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【解釈】あの夏、歌の彼を「連れ出した」人

(この文章は一個人の解釈によるものであり、星の数ほどある解釈の1つとして受け取っていただけたら幸いです。皆で色んな解釈をして最高になりましょう。) 


 緑仙「夢追くんってそういうところをあんまり見せないというか、感情部分をあんまり見せないので、大人なので。どういう風に思ってるとかが、全然わからなくて。」  

あの夏、2019年の夏は、緑仙と夢追翔の関係において大きな転換点だったのではないかという解釈のお話です。 

 1. 夏までの2人

初見の方に説明させていただくと、緑仙(画像緑髪の方)と夢追翔(画像黒髪の方)は「にじさんじ」というグループに所属しているバーチャルYoutuberです。2018年6月デビューの緑仙は歌動画や企画等を積極的に行い、2018年9月デビューの夢追翔は「バーチャルシンガーソングライター」を名乗り日々活動をしております。

夢追翔がシンガーソングライターであるということは、本人の次に緑仙がよく知ってるのではと思うくらい、2人には音楽による繋がりがありました。
2018年11月に夢追翔の自作BGMを使用した企画配信を緑仙達が行っており、それ以降も緑仙の歌ってみたの音源・MIXの依頼や企画配信での音響周りのお手伝いなど、緑仙と夢追翔は「音」にまつわる依頼等でやり取りを行っておりました。

 2-1. 表舞台に「引っ張り出した日」

2019年の7月、夏。「にじロック」という大型歌リレーの告知とタイムテーブルの発表が行われました。夢追翔がリレーのトリであることがここで明かされ、またリレー終了後に公開予定の「ソラニン」の待機所の作成も行われました。
タイムテーブル作成は皆で色々相談した結果、決定は緑仙に委ねられたと以前配信で語っておりました。


8月2日ににじロックが開催され、トリを飾る夢追の配信枠にも1万人近い人数の視聴者が集まりました。 

夢追「こんなにね、大勢の人に歌を聴いてもらえるっていうことが中々ないなと」
夢追翔がリレー配信の最後を締める「ソラニン」を歌い上げた後、同じ曲がリレー終了後に7人歌唱の動画として公開されました。 

「ソラニン」、動画作成は緑仙が担当、歌い分けもそれに対応する漫画のコマ構成も、過去の歌ってみた動画を見るにおそらく緑仙が担当していると思われます。 

こちらの映像ですが、夢追翔の描写は徹底して影がかかっていたり背中を向けており、およそ前向きと取れない描写がされています。最後の描写を除いて、ですが。
最後の夢追翔のシーン、「さよなら それもいいさ」のコマも依然夢追はこちらに背中を向けていますが、彼の前方には光のような道が伸びています。それまでの後ろ向きな描写から、明るい未来を想起させるような描写が行われています。 

ここでキーとなるのが曲中における緑仙の描写のされ方です。実は緑仙が歌っているパートの描写は2種類あります。「パンダがいる(歌っている)」シーンと「緑仙が歌っている」シーンです。
実は曲中のほとんどが「パンダがいる」シーンであり、明確に緑仙が歌っていると描写されているシーンは1ヶ所しかないのです。その描写がされているのは1番のサビが終わった直後、夢追の次に緑仙が歌うシーンだけなのです。

 冬の夜、自販機の光から身体を背ける夢追のシーンの後、緑仙は暗い路地から光の差す所へ向かい、出てきたばかりの路地裏に視線を向ける動作を行います。夜闇の中たたずむ夢追の後に、暗い場所を抜け日の当たる場所に飛び出て、後ろの闇を振り返る緑仙。そしてラストの夢追の「後ろ向きながらも、光の道の方を向く」シーンの描写。 

緑仙は「にじロック」に、「ソラニン」にどんな思いを込めたのでしょうか。


​緑仙が夢追に「裏方」側の仕事を依頼するのではなく、緑仙らと共に企画を作り上げ、リレー配信という「表舞台」に夢追翔を登壇させました。
リレー配信にグッズ販売、7人全員歌唱の歌動画投稿という、大きな”音楽”の緑仙主導の企画で、バーチャルシンガーソングライターを名乗る夢追翔をトリという大きな役で表舞台に「引っ張り出した日」。

 2-2. 感情を「照らし出した日」

「初めて「le jouet」っていう名前でやっていきますって発表をした」
「その前からずっと3人でなんかやりたいって話はしていたんですけれども…僕って結構わかりやすくて、「がんばるぞ!おー!」って感じすごいするじゃないですか。でもなんか、…夢追くんってそういうところあんまり見せないというか、感情部分をあんまり見せないので、大人なので。どういう風に思ってるとかが、全然わからなくて、この時。」(2019年12月31日「【LIVE】新年ジャンプしません!2019年振り返り配信【にじさんじ/緑仙】」54:26~)

 「そもそも人間関係に対して一歩引いた目で見ちゃうタイプの人間だったんです。」(2020年1月11日「夢追翔ロングインタビュー 司会から見た”2019年のにじさんじ” | Mogura VR」) 

 緑仙は元々相手との関係に繊細な人間で、相手との距離感をどこまで行っていいのかわからない「めっちゃ気にする」タイプの人間だと配信で話しています。 夢追は前述の通り、人間関係に対して一歩引いた目で見てしまうタイプだとインタビューで答えています。

 緑仙は繊細が故に人間関係への踏み込みが中々できないタイプであり、夢追はそもそも人間関係に踏み込みをしないタイプであったための「どういう風に思ってるとかが、全然わからなくて」という緑仙の発言に繋がったと推察されます。
そのある種すれ違いに近い状態にあっても、加賀美ハヤトの加入から2か月経たないうちに3人で「le jouet」というボーカルユニットを発表しているので、3人ともle jouetとしての活動にかなり意欲的だったんだなというのが伝わってきます。  

「どっかのタイミングで、(夢追翔が)「頑張りたいんだよね」みたいな、「自分も頑張りたいんだよね」みたいな話を聞いて、「じゃあ今からやろう。マイクラ」っていうテンションで始めたマイクラだったので、本当に脳死です、本当に未定だった。」(出典元:上記記載緑仙の配信に続く)  

ここに出てくるマイクラというのは、8月24日の「新釈「注文の多い料理店」朗読してみた」の配信終了から一時間後にゲリラで始まった深夜のマイクラ配信のことを指します。 夢追翔が緑仙にこのような発言を行ったのは、緑仙の語り口調的におそらくこれが初めてであったと思われます。
夢追翔がこの感情を発露、吐露するに至った要因として考えられるのは、加賀美ハヤトという大型新人の加入、7/9に告知された幕張メッセで行われた「にじさんじMusic Festival」の開催告知、「にじさんじMusic MIX UP!!」のCDの発売告知、「にじロック」の開催や「le jouet」というボーカルユニットの結成等々…色々な大きな発表や出来事に、彼自身が強い刺激を受けたのだと推察されます。 また、その夢追の心を動かしたきっかけの中に、緑仙は間違いなくいるんだと思います。

 「注文の多い料理店」朗読配信終了後、通話越しに夢追の感情の吐露を受けてか、突発かつ4時間以上に渡り行われたマイクラ配信。 これは完全に筆者の私見なのですが、学校で仲の良い友人から今まで話してもらえなかった本音を聞けたのが嬉しくなって「今から遊びに行こうぜ!授業なんてさぼっちまえよ!」と言って学校を抜け出す青春モノじゃん…となりました。 

活動を通じて夢追翔に心境の変化があり、夢追翔の「心の奥底に隠れていた、または今まで形作られていなかった」ものが、様々な活動をきっかけに「表出」しました。
 人間関係を一歩引いて見ていた夢追翔が自身の気持ちを発露した、夢追翔の感情を「照らし出した日」。


3. 歌の彼と「連れ出した」人と

その後、緑仙と夢追翔は「Pretender」の歌動画の同時公開にle jouetの活動で月1ペースの歌動画の投稿や様々な企画配信など、精力的な活動が行われました。 

余談ですが、8月24日の時には「頑張りたいんだよね」と発言していた夢追翔が、10月2日の時には緑仙と「頑張ろうね」と話していたことが緑仙本人の配信にて語られています。「頑張りたい」から「頑張ろうね」に言葉が、意思が変化しています。
(2019年10月2日は幕張メッセにて「にじさんじMusic Festival」が行われた日です。この日は緑仙は出演者、夢追は現地インタビュアーとして参加しており、この会話はライブ終了後、会場からホテルへ向かうバス内で行われたそうです。) 

緑仙と夢追の関係をとても尊んでいます。

これを執筆している2021年1月現在において、2人はそれぞれ個々の活動に注力されており、拙い感想ですがそれぞれがとても格好いいなと思っております。
 

緑仙のYoutubeチャンネル
https://youtube.com/channel/UCt5-0i4AVHXaWJrL8Wql3mw

夢追翔のYoutubeチャンネル
https://youtube.com/channel/UCTIE7LM5X15NVugV7Krp9Hw


最後までお付き合いいただきありがとうございました。また、以前に別所でこれの原型となる文章を公開させていただいていたので、そちらをお読みいただいていた方にも大変感謝です、ありがとうございます! 
(この文章は一個人の解釈によるものであり、星の数ほどある解釈の1つとして受け取っていただけたら幸いです。皆で色んな解釈をして最高になりましょう!) 
(一部セリフを読みやすいようにカット処理等行っていますが、発言の意図は残したままの編集となっております)

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