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勇者につける薬はない!

はい、どうも皆様。おこんばんわ。六畳間主義者藤冨 幹臣です。
はい。そうですね。今回も飛沫を投下します。勇者につける薬はない!というね、僕が深夜テンションで書いてしまったラノベ擬きですね。改めて読んでみた感想は―――

もうやだ死にたい。

でした。なんというか、あれですね。皆様に喜んでいただけるために精進します。

それではどうぞ!

第一話 ネカマと刺殺と果てし無い恨みッ!!

 岩手県中央部を北から南に流れ宮城県東部の石巻市で追波湾に注ぐ一級河川。北上川水系の本流であり、流路延長二四九km、流域面積一〇,一五〇km²は、東北地方の河川の中では最大で、日本全国では四番目の規模である。日本の河川としては勾配がかなり緩いことが特徴である、北上川。
 また、開運橋は、岩手県盛岡市にある北上川に架かる岩手県道二号盛岡停車場線の橋であるり。 盛岡駅と市の中心部を結ぶ重要な橋でもある。
 俺は開運橋中腹部で大盥六つ分の涙を流していた。
 大人気MMO『グロース・ブレイバー・オンライン』というオンラインゲームにてネカマに騙されたのだ。

「なにがッ、今度会いましょうだよッ!! なにが好きになってくれたら嬉しいですっ♡だよッ!! 馬に蹴られろ!!」

 なにが同じ北上人ですね! だよ。ふざけんなよ。なんで俺なんだよ、ネカマ死ねよ!! ぜってえゆるさねえ。

 そんなことを考えながら歩き出すと、きゃぁぁという悲鳴。聞いたことある声だナー。まーた、男吹っ掛けて逆上されたんだろ、勝手に犯されろ(面倒臭い奴)

 助けてえええ助けてえええ

 うるさい。こちとらあんたの所為で傷心中だ。

「あんたなんか、大ッ嫌いだ」

 俺―――衿種一恵という生き物は阿呆なのかもしれない。…いや、どちらかというと馬鹿なのだろう。

「おいッ」

 自分を騙した人間を

「お前ら、何やってんだ……」
「衿……種…く…ん……」

 脇腹から血を出している。嗚呼、こりゃヤバイ。事件性バリカタやないかい。

「救急車。おいジジイ、救急車呼べ」

 マンションの四階から窓を二センチほど開け此方にスマートフォンを向けていたジジイに向かってそう言うと、「俺ぇ!?」みたいな顔を向けてスマートフォンを耳に向けた。

「はぁ……はぁ……お前も、この男の仲間かぁ!!」
「被害者だボケナス。殺していいなら俺も殺すわ」
「この男が嫌いだ……擁護する奴も嫌いだ……ッ!!」

 めんどくさ。騙されたら泣いとけよ。殺すとかマジ考えられない。

 そんなことを考え踏ん張ると屁が出て、あと声を漏らすと思いっきり刺された。
 ねえ? 漏れてたらどうするの? 最近下痢気味だから気になるんだよね? だからさ、死んでたときにショックうんこ野郎とか言われたらどうすんの? 呪うぞ、キャラ説明一切無しキャラ名[パッと出の刺し魔]ァ!!



「―――そんなこんなあって、たしかこの世界に来たんだったか。懐かしい。昨日のことのように思えるよ」
「そりゃそうだよ。昨日のことだもん」
「それにしても。このクズ一回死んでも全然改心しないのな。もっかい死んでこいよ」
「満面の笑みで……」
「ご逝去あそばせ」
「どんだけ僕のこと恨んでるの」
「バベルの塔くらい」
「超恨んでる!?」
「ちがう。バベルの塔建設に使う煉瓦の角の数くらいだ」
「果てしなく恨んでる!?」

 あたりめえだろクソヤロウ。
 あーあ、勇者とか、めんどくせえ。

第二話 バカな勇者の自己紹介ッ!!

「……んん?」

 隣ではてなマーク強烈な声がし、目が覚めた。
 纏まらない思考を働かせ、視線を前に向けると、複数人のローブを着た男達が何やら此方を見ていた。

 なんだこいつらは。ちくちくと涙を流した心寂しい俺にだけ見える幻か? はたまた死神か?

「ここは……」

 声のしたほうに目を向けると四つん這いになって、頭を掻くあのクソヤロウが一人。

 一体どうなってるんだろう。訳がわからない。
 さっきまで……開運橋近くの街中で……刺し殺されて……ッ!!

 俺は腹を触った。傷がない。今まで全部夢? どちらかというと今の方が夢のような気がするのだが。

 レンガがつまれ、白く塗られたような大きな壁。足元に大きな魔法陣のようなもの。
 なんとなーくファンタジーな感じ。
 これは…。

「死後の世界という奴か」

 いささか面妖である。死ぬのはなんとあっさりとしたものだ。あれ、思い出せない。すっごく痛かった記憶あるのに。刺し殺されて痛かったくらいしか…。ちくせう。なんかとても恐い。

 で、問題はこの飛蚊症かくや視界に浮かぶ半透明なアイコンよ。なにこれ、なんとなく『グロース・ブレイバー・オンライン』略してグロブレみたいじゃん。アイコンのデザインとか。

「……とにかく、やばい。早く帰らなきゃ(使命感)」

 とにかく帰らなきゃ。今ならまだ間に合う気がする! 帰りたい! 帰らせて!!

「勇者様方!!」
「はい?」
「うるせえ、帰らせろ。おっと失礼。はい?」

 異口同音(断じて違う)で口を開いた(?)。

「その言葉にはいささか理解に苦しむところがありますが」

 俺がそう言うと、ローブの男の一人仮にAとする。Aが前に出てきた。

「我々にもいろいろな事情があります故……」
「その事情を話してください?」

 クソヤロウがそう言う。苛立たしいがこれに関しては同意見。

「え? その……」
「なんですか、ここは。いきなりさらうような真似をして。いかなる手段に訴えかけようとも、こちらの衿種という男がぶちのめしますよ?」
「なぜ俺だぁ!! 殺すぞぉ!?」
「落ち着いて衿種君。君は僕の夢に現れた正直言って糞に近い泥だ。使われてください」
「あーそっかあ。そういうこと? なに、死にてえの?」

 あれだ。こいつ、完全に夢だと思って強気に出てる。

「そっか。ちなみに痛みとかある?」
「わかるわけ無いじゃないですかごはっ!?」

 腹を思いっきりぶん殴ってやったわ。

「い、痛いッ!? 夢じゃない!?」
「うん。つーことで、俺お前のこと殺せるんだわ。死ぬ? それとも、黙る?」
「黙らせていただくとしましょう」

 こいつ反省とかしねえのかな。

「つーことで、話ぐらいは聞くので素直に話してください?」

 優しく問い掛けると、A~D辺りまで震え始めた。おいクソヤロウ、お前の所為で恐がられてるじゃねえか。

「じ、実は―――」

 ローブAの話を要約すると

・五百年前。魔王「フンッ! 私が来ましたよぉ!」
・四百年前。魔王「フンッ! また来ますよぉ!」
・十年前。 魔王「フンッ! また来ましたよぉ!」
・大陸各国「魔王来た? んだば、異世界から勇者三人くらい召喚すっべや」
・ローブ達「来たれよ異界の勇者達よ!」
・俺ら「そして輝くウルトラソウル!!」

 ということ。もっと簡単に言うと四百年前死んだ魔王が復活したから異世界から勇者呼んじゃった。テヘペロ☆

「なるほど……二人しかいないのは?」
「一人誤召喚して、地面に……」
「この下? マ?」
「恐らくは……」

 死んでるね、こりゃ。

「一応掘り返せますが……どうします?」
「グロく無い?」
「召喚魔法はその場に空間を作るので」
「ならいいか。掘って?」
「はい!」

 しばらくして、ゴボウみたいに長くてキノコみたいな頭をした『ザ・キモオタ』が出てきた。

「はて……小生は一体」
「小生……なあ、あんた」
「? なんだ、この野蛮そうなイケメンは。死ぬべきでは?」
「こいつ殺していい?」
「殺ッ!? ぷざけるなッ!! 死んでたまるかファ●クアップ!!」

 案外好きかもしんねえこいつ。なんかタイプが同じ。よく見るあれ。陰キャの皮被った陽キャみたいな感じ。

「三人揃った?」
「なんのことで御座るか?」
「異世界 魔王 召喚」
「なるほど、四百年前に死んだ筈の魔王が復活し、大陸が困り果てた挙げ句苦肉の策に小生等を異世界から勇者として召喚したんで御座るな」
「すげぇ、全部当たってる。超能力者かよ」

 待て、異世界ということはステータスがあるので御座るな?

「異世界=ステータスはちょっと無理矢理過ぎねえ?」

 視界に浮かぶアイコン度外視の意見を放つ二十一歳男性。

「視界にぼんやりと浮かぶ項目に目を向けてもらえれば……」
「あーうん」

 項目というかアイコンに意識を集中させると、ピロン! 気持ちいい音が頭の中で響き、半透明の板が出現した。

イッケイ・エリクサ
Lv1 EXP 00/15
SP 10/10
攻撃力・左 15 防御力・魔 10
攻撃力・右 17 防御力・物 10
装備 異世界の服
スキル 無し

 まぁ、物凄く弱いなー……ぐらいしか感想は無いよね。あとすごいなーどうなってるんだろーみたいな。

「それじゃあ、自己紹介しておきますか?」
「まずは小生からッッッパぁッ!?」

 ん? 肘で軽く小突いたら吹っ飛んだぞ? どうなってんだあいつ。防御力・物が1とか? いや、全ステータスオール1も、あり得るな。

「じゃあまず僕からですね?」
「死ぬかと思ったゾ」
「無敵かよお前」
「二行もあれば回復はヨユーで御座るッ!!」
「最強じゃねえか」
「ごほん! えー、僕の名前は柴田 浩介。十九歳、男です!」
「え? 男?」
「しかもクソヤロウだぞ、こいつ」
「反吐が出るッッ!!」
「大分好き勝手言ってますねえ……」
「あ、俺最後でいいから先やってくれや」
「承知したで御座る。小生、この世に生をもうけて約二十年! 名を蕎麦川 鰈なり!!」
「通訳お願い」
「僕は二十歳のそばかわ かれいといいますよろしくお願いします…だな」

 つーか、通訳いるほどでもねえだろ。なに、柴田って女子高出たの?

「まぁいいや。えーっと、名前を衿種 一恵。歳は二十一歳。生まれは日本・熊本。育ちの岩手。好きなものは読書。最近呼んでいたものはフィリップ・●・ディック氏の『アンドロイド』以下略。嫌いなものは詐欺など、人を騙すこと。北上に住んでは居るが大学は盛岡大学。北上川かくや大きな器、マリアナ海溝かくやの懐の深さの持ち主です まる」

 俺は聞いてないことまで言う男でもある。しかし、自己紹介にはこの上なく完璧だろう。俺の頭の回転の早さは無類なのだ。

「そこまで聞いておりません」
「ごめんね」

 極めて敗北に近い終了を修めることも多々あるが。