスコミで大きく取り上げられるようになる。アルプスの少女ハイジのおじいちゃんが、茹でたじゃがいもに、暖炉にラクレットチーズをかざして、トロトロをかけて食べるシーン。そのイメージもあって、ラクレットチーズは忽ち、注文が殺到するようになった。
 しかし、共働学舎新得農業は、心身にハンディキャップを持った人たちが集まり、自給自足をしている場所。様々な人が、清掃したり、包装したり、単純労働も含めて、みんなで勝ち取った「ラクレット」。今や、農産品のチーズが、おしゃれな食材としてテーブルを彩るものになった。ハイジの笑顔が一緒に浮かぶ風景だ。

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