diptyqueの感想4
最近、人生二度目の結婚を果たした。1回すら難しい結婚を2回できるので結婚の才能がある。(本当に才能がある人は離婚しません)
新居は築半世紀のクソ雑魚賃貸だが、私達にとっては愛の宮殿タージマハル、シャリマーぶちまけて太鼓でも鳴らそうかと思ったその時、夫が「芳香剤これでいいかな?」とこいつを机に3個並べた。
「ドンキで売ってて、これめっちゃいい匂いするんだよ」
結婚生活において重要なことは、脊髄反射でうっかり相手の感性を否定しないことだ。まだ人格が未熟だった頃は「毎日嗅ぐものなのに、こんなん家に置いたらテンション下がるわ」とか即言ってたと思う。
「これどこに置くの?」「玄関とか…」
まあ見た目はLUSHっぽいオーガニックさが無くもないから、パッケージ偏差値は39程度だろう。しかし、仕事から疲れて帰ってきたときに下駄箱で毎日目にするのがこれというのは……
BAIES(べ)ホームフレグランスディフューザー
すぐに我々はバイクを狩り、最寄りのdiptyqueへ向かった。
「お金は自分で出すから、高いルームディフューザー買っていい?」
パリのエスプリをきかせた店内に並ぶ、オーバル型のガラス容器……
これさえあればどこでも小洒落たアパルトメン。
ってなんか高い!!!(直球)
部屋の芳香剤に¥26,620(税込)って正気か?
だが、このステキなガラス容器に込められた<<<サヴォアフェール>>>(「伝統的な匠の技」といった意味のフランス語。ラグジュアリー界のフレーバーテキストにおける頻出ワード)を思えばそんなもんだろう。むしろ原価と上代が乖離すればするほど、下級市民の目には麻薬的な輝きをもって映るのだ。
以下、半年玄関に置いてみての感想。
・帰宅時の気持ちは上がる
・小さい玄関だと香りが強すぎる。12畳くらいの空間ならきれいに香りそう。トイレなら、武田信玄の便所レベルに広くないとNG
・ディフューザーと同じ香りの香水(ロンブルダンロー)が好きだったが、一切使わなくなった(好きな香水と同じ匂いを選ばないほうがいい)
もし自分が男で、結婚したばかりの妻が芳香剤に2万6千円もかけていたら、この人金銭感覚大丈夫かな?これから先やっていけるかな?と、かなり不安になるだろう。
次はLaboratorio Olfattivoのテアラメンタ(12650円)か、Rbowの本屋の香りがする骨壺(19800円)を使ってみたいです。
サテンオイル
お買い物するとサンプルで無限についてくるため、一度も本品を買ったことがない。コロンと丸いキュートな瓶、手が汚れないスプレーはとてもよいが、香りがアラビックヤマト。
かなり水っぽいテクスチャで、ペガサス・J・クロフォードみたいに脱色して毛先が広がりやすいわたくしの髪には、保湿効果はおろかスタイリングにも全く使えませんでした。私の負けデース。
リバイタライジングシャワージェル
Diptyqueは誕生日にキャンドルをくれる。年間お買い上げ額がでかくなるとくれるキャンドルもでかくなるので、70g→190gに成長した箱を「大きくなったねえ~~」と親戚のオバチャン面で撫でる喜びも味わえる。
そんな特典をゲットするために、誕生日に適当に買ったのがこのボディソープ。ディプティックのボディケアは、ハンドソープもサテンオイルも微妙なので正直期待していなかったが、案の定このシャワージェルもイマイチ。
蓋をツイストすると、蓋そのものに穴があいてニュルンと液を出せる点は、ギミックの楽しさで使用感ヨシ。シャネルのツイスト&スプレイも、本体をキュッと捻るとスプレーがガンダムみたいに登場してくるからテンション上がるよね。これやりたいがために使うまである。
ただし香りが完全にバスロマン。いやバスロマンが悪いって言ってんじゃないよ。1本¥7,260(税込)もするくせに、日本で500円そこらの国民的トイレタリー製品と香りが被ったのが不運だったとしか言いようがない。
ディプティックはんは「ベルガモット、グリーンマンダリン、ネロリハニー」と言ってるんですが、この絶妙に酸味のない柑橘と、もったりグリーンのアロマティックさが、日本の夏には重い。
シトラスに爽やかさを求める自分と相性がいとわろし。
CAFE(カフェ) クラシックキャンドル
かわいすぎ~~~~🥺🥺🥺🥺
ガラスにコーヒー豆が書いてある!!!シャンティには生クリーム、ビスキュイにはビスケットの絵が書いてあってほんまに神!!
パッケージ見た瞬間全部買う!!(池の水)ってなりました。
パッケージを開けた瞬間、煎りたてのポン菓子のような香ばしさが甘く広がり、ハッピーハッピー猫。火を灯さず置いておくだけでもかなり香る。
あまりにコーヒーの再現度が高いので、ずっと嗅いでいると、ビアレッティでラテを作りたくなってくる。灯す際はリアルコーヒーも必須。
もうすぐ使い切りそうなので、販売終わる前に買いに行かなきゃ……(まだ在庫ある?大丈夫??)
CHANTILLY(シャンティ) クラシックキャンドル
クリームの絵好きすぎる…🍦なんか湯気みたいでかわいいよね
香りはカフェシリーズ4種の中で一番好き!
クリームといえど、重さ甘さはほとんどなく、レモンをほんのり混ぜたメレンゲのような儚さ。火をともしてもそこまで部屋が甘エリアにはならない。
俺はビートに舌転がした Koolな風が吹く Hotな風が吹く 不思議な風が吹く
天使の羽か?ってくらいささやかな香りなので、本当に全力でフレーバーを楽しみたいときはグラスに鼻先を突っ込んで吸引する。
BISCUIT(ビスキュイ) クラシックキャンドル
みんな大好きロータスビスケット……ってこの感想JoMaloneのジンジャービスケットでも同じこと言ったわ。
JMのジンジャービスケットはバターたっぷりのしっとりクッキーで、こちらのビスキュイのキャンドルは、もっとスパイスが効いて全粒粉のザクザク感がある乾いた香りです。
これもシャンティと同じくらい好きだけど、嗅いでると超おやつ食べたくなって、アスケンにはとても入力できないえげつない行為に至ってしまうため封印している。
ちょっと乾いた墨汁のようなチクチク感もあり、写実的なグルマンでありながらルームフレグランスとしての落ち着き、シャープさも兼ね備え。
なんでこれ限定なんだ…恒常にしてくれ……
FRUITS CONFITS(フリュイ コンフィ) クラシックキャンドル
これ匂い玉じゃん!!!!!!
プラスチック製のもち麦みたいな玉を鼻腔に突っ込み、「本物のフルーツのにおいがする!」と喜んでいたあの頃……ランドセル背負って歩いた夕焼けの坂道を幻視するほどに、懐かしい香り。
フリュイコンフィとは、画像を見るにフルーツの砂糖煮みたいなものらしいが、そこまで煮詰めたような重さはない。このキャンドルから得られる印象は、子供の頃に友達の家で飲んだいちごカルピスの幻想、掴めそうで届かない夢の中の香りだ。
大人になってから飲むいちごカルピスは「砂糖(国内製造)、乳、いちご果汁、乳製品」の味がするが、子供の頃はそうではない。そのコップには確実に成分以上の魔法が働いて、うすピンクの輝きと芳香を放つ夢の飲み物としてそこにあったのだ。
いちごや洋梨が可愛らしく描かれたグラスを取り、キャンドルを嗅ぐ。
いい匂いであることは間違いないが、子供の頃の思い出……ケンカしたまま仲直りできなかった友達、買ってもらえなかったゲーム、自転車に乗れず一人走ってついていく隣町……いいことばかりではない、むしろ苦い思い出のほうが多い幼少期を思い出して辛くなる、精神的にビターな香り。
ちゃんとフランスに行って本場のフリュイコンフィを味わい、香りに対する記憶を上書きすればこのキャンドルを楽しめるようになる可能性……??
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そういえば、去年(2023)の夏にやってたアイス屋さんのイベント「UN AIR DE PARIS」に行ってきましたわよ。
このときは確か●万以上買うとオリジナルトートだかが貰えます! をやってたんだけど、置いてあるキャンドルやフレグランスが恒常の中の一部だし、イベント限定の文房具の鉛筆とかノート?(よく覚えてない)も意味不明な値段だったので買えませんでした。レジはガラ空きだった。
なお、今年もdiptyque丸の内でかき氷のイベントをやっていたので行ってみましたが、行くのが遅すぎて完全に終わってました。(会期見ろ)
PAPIER (パピエ) クラシックキャンドル
36度のクソ猛暑の中、光と影に二値化した二重橋前駅周辺の焼けたアファルトを歩き、やっとたどり着いたのに……
かき氷のケータリングカーはおらず、ノベルティのジュースも終わっていることを知った私は、地獄の門のように陰鬱に閉ざされたdiptyque丸の内の観音扉の前で打ちひしがれた。
もう欲しい商品とかないし、やみくもに入店しても冷やかして帰るだけになっちゃうしな……と思いつつ、ガラス戸から見える内装があまりにも美しい。関東最大規模の店舗という触れ込みが朦朧とした脳にチラつき、てか冷やかしになってもまず己の体を冷やしたい、キンキンのクーラーで。瀕死の旅人がオアシスに手を伸ばすがごとく、気づけばその重い扉を開いていた。
「ローパピエはお試しになられましたか?ボディウォッシュとヘアフレグランスも新しく発売しておりまして」
ローパピエって発売したの去年の3月とかじゃなかったっけ……?
一つの香りをバリエーションで永遠に擦りまくっていくのも、言い換えれば大切なクリエイションを持続的に盛り上げていくということ。
自分も1枚の絵をTシャツにしたりキーホルダーにしたりステッカーにしたりしまくってるからな。わかるぜ。
そんなとき、レジ脇に「PAPIER(紙)」「ENCRE(インク)」と書かれたキャンドルが素敵にディスプレイされているのを発見した。
「こちらは限定のキャンドルでして(パリ本国では恒常らしいのですが)、パピエはローストした胡麻の香りとミモザのパウダリーさが合わさって、ふんわりと落ち着いた香りですね」
香水のローパピエはムスクがスチールウールに感じられて苦手だったが、キャンドルの方は漂白した紙のパリッと感があって知的だ。
アンクルはタイヤのグミみたいな香りがして脳が考えることを拒否したのでよく覚えてません。
何がほしいですか? I need a paper それからレイバン もちろんビンテージさ
気づいたらパピエのキャンドルと、ついでにシティキャンドルのパリまで購入していた。かき氷食べて帰るつもりだったのに、どうして2万円も失っているのでしょうか?
make mo' paper paper paper お金はすべてを買えるけど 世界に一人だけの君と信じたいよ…
NORIKIYOの1日でも早い出所を祈りつつキャンドルを開封。
店頭ではコピー用紙の香りだなと思ったけど、生活感あふれる6畳間のベッドで嗅いでみると全く印象が変わる。これ……男の体臭や!!
くさい方のやつじゃなくて、きちんと清潔にしている人の汗。茹でたてのとうもろこしに近い、塩と穀物のアトモスフィア……人肌恋しい乙女たちにオススメ。
シティのパリはやっぱり、今まで買った全キャンドルの中で一番いい。
ジョマロのタウンハウスキャンドルのラベンダー&ラベージに若干似てるけど、タウンハウスは2万もするし、パリほどの感動はないので代用にはならない。
迷っている方は絶対に買え。買ったほうがいいと思います。
今回香水のレビュー一個もなかったな……
去年も今年も、年間通してローデゼスペリードばっかり使ってるので、特に新しくレビューを書くような香りがない。これが、一人の人と関係を深めていくということなんですね。チャラ男の皆さんは見習ってください。
お気に入りの香りが定まってきたこともあり、新しい香水を以前ほど頻繁には買わなくなった。
つか各ブランドにて年1の値上げが当たり前みたいになって久しい昨今、1000円も2000円もポンポン上げた値段に見合うだけの価値をアピールできてますか?
「今後もお客様のご期待に添えるよういい製品を開発邁進云々」みたいな挨拶でごまかしてるけど、ホンマに邁進してる? 値上げは風物詩だから売り方も商品説明も今まで通りで行くぜみたいな感じにしか見えない。
香水1本買うたびにもやしの摂取量がふえる下々系の民からすると、お前ら値上げするたびに値段に対する価値が下がりまくってない?という気持ちになっているのは確かです。
別に円高になっても値下げしないし、従業員の給料をバリ上げてるわけでもないし。
そんな中、世間の風潮に逆行して値下げをしたピュアディスタンスが気になっています。写真がめっちゃラグジュアリー。
実際は多少円高になったからといってすぐ商品価格に反映できるもんでもないと思うのですが、消費者の気持ちを汲むのが上手いなあと思いました。
大体の香水ブランドは数千円の誤差を気にしない上位1割の富裕層の購買力によって成り立っているのかもしれないけど、残り9割の凡百の消費者の感情に寄り添ってくれる気持ちが本当に嬉しいなと思います。
給料は少なくてもなんとか背伸びして買った香水の香りで、いつもの風景が数倍美しく見えたり、また明日も仕事を頑張ろうと思えるので。
頂いた支援はおもしろ香水を買うのに活用させていただきます