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ディプティックのディスカバリーセットの感想

最近香水を買うようになったので色々感想を述べていきます。

小さい子供がいるのに香水なんて!?!??と言われてしまえば返す言葉もないのですが、夜の仕事(意味深)をしているので、これは子供が寝静まってからのお楽しみというか…ええ香りに包まれて暗闇の中光る液タブに向かうと、通常の三倍くらい作業が捗る気がする。なお納品のペースが上がったという事実はないです。

これこそザ・アタシの香りという1本を見つけるのは憧れですが、人間は知識が増えたり成長すれば好みも変わるし、メーカーもどんどん新しいのを出してくるしで一生これ的安住の地を見つけるのは多分無理だろうな~と香水を買い始めて2ヶ月くらいの今そう思いました。

香水に興味を持ったきっかけ的

おしゃれな人間になろうと思いファッション関係のブログやニュース、アットコスメ等々を読んでいるうちに「オシャレな人間はジョーマローンを使っている」という一つの法則が浮かび上がってきました。

シャネルディオールエルメスみたいなハイブラは自分の家の6畳間に置くと「本当はセレブの家に行きたかったのに!」という香水瓶の嘆きが聞こえてきて辛くなるし、ゲランとかペンハリガンみたいな歴史やストーリーありあり系は自身の教養レベルを上げてからじゃないといけないし…

そんな香水初心者の赤ちゃんにとって、ジョーマローンは香りが大体素材の名前なので自分の生活レベルや内面の幼稚さに気後れすることなく、ありのままの自分に寄り添ってくれる感があります。ブラックベリーアンドベイ!(ベイって何?)ポピーアンドバーリー!(麦の香りという理由だけで買った)そしてボトルがいい。白と黒でインテリアの邪魔をしないし、電車モナカみたいに整列しやすい正四角柱。

そんな感じでジョーマローンとねんごろになり15本くらい集めた頃、でもコンバイニングTM前提だからかいまいち主張に欠ける…もう少し奥行きのある世界観がほしい!もう優しいだけのあなたにはうんざり!と赤ちゃんに自我が芽生え新しい出会いを求めるとき、ディプティックはニュウマンであなたを待っている。

ディスカバリーセットの魅力

ディスカバリーという語感から、岩山の上で双眼鏡を覗き好みの子をじっくり探すドスケベみたいな絵面が浮かんでしまいドドドスケベちゃうわ!と思いつつ、ちょっとずつ絵が違う小さな瓶が並んだよくばりセットを手に取らずにはいられない…

以前マルジェラの香水のポップアップショップで試香したとき、白衣のお姉さんが丁寧に説明してくれるのが嬉しくてあれもこれもと欲張ろうとしたら「4種類以上はもう違い分からんで」とやんわり制止されたので、そうだった、自分の鼻はそもそも年中鼻詰まりでマスクの上からだとムエットが無臭に感じるレベルにバカだし店頭でトリュフを嗅ぎ分ける賢いブタちゃんの真似をしても無意味なんや…と落ち込みました。家でやろう。(この時はウィスパーインザライブラリーを買った)(名前がいいから)(香りとかよくわかんねーし…)

そんなとき舞い込んだルミネカード10%オフの知らせ。ルミネとニュウマンになんか香水屋さんあったっけ…と考えたとき、2年前にフィロシコスを買ったディプティックのことを思い出した。当時お腹に子供が入っていたので香水はこれしか持っておらず、今もフィロシコスを嗅ぐと産婦人科に向かうとき通った真夏の竹林の風景が思い浮かぶ。そう、香りは記憶なんです。

ディプティック!また新しい思い出を作ろうや…と10本入りのセットを手に笑顔で帰宅。というか店員のお兄ちゃんが他のお客さんに「メルカリで高値で取引されてますしね」という言い方で香水の人気度を説明していて(流石に自社の商品の説明ではないと思うけど)、この程度の接客なら喋らないほうがまだマシでわ?と思った。香水買いに来る時は公式サイトとカイエデモードとアットコスメのレビュー読破してから来るし…店員にはそれ以上の情報をお出ししてほしいし…でも「ボトルが白黒だから」という理由で好感をもっている自分も大概である。家にある香水はJM、ディプティック、マルジェラとルラボだけです。全部白黒やないか!顔で選ぶな

そういう感じで、以下感想です。素材の名前とかはよくわからないので、ムスクやらハイチ産ベチバーがどうのとかは専門家に任せます。自分にできるのは個人的な記憶による説明のみ…

ドソン

これは南国エッチの香りだと思います。テュベルーズ…?チュベローズ?とかよくわかんないけど公式も「軽やかさと官能の間を漂う花の記憶」とか言ってるし。官能!!チュベローズと官能ってなんか絶対セットで言われるよね。井戸が出てくるとすぐ母体回帰のメタファーとか言い出す人みたいな…南国に旅行に行って、夜キャンドルを灯したコテージで無性にムラムラしたとき風に乗ってやってくるのがこの香りです。あと日本の住宅街でも同じ香りの花があるよね。

ところで例によってディスカバリー大好きな私ですが、ルラボのクリスマスのセットを買ったとき、ANOTHER13をうっかり胸元にワンプッシュしたら非常階段に顔を押し付けて寝ているときみたいな息苦しい鉄臭さにオエッとなり、とっさに上からドソンを吹いて胸板上で勝手に戦え!状態にして事なきを得たのですが、なんと夜中12時頃にプッシュして翌日夕方まで南国エッチの香りがする始末。取引先の人に「なんかいい匂いがしますね?」とか言われて「ち、違うんですこれは…」(南国エッチの人だと思われてしまう!!!)状態。

オーデサンス

優しい柑橘だね。それ以上の感想がない…ドソンに比べてこのテンションの差は何?というのも、香りの飛びがめちゃくちゃ早くて「五感を刺激したるで~」という公式の自信満々なメッセージに期待すると肩透かしを食う。これは多分自分の香水経験値が低くてアレなんだと思う。五感が死んでてごめんな~

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ていうか裏の模様が「やめてくれカカシ」だね。

フィロシコス

成人してから多分初めて買った香水。それ以前は、女児の頃サン宝石で5mlのちっちゃいボトルを買ったりボディショップで背伸びをして買ったものの10回も使わなかったり…そういう0代10代を経て、香水を買う時間的金銭的余裕もない空白の20代前半を通り過ぎ、ようやくなんか買うかと思って手にしたのがこれ。

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2019年夏の限定ボトルがあまりにも可愛かったからつい…当時私生活が逆転裁判みたいな状況だったので、本物のいちじくよりも甘くてほのかに草の匂いがする、パッケージそのままのかわいい香りにとても癒やされた。フィロシコスを嗅ぐと色々大変だったことを思い出すけれど、不思議とつらい気持ちにはならない。まあ記憶ってのは適当だからね。

ロンブルダンロー

これは小樽運河の匂い。公式も「穏やかに流れる川、柳の木の下…」って言ってるし。これを嗅ぐとレンガ造りの倉庫が並ぶ風景が目に浮かび、無性に六花亭が食べたくなる。水辺と草の香りに甘くないお花、ほんのちょっとベリーが合わさって、可愛いともかっこいいとも違う、既存のタイプでは説明できないステキ女性像を生み出してくれる気がする。今の所自分が持っている香りの中では一番好きです。

オーローズ

うーんバラなのかな?あなたはバラですか?と問いかけているうちにどこかに行ってしまう、儚い香り。ちょっとそんなんじゃ彼に気付いてもらえないよ!もっとドソンくらい強めにアピールしてかないと!でもこういう奥手な子が実は一番モテるんだよね。メルカリでも即売れしてるし…(チャラい店員以下の説明)

タムダオ

2019年に前述のフィロシコスを表参道ポップアップショップに買いに行った時、先輩にお使いを頼まれたのがこれ。自分もサンプルを貰ったので嗅いでみたところ、「ウッ女の子からこんな香りがしたら泣いちゃう」「この香りを飼い慣らすとはさすが先輩や」と思いました。タバコ、古本屋、海外の寺院…そういう匂いの強い場所での遊びに慣れた、経験と教養がある大人の香り。でもきれいなお姉さんがこの香りをつけていると、こういう匂いの良さを教えた男の存在を感じずにはいられない。

オーデュエル

許してや城之内…これもサンプルは2年前から持っていたんだけど、名前だけ見て「どうせ激しく闘争する感じでしょ?」と思ってスルーしてた。香水に興味が出てからあらためてにおいでみると、なんとも平和的なたまごボーロの匂い。最初はかためプリンのようなモッタリ感があるけれど、時間が経つと粉っぽくなり、ボーロの袋のカドにたまった破片を吸い込んでいるときのような楽しい気持ちになれます。女の子のベージュのニットからこの香りがしたら好きになっちゃう…

サンジェルマン34

フランスのみたらし団子の香り。ルラボのサンタル33は嗅いだ瞬間「アメリカ人の匂いだ!」と思ったのですが、こっちは多分フランス人の匂いだと思う。フランス行ったことないけど。サンタル33とサンジェルマン34で兄弟みたいだね。

今日つま先にワンプッシュだけして出勤したのですが、傷だらけのパッソが即高級車の匂いになった。これ年収1000000万の香りじゃん!とんでもない重役臭。公式の説明を見ると「サン=ジェルマン大通り34番地のブティックの店内の香りを香水にするという途方もない挑戦」とあるので、これは歴史の匂いなんですね。40代になって経験に応じた地位を得た大人が纏うならわかるんですが、30そこらのペーペーがつけても、ディスカバリーセットに入ってるやつを適当に吹いてきちゃったのかな?と思われておしまいです。

ヴェチヴェリオ

草系は正直あまり区別がつかず…強いていえばハナマサで買ったお徳用ローリエの袋をあけたときの匂いがする。ファミレスで出てくるような、人間に飼いならされたミントの優しい苦味と清涼感。同じ草でもロンブルダンローは塩辛くて、こっちはまろやかさわやかって感じかな。うまく使えば肉料理を仕込んできた人みたいな雰囲気が出せるので、家庭的アピールをしたいときに使うことにします。

オイエド

お江戸~~これはゆず100%で使いやすい。同じ柑橘でもオーデサンスよりは多少長持ち。しかし江戸か?って言われると…タムダオを「火事で寺が焼ける香りです」とか言ってお出しされたほうがまだ納得できちゃう。でもこれ、外国人が考えた最強の日本みたいなコンセプトかと思ったら日本人の調香師作なので、俺はまだ江戸のこと何もわかってないねんなと自身の勉強不足を実感しました。

まとめ

そういうわけで、ここ数日香水とともに生活してみて分かったのですが、つま先ワンプッシュしかしてなくてもめちゃくちゃ香るということに驚きました。店頭ではムエットをどんなにフゴフゴしても分からなかったのに、弊社の雪の夜か?ってくらい静かなオフィスだとマスクをしててもガンガン匂いがわかる。「こいつ!今日は肉料理を仕込んできたな?」とか思われるのはまだいいとして、今日みたいなサンジェルマンの重役臭のせいで「新しい彼ピッピでもできたのかしら…」とか思われるのは非常に心外。

自分にだけ香ってほしい派なので、隣の席の人に「匂いわかります?」とか聞いて確認したい気もするけど「ガンガンにおってるで!」とか言われたら恥ずかしくて死んじゃうから周りの人には伝わっていないということにしたいと思います。

またいろんな香りを試して感想を書けたらいいなと思います。


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