仮面ライダーキバ 感想

仮面ライダーキバは、壮大な愛の物語だ。

キバは、大先生井上敏樹氏がメイン脚本を担当している。

キバを見る中で、改めて自分は井上敏樹氏の書く脚本が好きなんだと実感した。なんというか、男性像がかっこいいのだ。

様々な男性キャラクターが登場するが、その中でも次狼はダンディズムの権化のような人。「男の後をつける女はスリか片思い」って、最近のドラマではまず聞かないセリフだ。

そんな次狼と1人の女性をめぐり火花を散らすのは、過去パートの主人公である紅音也。ハンサムでキザで自惚れているプレイボーイ。そして天才的なバイオリンの才能を持っている。女性に目がなくて、いい加減だと思うところもあるけれど、芸術などあらゆる面で共鳴した相手とは、どんな相手であれ心を通わせる人なのだ。それがファンガイアだったとしても。

個人的には、「リプレイ:人間はみんな音楽」の「人間にはみんな音楽が流れている」というセリフが好きだった。

音也はその音楽を守るために戦うのだ。

1986年と2008年が並行して描かれているおかげで、本作の主人公紅渡の出自が徐々に明らかになる展開はワクワクした。

キバといえば、物語を語る上で恋愛模様も欠かせない。

音也と次狼とゆりの三角関係だったのが、徐々に音也とゆりと真夜の三角関係に変化していったり、音也にはゆりという存在がいながらも、彼の芸術を深く理解している真夜に惹かれていくところが人間の感情の揺れ動きをリアルに表現していて、人間らしさを強く感じた。ゆりの気持ちを思うといたたまれないけれど、真夜は本当に魅力的な女性。真夜に惹かれていく気持ち、ちょっとわかるかも、と思いながら見ていた。

ゆりは音也のことを思い自ら身を引くという切ない恋の終わりを迎えるのだが、ゆりはのちに呉服屋の男性と結婚し、恵と光秀という2人の子どもに恵まれる。

2008年のことを思うと、彼女もそれなりの幸せを掴むことができたんだろうなと思う。

ゆりは曲がったことが大嫌いな人だ。そんな彼女だからこそ、半端な気持ちで結婚したわけじゃないだろう。

ただ、彼女が人生の最期に自分の人生を振り返った時、1番に思い出す恋は音也との恋だと思っている。

そして渡の恋。渡が片思いしている深央という女性は2008年でのファンガイアのクイーンという衝撃。そして、幼い頃の幼馴染の大牙はなんとファンガイアのキングであり異父兄弟。

キングとクイーンという言葉からもわかるように、大牙と深央は結婚する運命にあるのだ。渡の恋は一筋縄ではいかず、秘密の三角関係に発展してしまう。

渡は人を騙して好きな相手と結ばれようとするような姑息な人間ではないし、大牙も基本的にはいい人だ。だからこそ拗れて行く部分があるのだが。

2人は同じ母を持つ者。ファンガイアのキングを争う者。渡が望む望まざるによらず、戦う運命にある2人なのだ。

でもラスト、2人で高め合いながらこれからも生きていけそうな希望があってよかった。

本当のラストシーン、恵と名護さんの結婚式。

なんだかんだ、固い絆で結ばれている2人だ。

名護さんも好きだ。真っ白というか、白すぎてもはや目が痛いくらい白い正義感を持つ人だけど、嫌いじゃない。嫌いになれない。いいキャラをしている人。

そんな2人の結婚式で満を持して渡がお祝いのバイオリンを演奏しようとしたら、22年後の未来からやってきたという渡の息子である正夫が出現。とんでもファッションの武田航平氏が登場。


このシーンだけ見ていたら「あれ、さっきまで見てたドラマと同じドラマだっけ??」となるくらい温度差があって見返すたびに驚いてしまう。

ラスト、大牙も駆けつけ、大牙、渡、正夫、名護さんの4人が並んで変身(正夫はキバ、渡はキバエンペラーフォーム)が見れたのはよかった。

本当いうと音也で見たかったと思うのだが、それは、キバエンペラーフォームとダークキバで1986年の世界で渡と音也が並んで変身するところ見れたので、自分の中では良しとしている。

それに次狼、ラモン、力も変身して、7人でライダーキック!!!という勢いあるラストも、ドロドロした割と暗い本編が続く中で、希望を感じさせるラストになっていた。

キバは、物語全体の主軸が愛だった。

親子の愛、そして、男女の愛だ。









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