colaboの夜間見回りと仕様書について再検証
暇空氏のcolaboのアウトリーチ活動が仕様書にある週1回を満たしていないとの指摘に対してcolabo弁護団は「常設の相談室」との合せ技で満足すると反論している。
red氏のツイートも踏まえ、弁護団の説明が成立しているか検証してみる。
Ⅰ暇空氏の指摘と弁護団の反論
(1)「夜間見周り等」の仕様
夜間見回り等の仕様書の規定は以下のとおりであり、「深夜の繁華街巡視を週1回」又は「常設相談所での相談を週1回」となっている。
(2)バスカフェ実施回数と双方の主張
各年度の最後にcolaboが提出した実施状況報告書に記載の「夜間見回り等」の事業実績は以下のとおりであり、週1に対して6割程度の実施率となっている。そして、夜間見回り等としてバスカフェ以外の報告はない。
なお、平成30年度は事業が半年間である
暇空氏の指摘は、週1回(52回/年)を原則とした仕様について、6割程度の実施率では満足しないとするものである。これに対してcolabo弁護団は以下のように反論している。
仕様書にあるバスカフェ(深夜の繁華街巡視)とは別の「常設相談所での相談を週1回」を加えることによって仕様書を満足しているとの主張である。
Ⅱ 平成30~令和2年度事業の夜間見回り回数の検証
令和3年度事業から夜間見回り部分の仕様書が変わっている。令和2年度以前はcolabo弁護団が合せ技とした「常設相談所での相談」は夜間見回りとして認められてない。
以上より、合せ技を前提として仕様書を満足するというcolabo弁護団の説明は破綻しており、弁護団が仕様書を満足しないことを認めてることとなる。
Ⅲ 令和3年度事業の夜間見回り回数の検証
(1)仕様書の「または」の解釈
仕様書のアウトリーチ部分の文章は「または」で接続しており文章の論理構成は以下のとおりである。
・【深夜の繁華街巡視を週1回】OR【常設相談所での相談を週1回】
colabo弁護団の説明にあるような合わせ技の場合の文章は、論理的に以下でなければならない。
・【深夜の繁華街巡視】OR【常設相談所での相談】で週1回
文書の論理構造からしてcolabo弁護団のような解釈はできない。
(2)企画提案書及び事業計画書による拘束
令和3年度は企画競争にて事業者選定を実施しており、colaboも提案を行っている。アウトリーチについてバスカフェを週に1回程度実施することを提案している。
提案は事業者選定の根拠であり、履行義務を負うものとされている。別途常設の相談所で活動をするのは問題ないが、提案した「週1回のバスカフェ」の履行を代替することはできない。
また、colaboは受注後に提案書とほぼ同じ内容の事業計画書を提出している。仕様書に事業計画に拘束される旨が規定されており、同様にバスカフェを週に1回程度実施する義務をcolaboが負っている。
(3)colaboの認識
夜間見回りとしてcolaboはバスカフェしか実績報告しておらず、「常設の相談所」を夜間見回りとする認識はない。
Ⅳ まとめ
(1)一縷の望み
colaboの夜間見回りが仕様書というか契約を満足していた可能性は残っている。それは、東京都と協議を行い、東京都がバスカフェの補填として常設の相談所を承諾していた場合である。ただ、暇空氏の開示請求資料には協議簿や承諾書面が一切なく可能性は極めて低い。
(2)colabo弁護団への提言
残念ながら、仕様書の変更があったこと及び企画提案書や事業計画の拘束力(仕様書記載)を見落としている。常設の相談所による代替の都の承諾があったかどうかはcolaboに確認すればすぐに判明するであろう。ないことが確認できたら説明書の訂正及び暇空氏への謝罪が必要ではなかろうか。
(3)会計検査院
会計検査院は、仕様書等の文言等は厳格に解釈する。colabo弁護団の説明書に散見される牽強付会な解釈や都の承諾のない仕様書の逸脱は認められる可能性は低いだろう。
(4)仕様書の不備
令和3年度より、常設の相談所が「(1)アウトリーチ支援①夜間見回り等」の1手段として加えられた。若草のまちなか保健室を夜間見回りにカウントして若草プロジェクトを事業者にするためであろう。しかし、常設の相談所は「(1)アウトリーチ支援②相談及び面談」か「(3)居場所の提供に関する支援」の内容であり、決して「夜間見回り等」には分類できない。