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旧来の『モンハン』らしさと『ワールド』らしさが入り混ざる『モンハンライズ』【俺TGS】

もう10月ですが、ようやく9月のトークテーマに手を付けています。ゲーム飯でも、俺TGSでもフリーテーマでもなんでもいいというざっくばらんなテーマだった先月。なぜか、ほかのメンバーにはゲーム飯が人気なようなので、自分はTGSの話をしようかと。

ここ10年近くTGSを現地で見ていますが、今年は例年にないほどひどいものでした。主催者がTGSをオンラインで開催することと、TGSを中止にして予定していた生番組だけは配信することを混同して……

おや? 書きかけの別のnoteが混ざったぞ!? ラグかな? ラグだな!

ラグで混ざった方も納得いく内容になったら挙げます

まあ、思うところはありましたがどれもこれも主催に対するもの。出展社さんはオンラインという制限のなか、心おどるような新情報を出してくれました。ゲームライターになるきっかけが『モンハンポータブル 3rd』だった自分としては、直前にタイトルの発表が行われ、TGS2020で実機プレイが公開された『モンスターハンターライズ』が気になりましたね。
任天堂ハードでのリリースということで、タイトルを聞いた時点ではナンバリング作品か『モンハンXX』の精神的な後継作なのかと思っていたのですが、それらとはかなり違うものになってきそうです。
そんな話を予想混じりで書いていこうかと思います。


明らかに『ワールド』に寄せてきた新システム

トレーラーや実機プレイから見てわかるとおり『ライズ』は和をモチーフにしたタイトル。和と言ってもいろいろありますが、なかでも忍者にフィーチャーしていることは明確でしょう。システム面でも、空中移動を行う“翔蟲(かけりむし)”という忍者感あふれるものが公開されています。

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“翔蟲”を使った移動は、宙空に“翔蟲”を飛ばして“鉄蟲糸”という光る糸でターザンロープのように移動するもの。忍者のイメージに即して言い換えるなら、空にも引っ掛けられる鍵縄といったところでしょうか。
ただ、『モンスターハンター:ワールド』を遊んでいれば誰もが確信するでしょう。これは“楔蟲(くさびむし)”の発展形だと。

『ワールド』の世界において、ハンターは“スリンガー”と呼ばれるものを標準装備として身に着けています。小手にクロスボウやスリングショットに近いものが付属していると考えてください。このスリンガーには狩りにおいていくつかの役割があるのですが、そのひとつが“楔蟲”を使った移動。スリンガーにはロープを射出する機能があり、このロープをフィールド上の楔蟲に打ち込むと“楔蟲”を支点にハンターが振り子のように高速で空中を移動できるという仕組みです。“楔蟲”にロープを打ち込んだあとの軌道は“翔蟲”と同じくターザンロープや鍵縄をイメージさせるものなので、“楔蟲”をベースに“翔蟲”が作られたのはほぼ確実でしょう。

MHW楔

↑『モンスターハンターワールド:アイスボーン』より

もう少し“楔蟲”の話を続けましょう。『ワールド』よりも前の『モンハン』では、フィールド上は歩いて移動するもの。ですから、初めて“楔蟲”に触れたときは歩くよりもはるかに速く、しかも空中を移動するという体験が『モンハン』でできることに衝撃を覚えました。ただ、『ワールド』においてのロープを使った移動は、フィールド上の“楔蟲”が配置された場所だけで行えるもの。自由度の高い爽快な移動手段だと少々過剰な期待をしていたら、実際は覚えておくと便利なショートカットに近いものでした。

その不満を解決しているのが『ライズ』の“翔蟲”。『ワールド』の“楔蟲”はフィールドに配置されているものでしたが、“翔蟲”はハンターが(設定上)携帯しているもの。そのため、『ライズ』では空中移動が行える場所に制限はないようです。その代わりに“翔蟲”には連続で使用できる回数と、一度使用したあとの再使用時間による制限を設けて、常に空中を移動し続けるゲームにはならないようにしています。

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気になるのは、“翔蟲”の使用に蟲の数と再使用時間の両方で制限が掛けられている点。宙を飛び続けることを防ぎたいなら、“翔蟲”の数だけ連続使用可能で着地すると使用回数が回復すれば問題なし。着地してすぐに“翔蟲”を使うことを防ぎたいなら、着地してから一定時間一括で“翔蟲”を使えない時間を設ければよいだけです。ですが、実際には個々の“翔蟲”に対して再使用時間が設けてあります。
これは『ライズ』のスキルに関連しているのではないかというのが自分の予想。『ワールド』にはスリンガーに紐づいたスキルがいくつかありましたので、それと同様に『ライズ』では“翔蟲”の再使用時間を短縮する、もしくは最初から所持している“翔蟲”の数が増えるといったスキルが登場しそうです。もちろん、ゲームの進行とともに“翔蟲”の再使用時間の短縮などの拡張が行われる可能性はありますが、明らかに移動が便利になるシステムで、後述しますが攻撃にも使うシステムなのでプレイヤーが取捨選択を行うスキルでの拡張が用意されると考えるのが自然でしょう。

そして、ほかの新要素のなかでも新しいオトモである“オトモガルク”の存在も『ワールド』に寄せている部分。

ガルクお座り

『ワールド』ではゲームを進めると、現地の小型モンスターを呼び寄せて騎乗できる“モンスターライド”というシステムがあります。同じように騎乗できて、騎乗しながらアイテムの使用が行えるという点から“オトモガルク”は“モンスターライド”が元になったシステムでしょう。

MHWライド

↑『モンスターハンターワールド:アイスボーン』より

また、“モンスターライド”は解禁までにそれなりに手間のかかるものでしたが“オトモガルク”は現状公開されている情報からするとゲームの最序盤から利用できる雰囲気。タイトルをまたいでの話になりますが、『ワールド』で“モンスターライド”の利便性を把握しているプレイヤーも多数遊ぶだろう『ライド』で再度手間をかけずに似通ったシステムをプレイヤーに使ってもらおうとしているのかもしれません。

ガルク乗り

こちらについて気になる点としては、“モンスターライド”はマップ上の特定のポイントを指定すると自動で移動する機能がありますが“オトモガルク”にこういった機能があるかが明言されていないこと。
ただ、多分似たような機能は用意されているでしょう。そもそも『ワールド』を遊んだプレイヤーに“オトモガルク”は“モンスターライド”のダウングレード版であると思わせる仕組みにするとは思えません。そして、それよりも大きな根拠となるのが、実機プレイでガルクに乗りながら回復薬や砥石が使えると明言されていたこと。

ガルク乗り採取

もしも自動で移動する機能がない場合、ガルクに乗って移動しながらアイテムを使うには左スティックで移動、右スティックでカメラの調整、Lボタンでアイテム欄を開きながらAボタンとYボタンでアイテムを選択。その後左スティックと右スティックでのガルクの操作を維持しながらYボタンでアイテムを使うという操作になります。この操作、左手はともかく右手にかなり無理があるんですよ。
右スティックをリアルタイムで動かしているならAボタンやYボタンを押すのは人差し指の役割。PSPの『モンハンポータブル』で流行した“モンハン持ち”を左右逆転させたような操作になってきます。右アナログスティックに相当するキーがなかったPSP時代ならさておき、左右にスティックがあるSwitchで10年以上前の操作をプレイヤーに求めるとは思えません。
これらの点から“オトモガルク”にはなんらかのオート移動機能が用意されていると考えています。画面右上には右スティック押し込みで、なにかしらのシステムに紐づいた大型モンスターを切り替える機能が確認できるのでこれを切り替えることで“オトモガルク”が追いかける対象が変わりそうですね。

みぎうえ

ちなみに”オトモガルク”をお座りさせて、お手などをさせることも可能とのこと。ゲーム的にはまったく無意味な行動だそうですが、それがいい。

ガルクお手

そのほかにも、『ライズ』には『ワールド』に寄せているだろうシステムが多々あります。個室仕立てになっているキャンプもそう、キャンプでアイテムの補充や装備の変更ができるという点もそう。

キャンプ

実機プレイでは『モンハン』シリーズのなかでも『ワールド』が初出の“環境生物(フィールド上に生息しており、ハンターが取得すると一時的な強化や体力の回復などの効果が得られる生物)”という単語が出ていました。さらに『ライズ』ではフィールド上で環境生物を取得すると、そのクエスト中に限り体力やスタミナの上限が上がるとのこと。『ワールド』はシリーズで初めて消費アイテムなどの現地調達を重視した作品。『ライズ』が『ワールド』に寄せているという前提のもとで考えれば『ライズ』では、また新しい形で現地調達が重要になっていると考えられます。

現地

と、『ワールド』に寄せているなと感じられる部分は『ワールド』をベースに推測できる一方で、もはやシリーズおなじみになった“オトモアイルー”がどんな位置づけになるのかが正直まだ見えていません。

ネコじゃらし

というのも、『ライズ』ではシングルプレイなら“オトモアイルー”と“オトモガルク”を好きな組み合わせで合わせて2体まで狩りに同行させられるということが発表されています。そして、“オトモアイルー”はこれまで通りのサポート、“オトモガルク”は攻撃的なサポートを行ってくれるとのこと。つまり、“オトモアイルー”と“オトモガルク”は同格の扱いになりますよね。
ですが、“オトモガルク”を同行させれば、快適な移動が利用できることが保証されています。そのメリットを失ってまで“オトモアイルー”を2体同行させたくなるようなサポートがなければ“オトモアイルー”2体という選択肢が取れる意味がありません。“オトモアイルー”は攻撃や回復、補助とこれまでの作品でもさまざまなサポートを行ってくれましたが、正直既存のサポートのままでは“オトモガルク”を1体は連れて行きたくなるかなと。

ネコ戦闘

これまでの“オトモアイルー”を2体同行させられる作品では、2体が協力して繰り出す大技があったのでなにかしら“オトモアイルー”だけを連れていくメリットが用意されている気もしますが、これはさすがに予想のしようがないですね。

モンスターの動きは旧来の『モンハン』寄り

さまざまなシステムが『ワールド』に寄っている一方で、狩猟シーンは『ワールド』よりも前の『モンハン』に近い印象。というのも『ワールド』と、それよりも前の『モンハン』ではモンスターの挙動に大きな差があります。

例えば(『ワールド』ではほぼない挙動ですが)、モンスターの突進を避けたら、モンスターが振り返ってもう一度突進をしてくるというケースを考えてみましょう。
旧来の『モンハン』であれば、突進の硬直が終わるとその場で90度向きを変え、一拍開けてさらに90度向きを変えて振り向き、そして突進を仕掛けてくるというのが定番の動きですよね。ハンターから距離を取るように移動しながらこちらに向き直る“車庫入れ”の通称で呼ばれた動作もありますが、これはモンスターがその場で振り向くことに慣れたプレイヤーに対してより難しい狩りを用意するための挙動。ですから、上記の90度振り向き2回があってこそのものです。

一方『ワールド』の場合は、突進の硬直が終わると足踏みしながら90度程度回転。この時点で首だけはさらに90度傾き、ハンターの方を見ています。そのまま残り90度も足踏みしながら回転するのですが、向きを合わせてから突進ではなく、向きを合わせる最後の一歩=突進の一歩目というような向き合わせと攻撃が一体化した行動を取ることが多々あります。また、向きを合わせてから突進を仕掛けるにしてもその場で回転せず、小さな弧を描くようにして振り向くなどより生き物らしい動きになっているのが特徴です。

現状の『ライズ』の動画を見ていると、どちらかというとモンスターの動きは旧来の『モンハン』に近い様子。向き合わせと攻撃はそれぞれ独立した動作として用意されている印象を受けます。ですから、『ワールド』を遊んでいない人が面食らうことはなく、逆に『ワールド』で『モンハン』デビューした人は少し違和感を覚える、そんな狩りになることが予想されます。

振り向き

ちなみに、実機プレイで対峙したヨツミワドウは捕食を行うと腹部が大きく膨らみ、挙動が変わるモンスターとして紹介されています。『ワールド』のインタビューによると、こういったなんらかの行動で見た目が大きく変わるモンスターの場合、捕食前と捕食後は別のモデリングで工数が2倍必要になるとのこと。そして、これだけでは開発工程がただ重たくなるだけなので、モンスターに複数のモデリングを用意した場合、片方もしくは両方のモデリングを使いまわして別のモンスターを制作するということが語られていました。ですからヨツミワドウと同様のモデリング、つまり骨格を持つモンスターがほかにも『ライズ』に登場することが予想されます。

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忍者らしさで考えると、新武器種は望み薄!?

さて、『モンハン』の新作と言えばどうしても気になるのが、新武器種。
『ワールド』は個々の武器の操作を大きく変えたためか旧来の武器種しか登場していなかったので、『ライズ』には新武器種が欲しいところです。今のところは「既存の14武器種すべてが使える」といった発言のみ。新武器種についての言及はありません。ただ、新武器種について期待するのはなかなかに難しいのかな? といったところです。

まず、『ライズ』でフィーチャーされている忍者からイメージされる武器種を新たに実装しようとすると、既存の武器種と方向性が被りそうなんですよね。
刀はその代表例。既に太刀があるなか、日本刀的なものを用意したらそれが
正眼に構えて斬ろうが、居合斬りを放とうが『モンハン』で見たことがある挙動になってしまいます。
短めの忍び刀を想定すると、今度は片手剣やチャージアックスの剣モードとどう差別化をはかるのかが難しい。ここで忍者に盾は“らしくない”ので、盾のない片手剣という位置づけで忍び刀(仮)を考えた場合、ガードがない代わりになんらかのメリットがあるのが自然です。『モンハン』において武器種を比較した場合、ガードがないというデメリットは動きが素早い、もしくは攻撃力が高いというメリットで補われることが多め。忍び刀(仮)にどちらのメリットが設定されるかと言ったら、素早さが自然でしょう。
ですが、そもそも片手剣自体が素早いことが特徴のひとつとなっている武器種で、そこからさらに素早さを求めると今度は双剣と位置づけが似通ってしまいます。こういった点からなんらかの忍者らしい刀を新武器種にするというのは難しそうです。

同じく忍者の代表的な武器であるクナイにしても、斬って使う武器種にするなら片手剣や双剣との差別化が難しいでしょう。また、クナイには投げるという使い方がありますが、ライトボウガン、ヘビィボウガン、弓と3種類の遠距離向けの武器種が存在し、さらにタイトルによってはミドルボウガンもある『モンハン』において、これらの武器種とどう差別化をするのかという問題があります。手裏剣についても、同じくガンナー武器との差別化がネックになるでしょう。

そしてなにより新武器種として望みが薄いのが、鎖鎌的なもの。『ライズ』では各武器種に冒頭の“翔蟲”の話のときに少しだけ触れた“鉄蟲糸”を使ったアクションが追加されています。これが“鉄蟲糸”をモンスターに引っ掛けて滑り込みながら足元を薙ぎ払ったり、“鉄蟲糸”と武器を振り回したりとなんとも鎖鎌感があるんです。

スクリーンショット (82)

スクリーンショット (83)

こういったアクションが既存の武器種に用意されるなか、新武器種に鎖鎌というのは少々考えにくいものがあります。また、鎖鎌的な新武器種を作るという選択肢を捨てていなければ、既存の武器種にこういった鎖鎌感のある新アクションは用意しないと考えています。

これらが『ライズ』初の武器種はないと自分が考えている理由。新しい武器種で遊び方を増やすよりも、既存の武器種に新アクションを追加することでプレイヤーが慣れ親しんだなかに新しい遊びを増やすことを重視している気がします。

個人的には『ライズ』の実機プレイが見られただけでも今年のTGSは収穫がありました。ただ、ここまでの映像が見られたということは、本来の形でTGSが開催されていたなら体験プレイもできた可能性も……。そして膨大な人数がプレイしていれば、映像にはない新アクションなども見られたはず。

やっぱりオンラインオンリーのTGSは物足りないな!!

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