見出し画像

富良野塾

 北海道富良野を拠点に創作活動をする倉本聰氏が運営していた「富良野塾」。全国から、脚本家や俳優になろうという若者が富良野に集まり、日中はほとんど農家で野菜の収穫に汗を流し、へとへとになったところで、夜に目的の勉強がある。慣れない農作業、共同生活による人とのぶつかり合い、そして疲労困憊の中で、叱咤され、自分の能力や可能性と向き合う日々。
 「北の国から」や、最近テレビを賑わした「やすらぎの刻~道」など、どれも人の心に残る作品だ。その日本を代表する脚本家の倉本氏から、学べることは光栄だが、挫折して富良野を去った人も少なくない。最後までやり遂げた富良野塾の塾生が行う演劇はどれも、心に沁みるものだった。『谷は眠っていた』、『今日、悲別で』、『ニングル』など何度も通った作品も多い。
 北海道の真ん中で、極寒の富良野はスキーやメロンでは知られていたが、観光客が来るようなところではなかった。「北の国からがテレビで上映されたら多くの人が来ることを覚悟して欲しい」と倉本氏は言っていたという。実際に、今やおおくの人が訪れる観光地となった。
 富良野塾に入る前に、教えられる文章がある。新しい生活を求められる今の私たちに、何か伝えているかのようだ。

 【富良野塾起草文】
 あなたは文明に麻痺していませんか。
 石油と水はどっちが大切ですか。
 車と足はどっちがたいせつですか。
 知識と知恵はどっちが大切ですか。
 批評と創造はどっちが大切ですか。
 理屈と行動はどっちが大切ですか。
 あなたは感動を忘れていませんか。
 あなたは結局何のかんのと言いながら
 我が世の春を謳歌していませんか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?