迷い人

いつものように支度をし、いつもの時間に電車に揺られ、いつもの場所に向かう途中に時々、なぜだか違う場所に迷い込むことがあった。

それでも私は何事もないかのように歩き、迷いながらもどうにかこうにか目的地へ辿り着くのだが。

不思議な感覚に誘われながらもその間私の中に起きていることは何なのか、あまり考えたことはなかった。

ただひとつ、言えるのは、大都会の真ん中に生きていながら、田舎の無人駅に居るような感覚に陥ること…

一体この街はこの先どうなって、そして私はどこへ向かっていくのだろうか。
人々は皆、それぞれに不安を抱えながら、時間に背中を押されてただ無口に、朝を迎えるために生きている…ただそれだけなのかも知れない。
みんなどこかに向かい、ただどこかへ帰ってゆく。
今の毎日が後に、深い傷となって襲いかかってこようとも人々は私は、傷を負いながらも立ち向かい生きていくのだろう。

…さ、明日からまた仕事だ。
ただそれだけだ。

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