ゲームをプレイする際に考えること
レビューやインプレッション、攻略記事とゲームライターには自分のプレイをベースにして文字を書くという仕事が多数あります。ただ楽しかったではインプレッションにはならないし、「ここはなんとかなる」では攻略記事はできあがりません。なぜ楽しかったか、具体的にどうすればなんとかなるのかを文字にして初めて記事ができあがるのです。そのため、ゲームライターを生業にしていると、仕事か趣味かを問わずゲームをプレイしている際に考えることが増えていきます。この記事では、自分がゲームをする際に考えること、意識しなくても自然と意識してしまうことについて書いていきましょう。
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そのゲームは誰に向けられたものなのか?
まず第一に考えるのは「ゲームのターゲット層」。どういった人がプレイすることを想定しているゲームかということです。ときおり万人向けのゲームという言葉がメディアに登場することもあり、自分でも使ってしまうことはありますが、まあそんなものは存在しません。多くの人が遊びやすいように間口を可能な限り広く取って、コアなゲーマー向けにやり込むことの楽しさも設けて、そしてゲームのメインとなる部分以外にも多彩な遊びを用意している。そんなゲームを簡単に表現する方法として万人向けという単語を使っているだけです。
さて、そんなゲームのターゲットを考える際に一番わかりやすいのは、実際にプレイして自分に合っていると感じたタイトル。自分に合っているなら、「比較的ゲームは雑食だけど、スポーツやレースは苦手」という自分と似たような嗜好の人に向けたタイトルだということがわかります。
ただ、当然ながら自分には合わないタイトルも世の中には山のようにあります。『ネプテューヌ』シリーズを例に挙げてみましょう。自分がこのシリーズを初めて遊んだときは、戦闘用のフィールドを自由に移動するバトルシステムも、頭が悪くなりそうなトークが満載のアドベンチャーパートも斬新に感じました。ただ、2作目3作目と遊ぶうちにバトルシステムはまんねりに感じるように。アドベンチャーパートもとにかく味の濃い料理を詰め込まれているかのようで、正直ちょっと重たいと感じるようになってしまいました。
と、ここまでは個人の感想の話。自分のゲームに対する視点は特別にうがったものではないと思っているので、同様の感想を抱いた人もいるでしょうし、『ネプテューヌ』シリーズはもう遊ばないと決めた人がいても、それは自由です。ですが、違った視点から見ると同じようなバトルシステムであるということは、新しいことを覚えずに楽しめるということ。自分が味が濃いと感じたアドベンチャーパートも、それを期待しているプレイヤーにとっては待ちに待った極上の料理のようでしょう。実際、ファンには独特のテンションで繰り広げられる物語を重視しており、RPG部分はごほうびである物語を楽しむための過程と捕らえている人もいるようです。そういった人にとってはRPG部分が変化しないというのはまんねりではなく安心。『ネプテューヌ』シリーズは、そういったファン層に向けて作られているゲームなのでしょう。
そしてこの誰に向けたゲームなのかという考えは、ときおりまだリリースされていないゲームにも及んでいます。例えば現在開発中の鬼殺対戦アクション『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』。
「漫画もアニメもゲームも好き。『鬼滅の刃』にもハマったからゲームも買う」という人はいるでしょう。一方で原作が大ヒットのうちに幕を閉じた以上、ターゲット層にはゲーム初心者も含めて考えられているはずです。
では、どちらに重きが置かれて開発が進められるのかというと、おそらくは後者寄り。対戦の駆け引きの妙や高難易度のコンボといった突き詰めてこそ楽しめる要素を犠牲にしてでも、炭治郎たちを操作すること自体や自分の操作によって気持ちのよいアクションを繰り出せることを重視した作りになると思います。これは、アクションを含めたキャラクター表現に力を入れればより幅広い層に一定の満足感をプレゼントできるからというのが理由のひとつ。そして、駆け引きやコンボに重きを置き過ぎてしまうとゲーム初心者の楽しみを阻害しかねないというのも理由のひとつ。同じリソースでゲームを作っていくなら、より多くの人が楽しめる要素に力を入れるのが自然でしょう。
ちなみに『ヒノカミ血風譚』は開発がサイバーコネクトツーさんで、鬼殺対戦アクションというオリジナルのジャンル名。同じように「原作に深くかかわる熟語+対戦アクション」で構成された造語「忍道対戦アクション」をジャンル名として掲げた『ナルティメットストーム』シリーズに近いゲームになるのでは? と自分は考えています。
レベルデザインは正しいのか?
そして、ターゲット層に加えて考えるのが「そのゲームは簡単なのか、難しいのか」という話。難しかった、ヌルゲーだった、同じゲームであってもプレイヤーによって、感想はある程度ブレがあるのが一般的ですよね。そこに加えて、どういった作りをしているのかと同じく誰に向けて作られたゲームかによって適切なレベルデザインは変わってきます。
『新作ドラえもんゲーム(仮)』と『SEKIRO2(仮)』(どちらも存在しないタイトルですよ)の2つのゲームがあった場合、両者に期待する難易度はまるで異なるでしょう。ファミコン時代はさておき今『ドラえもん』のゲームがリリースされるなら、ある程度難易度を抑えるのが適切でしょうし『SEKIRO』の下地があってリリースされる『2』なら初見では理不尽に見えかねないほどのチャレンジャブルな難易度が期待されます。そういった、予想や期待されるものに対して難しいゲームになっているのか簡単なゲームになっているのか。そんなことを考えています。
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