見出し画像

士業って専門家?

士業は専門家ではないかもしれない、という話です。

私は今まで社労士事務所、行政書士事務所で仕事をした経験があります。また、税理士事務所でも数か月働いたことがあります。事務所の内情と、仕事を通じて知り合った先生方とのお付き合いを基にした感想です。
これはあくまで私の経験した範囲での話です。しっかりなさっている先生方が大半だと思います。こういうこともあるんだな、という程度に読んでいただければいいと思います。


条文が読めない

行政書士や社労士の先生は、法学部以外のご出身の方も少なくない。なので、条文読むのが苦手な人が少なくない印象。大阪会の偉い先生は条文読め読めって人がけっこういらっしゃるけど、末端までそうかといえば、そうではない。
行政書士や社労士程度なら、試験はテキスト丸暗記すればどうにでもなるので、試験勉強通じて条文読む訓練もできていない。

ちなみに、労働法や労働基準法って民法の特別法なのに、社労士試験では民法やらない。社労士の先生で条文読めない人はこれも原因の一つではないかと思っている。行政書士試験では憲法も民法もあるんだけど、めっちゃ簡単。簡単すぎる。

で、どういうことが起きるかというと

条文読んでいると遊んでいるとかマニアックとか言われる

笑っちゃうよね、これほんとの話だから。
もちろん何時間も条文読んで遊んでるわけじゃないよ。念のため元ネタ押さえておかないと落ち着かないじゃん。

条文読まずに何を読んでいるかというと、手引きと同業の先生が作ったサイトと前回出した資料。法学部出身の人でも条文読まない人がいるけど、大丈夫?って思う。
お役所の作った手引きは当然読まないといけない。それにプラスして条文に当たるのも当然じゃないかと思う。

法改正があった時も

法改正があった時、改正内容をお客さんに説明するために文書を作ることがあるんだけど、その時も条文読まない。手引きと同業の先生が作ったサイトを見ている。
これで説明できるのはすごい。私は絶対できない。効率はいいよね。

ちょっと関係ないんだけど、5年前に軽減税率導入されてインボイス制度の概要が発表された時、インボイスやばくね?ってなってた人が条文読める人で、ピンと来なくて直前にあたふたしていた人は手引きを読む人なのかな、って思った。

マナー講師?

社労士の先生と話してる時に、マナー講師のような答えが返ってくることがあって、これはちょっとイラっとする。

条文はこう、判例はこう、けど現実にはなかなかだからねぇ、上手く立ち回るならこう、って言い方ならイラつかないんだけど、前半すっ飛ばされると、専門家なんだから条文なり通達なりで返してくれよ、と思ってしまう。
雑談だから別にきっちりした根拠でなくても、確か判例で、とか、通達があったと思うけど、くらいでいい。最初からマナーの話になってしまうと、法律読めない人なのかな、と思ってしまう。

かと言って、労災泣き寝入りさせられた時みたいに、会社側の時だけごりごりの答えもイラっとするんだけどね。

根拠条文

条文読めない社労士はヤバいんじゃない?という根拠はこれ。条文くらい読めずに法令に精通はできないと思う。
行政書士法と税理士法には法令に精通という文言はなかった。ハナから期待されてないってこと?街の法律家とか言ってる場合じゃないね。

社会保険労務士法
第1条の2 社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。

蛇足だが、弁護士法はかっこいい。さすが憲法にでてくる唯一の民間人だ。
司法書士法は社労士と同じ。なんか納得いかないな。

弁護士法
第2条 弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に精通しなければならない。

司法書士法
第二条 司法書士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。

実務ができればOK?

法令に精通していなくても実務に精通していれば仕事は回る。行政書士法には法律の勉強しなさいとは書いてないから実務の知識があればいいんじゃないか、という見方もできる。

だけど、こんなこともあるのよ。

実務の知識がなくても受任する

行政書士の先生は業務として記帳ができるので、何件か受けておられたけど、簿記ができない人だった。
どれくらいできないかと言うと、事務所の記帳も私がしていたんだけど、事業主勘定を使うと「僕は借金なんかしていない!」とキレる。毎年よ。事業主貸、事業主借の「貸」とか「借」が気に入らないらしい。
これでよく記帳を引き受けているもんだなあと感心していた。社会人の嗜みとして簿記の3級や2級くらいとる人も多い。仕事として請け負うなら勉強すべき。

確かに行政書士法では
第11条 行政書士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことができない。
となっているけど、なんでも受任するのは無責任で安易ではないかなあ。他に得意な先生を紹介するべきだ。

記帳以外にもなんでも、ほんとになんでも受けていたけどね。

事務員に丸投げしている

行政書士事務所では、全くやったことのない分野の仕事は事務員に丸投げ。先生が苦手な分野の仕事も事務員に丸投げ。
社労士事務所でも丸投げがけっこうあった。
税理士事務所では、年末調整前にはレクチャーがあったけど、それ以外は特になし。
概ね自分で調べて、って感じだった。

士業の事務所の事務員は資格をとっている人もいるけど、無資格の人もいる。前職で関係のある仕事をしていた場合もあるけど、そうでない場合もある。

これなら自社でやるのと変わらないんじゃないかと思う。まあ、普通より数こなすからちょっと詳しくなるっていうのはあったけど、それでもね。

専門知識など求めてられていない

行政書士事務所の仕事のうち、建設業については事務員さんにお客がついて、事務員さんが転職や独立すればお客さんがついていってしまうことがある。

つまり、先生の専門知識にお金を払っているのではないのだ。事務員の実務の知識にお金を払っている。
建設業については、士業の先生は飾りなのか。

「80%?冗談じゃありません。現状でジオングの性能は100%出せます」
「足は付いていない」
「あんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ」

まとめ

内情を知ってしまうと、行政書士と社労士は専門家とは言えない場合も少なくないというのが私の今の結論。

もちろん立派な先生もいらっしゃる。が、残念ながらそれは少数かも。

最後に

AIの普及で仕事がなくなるかも、って最近よく見かける。
未経験の事務員に丸投げできるような仕事はなくなっていくかもしれないよね。業務独占の国家資格であっても。

この間高校生の公民(今は公共)の教科書見せてもらった。法律や政治の内容がめちゃくちゃ詳しくなっている。今後は社会全体の基準がこれになる。うかうかしていると、AIよりも先に高校生に負けたりして。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?