BONDの賃貸物件等費用の検証

BONDは東京都若年被害女性等支援事業(以下、「東京都支援事業」という)及び性暴力・配偶者暴力被害者等支援交付金(以下、「DV支援交付金」という)においてシェルターやステップハウス等の賃貸関係の費用の出入りが激しいことから、整理してみる。

Ⅰ シェルター関係費用の整理

(1)東京都支援事業

東京都支援事業では実施状況報告書で実際の支出報告をしているが、精度が非常に荒く個別の賃貸物件の費用を特定できない。このため、年度当初に提出する事業計画書から賃貸関係を整理すると以下のとおりであった。

東京都支援事業の賃貸関係費用(事業計画書より

(2)DV支援交付金

DV支援交付金はほぼシェルター関係費用であり、情報を整理すると以下のとおりである。

DV交付金の単体関係費用

(3)賃貸関係費用の統合

東京都支援事業とDV支援交付金の賃貸関係費用を統合し、時系列に整理すると以下のとおりである。なお、整理にあたっては賃貸費用や時期から東京都支援事業とDV支援交付金との対応を推定した。若草ハウスのR4の費用については別のシェアハウスの可能性がある。
なお、ボンドのイエの宿直人件費が不安定だが原因不明

賃貸関係の公金支出状況

Ⅱ 賃貸関係の問題点

(1)要綱との整合性

同じ時期、物件に東京都支援事業とDV支援交付金の双方から費用を手当されていることはなかった。実施要綱の以下の文書であるが「実施している既存事業」の時制がよくわからない。「過去に補助をうけて現在も継続している事業」なのか「現在も補助期間中で実施中の事業」なのか。

東京都若年被害女性等支援事業実施要綱

(2)R3.4Qの賃貸増の原因と検証が困難なデータ

R3年度は事業計画では賃貸料として288万が予定されていた。しかし、通期の実施状況報告書の使用量及び賃借料は578万円と2倍となっている。ボンドのイエの家賃負担の可能性があるが定かではない。
いずれにしても、実施状況報告書の荒い費目では実態が把握できないと共に、計画書から変更のある出費については事前の東京都との協議が必須と考える。トレーサビリティーのない事後報告は、2,600万の掴み金を与えているのと同じである。

(3)既往物件の活用情報や新規物件の適切性が不明

逐次新たな賃貸物件を契約しているが、東京都支援事業、DV支援交付金共に既存物件の稼働状況を把握しておたず、新規物件の必要性が検証されていない。

(4)就労支援用喫茶スペース

Ⅰ項での整理とは別に令和4年度には就労支援用の喫茶に1,000万の支出(賃貸関係で700万)が計画されている。しかし、事業計画書以外の詳細情報もなく東京都で支出の是非を検討した様子もない。委託事業として公金が喫茶経営に投入されるとなると、ぱっと思いつくだけで以下の検討が必要なように思う。

  • 喫茶スペースでの就業が自立支援となるのか、費用対効果は得られるのか

  • これだけ公金で負担をして近隣カフェの民業圧迫にならないのか

  • 利用者から費用を徴収すると考えられるが団体の収益となるのでは

  • 食材の調達等の透明性確保が必要なのではないか

  • 既存カフェとの連携(協力カフェには一定の補助)といった代替案はなかったのか

  • 委託事業であり都が衛生管理状況を把握しなくてよいのか

  • 返還の可能性がある保証金や耐久性のある備品を単年度契約で全額負担していいのか。

令和4年度 事業計画書

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