WBPCの評価委員会で随意契約の議論はあったか?
Ⅰ 随契の手続きと事業者評価委員会
東京都では随意契約にあたり、合議制の委員会により随契の必要性等を吟味する等の内規が定められている。
若年被害女性支援事業のWBPCへの随意契約を行った福祉保健局は、受託事業者評価委員会で適格との判断をもって当該手続きを踏んだと主張しているようである。
しかしながら、事業者評価委員会では次年度契約に関する評価は目的としておらず、評価項目も当該年度の履行状況に関するものしかないの前回の記事での指摘のとおりである。
Ⅱ 事業者評価委員会に関する開示請求
事業者評価委員会で都の内規が求める「随契の必要性等の吟味」が行われた形跡がないことから、開示請求を行った。
(1)2種類の開示請求とその結果
具体な随契の記述がなく総体(雰囲気)として「随契の必要性等を吟味した」と福祉保健局が解釈し既往の資料を再度開示する可能性があったことから、より具体的に「随意契約の単語を使用した資料」も合わせて請求することとした。なお、都議会答弁等より「適格性」の単語の拡大解釈の危険があったため対象外とすることを明示した。
「随契」「随意契約」という単語を使用した資料はなく、既に判明している評価結果資料をもって「随契の必要性等に関する吟味を実施した」との開示結果となった。
(2)「随契」の用語を使わず随契の議論は可能か?
随意契約(随契)は国及び地方自治体の調達に関する法律で使用された用語であり同義語も存在しない。役所の発注事務に携わった経験がある人であれば「随意契約(随契)」という用語を使用せずに随契理由等を議論することは極めて難しいことはわかると思う。
福祉保健局は平成30年から5回の団体選定や契約手続きを行っているが、契約締結の起案文書、選定委員会、評価委員会の資料に一度たりとも「随意契約」との用語を使用していない。意図して使用しなかったとしか考えにくく、やはり「公法上の契約(類する契約を含む)」を随契とは別の契約と捉えていたのではなかろうか。
(3)令和3年度の評価委員会は議事録さえ作成してない
令和3年度の評価委員会の議事録は「白塗り弁当」さえなかった。議事録自体が存在しないと思われる。杜撰すぎる。
「随契の必要性等を吟味した」とする開示資料
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