2021年に読んでよかった本10選

はじめに

 きゅっぴーん!光ファイバーたんだお!早速ですが2021年に読んでよかった本を10選紹介しようと思います(シリーズものなどは1選にカウントするので10冊ではないです)。全部読んでない本も載せていますし、書評やオススメ記事というわけでもないので紹介は適当です。ご了承ください。あと並びはランキングではなく書名の五十音順です。

1. 『新しい電気回路』

 1つ目は松澤昭著『新しい電気回路 上/下』です。何の変哲もない電気回路の教科書のようですし、実際めちゃくちゃ奇異な内容の本でもありません。この本の良さは、内容がめちゃくちゃ充実していて電子回路への接続がスムーズになっている点です。なぜかフィルタ回路や分布定数系の扱いまで詳細に乗っていて、エレクトロニクスをやりたい人向けの電気回路の教科書として決定版なんじゃないかなと思いました。入学したてのB1とかが読むと数学で詰むと思いますが。

2. 『異世界迷宮の最深部を目指そう』

 なろう小説も1つくらい紹介しておきます。割内タリサ著『異世界迷宮の最深部を目指そう』シリーズです。一見すればわかりやすい異世界転生のチートハーレムもののように見えますが、本書はそうしたお約束展開はあまりありません。次々に困難と過去の因縁に直面させられる主人公が自分の道を追求するために必死にもがく冒険譚です。あとヒロインの過半数が高レベルのヤンデレです。興味があればまずWeb版からどうぞ

https://ncode.syosetu.com/n0089bk/

3. 『漢文入門』

 シンプルなタイトルですね。3つ目には小川環樹、西田太一郎著『漢文入門』です。はっきり言っときますが全然入門書ではなく、高校国語の漢文くらいは余裕でマスターしている人がさらなる高みを目指すために修行するための本です。本書の大半は選文とその解説に充てられており、解説付きの漢文をひたすら読んでいくことになります。難しい語彙・語法には適宜解説が付いていますが和訳もついておらず、ハードな演習書です。ちなみに半分も読んでないです。

4. 『源氏物語』

 4つ目は言わずと知れたウェイリー版源氏の翻訳です。何が凄いってこれ読めるんですよ。私も源氏物語が読みたいなと思って古典全集の源氏巻とか買って読もうとしましたし、谷崎訳とか寂聴訳とかも読もうとしたことがありますが、まあ読めないわしんどいわ長続きしないわけです。それがこのウェイリー版はなんと読める。それだけで凄いことなんですよね。人名や用語が英語化していて元の用語がよくわからなくなる点と和歌が散文に埋没しがちな点は気になる人は気になるかもしれません。1巻を読み終わったので2巻をそろそろ買おうと思っています。

5. 『現代システム科学概論』

 5つ目は木村英紀著『現代システム科学概論』です。「システム」を切り口に最適化・数理モデル構築・機械学習・ネットワーク・確率的信号処理・制御の6分野について入門的なことを述べたかなり盛りだくさんな本です。やや誤解を招く言い方ですが、計数のシステムでやってそうなこと総ざらいみたいな本かもしれません。上記の話題に少しでも興味があるような人で数学がある程度できる人にはおすすめですが、線形代数とB1レベルの解析学がおぼつかない人にはおすすめできません。私は一応全部読みましたが消化不良です。

6. 『手を動かしてまなぶ集合と位相』

 6つ目は藤岡敦著『手を動かしてまなぶ 集合と位相』です。集合と位相を勉強するには、定義をきっちり覚えたうえで愚直に練習問題をやって慣れることが大事だと考えているのですが、この本はまったくその通りの本です。問題の内容や解答がめちゃくちゃ丁寧で絶対に読者にわからせてやろうという心意気を感じる本です。なお私は半分くらいしかやってないです。

7. 『統計力学から理解する超伝導理論 第2版』

  7つ目は北孝文著『統計力学から理解する超伝導理論 第2版』です。いい本だと聞いたので買ったのですが、実際いい本でした。統計力学と量子力学の初等的な知識さえあれば量子統計の導入から始まってBCS理論までぶっ飛ばしていけます。超伝導の教科書にありがちな唐突に出てくる現象論や意味不明なギャップが全然なく、計算はかなり重いですが読みやすい本です。2/3くらい読んで放置しているので今年中に続きを読みたいです。

8. 『ものづくりの化学工学』

 8つ目は山口由岐夫著『ものづくりの化学工学』です。化学工学というのがどういう分野かわからない人も多いと思いますが、端的にいうとラボレベルで成立する化学現象を工場・プラントレベルにスケールアップさせる際に必要な技術の総体のことです。もっと率直に言うと混ぜ方・温め方・乾かし方です。化学工学は膨大な分野でありいくらでも教科書があるのですが、本書の良さは現象をモデル化して微分方程式を解くという率直なやり方をかなり追及している点です。モデル化に苦しんでいる人は本書を読むと何らかのヒントがあるかもしれません。

9. 『流体力学』

 9つ目は巽友正著『流体力学』です。入手困難で有名だった本ですが、最近重版されて入手できるようになりました。本書は1冊で流体力学のかなり広い分野を扱っている本で、分厚いのに記述の密度も高くてかなり読むのに体力を使います。正直なところ、買えたこと自体が嬉しくてあんまり中身を読んでいない(完全流体に入ったくらいまで)ので、あんまり説明する語彙を持っていないです。光ファイバーたんがかわいいので許してください。

10. 『論点・西洋史学』

 最後に紹介するのは金澤周作監修『論点・西洋史学』です。西洋史に関して様々な議論が存在する論点を一つ一つ紹介し、西洋史の様々な事項の理解を深めると同時に史学における問の立て方や議論の方法を学ぶことができる貴重な本です。高校世界史くらいの知識は前提となっているのでかなり読者を選ぶ本ですが、得るものが多いし面白いので興味がある人は読んでみてください。ちなみに2021年12月27日に『論点・東洋史学』も出版されていますが、未購入未読です。

さいごに

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