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【聴いて覚える】商法商行為の原稿【2021年12月目標】

2021①問題 2
商人間の売買に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)

ア.買主が売買の目的物の受領を拒み、かつ、その物に損傷による価格の低落のおそれがある場合には、売主は、催告をしないでその物を競売に付することができる。

解答 ○

買主が売買の目的物の受領を拒み、かつ、その物に損傷による価格の低落のおそれがある場合には、売主は、催告をしないでその物を競売に付することができる(商法524条1項、2項参照)。

イ.買主は、売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。

解答 ○

商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない(商法526条1項)。

ウ.売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が悪意であった場合には、買主は、売主に対し、履行の追完を請求することはできない。

解答 ×

売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が悪意であった場合には、買主は、売主に対し、履行の追完を請求することはできる(商法526条2項、3項参照)。

エ.売買の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約の目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。

解答 ×

商人間の売買において、売買の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなす(商法525条)。

2020②問題 1
商業登記に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお、小商人については考慮しないものとする。(5点)

ア.個人商人が、その氏又は氏名以外の名称を商号として選定した場合には、当該商号を登記しなければならない。

解答 ×

商人が、商号の登記をするかどうかは任意である(商法11条2項参照)。

イ.個人商人の営業の廃止に伴う商号の譲渡は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

解答 ○

個人商人の営業の廃止に伴う商号の譲渡は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない(商法15条2項)。

ウ.会社法の規定により登記すべき事項は、登記の後であっても、正当な事由によってその登記があることを知らなかった第三者に対抗することができない。

解答 ○

会社法の規定により登記すべき事項は、登記の後であっても、正当な事由によってその登記があることを知らなかった第三者に対抗することができない(会社法908条1項)。

エ.会社は、その本店の所在地における清算結了の登記によって消滅する。

解答 ×

会社は、その本店の所在地における清算結了によって消滅する(会社法476条、645条)。清算結了の登記は、既に当該会社が消滅した後に行われるものであるから、登記によって消滅するという本問の記述は誤りである。

2020②問題 2
商行為に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお、商法の規定を変更し、又は排除する特約はないものとする。(5点)

ア.他人から取得する不動産の供給契約及びその履行のためにする有償取得を目的とする行為は、絶対的商行為である。

解答 ×

他人から取得する動産又は有価証券の供給契約及びその履行のためにする有償取得を目的とする行為は絶対的商行為であるが、不動産については絶対的商行為に当たらない(商法501条2号)。

イ.商人がその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、その申込みとともに受け取った物品があるときは、その申込みを拒絶したときであっても、その商人の費用をもってその物品を保管しなければならない。

解答 ×

商人がその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、その申込みとともに受け取った物品があるときは、その申込みを拒絶したときであっても、申込者の費用をもってその物品を保管しなければならない。ただし、その物品の価額がその費用を償うのに足りないとき、又は商人がその保管によって損害を受けるときは、この限りでない(商法510条)。

ウ.小商人間において金銭の消費貸借をしたときは、貸主は、法定利息を請求することができる。

解答 ○

小商人間において金銭の消費貸借をしたときは、貸主は、法定利息を請求することができる(商法7条は、513条2項)。

エ.商行為によって生じた債権を担保するために質権を設定するに際して、質権設定者は、質権者に弁済として質物の所有権を取得させることを約することができる。

解答 ○

商行為によって生じた債権を担保するために質権を設定するに際して、質権設定者は、質権者に弁済として質物の所有権を取得させることを約することができる(商法515条)。

2020①問題 1
営業を譲渡した商人(以下、「譲渡人」という。)と営業を譲り受けた商人(以下、「譲受人」という。)の法律関係に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)

ア.譲渡人は、当事者が別段の意思表示をしても、同一の市町村の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その営業を譲渡した日から20年間は、同一の営業を行ってはならない。

解答 ×

競業避止義務は、当事者の別段の意思表示がある場合には排除できる(商法16条1項参照)。

イ.譲渡人がその営業を譲渡した日から10年間同一の営業を行わない旨の特約をした場合、当該特約は無効である。

解答 ×

譲渡人が同一の営業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その営業を譲渡した日から30年の期間内に限り、その効力を有する(商法16条2項)。したがって、譲渡人がその営業を譲渡した日から10年間同一の営業を行わない旨の特約は有効である。

ウ.譲渡人が残存債権者を害することを知って営業を譲渡し、当該営業の譲渡の効力が生じた時において譲受人が残存債権者を害することを知っていたときは、残存債権者は、譲受人に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

解答 ○

譲渡人が譲受人に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という)を害することを知って営業を譲渡した場合には、残存債権者は、その譲受人に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。ただし、その譲受人が営業の譲渡の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない(商法18条の2第1項)。

エ.譲受人が、譲渡人の商号を引き続き使用しない場合においても、譲渡人の営業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡人の債権者は、その譲受人に対して弁済の請求をすることができる。

解答 ○

譲受人が譲渡人の商号を引き続き使用しない場合においても、譲渡人の営業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡人の債権者は、その譲受人に対して弁済の請求をすることができる(商法18条1項)。

2020①問題 2

商人の報酬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお、商法の規定を変更し、又は排除する特約はないものとする。(5点)

ア.商人がその営業の範囲内において他人のために行為をした場合であっても、契約上報酬を定めていない限り、当該他人に報酬を請求することはできない。

解答 ×

商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、契約上報酬を定めているか否かにかかわらず、相当な報酬を請求することができる(商法512条)。

イ.宅地建物取引業者の媒介により、店舗の所有者と小売業者との間で当該店舗の賃貸借契約が成立した場合、当該宅地建物取引業者は当該賃貸借契約の当事者双方に報酬を半額ずつ請求することができる。

解答 ○

不動産取引を媒介する宅地建物取引業者は民事仲立人に該当するが、仲立人の報酬は、当事者双方が等しい割合で負担する(商法550条2項参照)。

ウ.物品運送契約において運送賃を支払う義務を負うのは運送契約の当事者である荷送人であるから、運送品を受け取った荷受人が運送人に運送賃の支払義務を負うことはない。

解答 ×

荷受人は、運送品を受け取ったときは、運送人に対し、運送賃等を支払う義務を負う(商法581条3項)。

エ.倉庫営業者が寄託物の一部を出庫するときは、出庫の割合に応じて、保管料の支払を請求することができる。

解答 ○

倉庫営業者は、寄託物の出庫の時以後でなければ、保管料及び立替金その他寄託物に関する費用の支払を請求することができない。ただし、寄託物の一部を出庫するときは、出庫の割合に応じて、その支払を請求することができる(商法611条)。

2019②問題 1

小商人を除く個人商人(以下、「商人」という。)に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)

ア.商法上、登記するかどうかが当事者の任意に委ねられている事項であっても、一度登記された当該事項に変更が生じたときは、当該当事者は、変更の登記をしなければならない。

解答 ○ 

商法10条 この編(総則)の規定により登記した事項に変更が生じ、又はその事項が消滅したときは、当事者は、遅滞なく、変更の登記又は消滅の登記をしなければならないと定められている。

イ.Aが不正の目的をもって、商人Bであると誤認されるおそれのある商号を使用した場合において、これにより営業上の利益を侵害された商人Bは、自己の商号を登記していないときには、営業上の利益を侵害したAに対し、当該侵害の停止を請求することができない。

解答 × 

何人も、不正の目的をもって、他の商人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない(商法12条1項)。これに違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある商人は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる(同条2項)。

ウ.最高裁判所の判例の趣旨によれば、名板貸人は、名板借人が当該名板貸人と業種の異なる営業を行うときは、特段の事情のない限り、名板貸人としての責任を負わない。

解答 ○ 

ここでいう特段の事情とは、名板借人が名板貸人の商号を引き続き使用していること(外観の存在)、名板貸人が自己の商号を使用して事業・営業をなすことを他人に許諾していること(外観作出の帰責性)、相手方が名板貸人を取引主体と誤認していること(外観への信頼)がある場合である。

エ.支配人が、自ら営業を行うことにつき商人の許可を受けた場合、当該営業によって当該支配人が得た利益の額は、当該商人に生じた損害の額と推定される。

解答 × 

商法23条2項では、支配人が前項の規定に違反して同項第二号に掲げる行為(自己又は第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をすること)をしたときは、当該行為によって支配人又は第三者が得た利益の額は、商人に生じた損害の額と推定する。

2019②問題 2
商行為に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお、商法の規定を変更し、又は排除する特約はないものとする。(5点)

ア.最高裁判所の判例によれば、不動産は、商法521条が商人間の留置権の目的物として定める「物」に当たる。

解答 ○ 

判例(平成29年12月14日)によれば不動産は、商法521条が商人間の留置権の目的物として定める「物」に当たるとされ、不動産も商事留置権の対象になるとされた。

イ.交互計算は、商人と商人でない者との間で平常取引をする場合においては、その効力を生じない。

解答 × 

商法529条 交互計算は、商人間又は商人と商人でない者との間で平常取引をする場合において、一定の期間内の取引から生ずる債権及び債務の総額について相殺をし、その残額の支払をすることを約することによって、その効力を生ずる。

ウ.荷受人は、運送品が到達地に到着したときは、物品運送契約によって生じた荷送人の権利と同一の権利を取得する。

解答 ○ 

商法581条1項 荷受人は、運送品が到達地に到着し、又は運送品の全部が滅失したときは、物品運送契約によって生じた荷送人の権利と同一の権利を取得する。

エ.問屋は、取引所の相場がない物品の販売又は買入れの委託を受けたときは、委託者に通知をすることにより、自ら買主又は売主となることができる。

解答 × 

商法555条1項 問屋は、取引所の相場がある物品の販売又は買入れの委託を受けたときは、自ら買主又は売主となることができる。この場合において、売買の代価は、問屋が買主又は売主となったことの通知を発した時における取引所の相場によって定める。

2019①問題 1
個人商人に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお、商法の規定を変更し又は排除する特約はないものとする。(5点)

ア.鉱業を営む者は、商行為を行うことを業としない者であっても、商人とみなされる。

解答 ○

店舗その他これに類似する設備によって物品を販売することを業とする者又は鉱業を営む者は、商行為を行うことを業としない者であっても、これを商人とみなす(商法4条2項)。

イ.営業を譲り受けた商人(以下、「譲受人」という)が、営業を譲渡した商人(以下、「譲渡人」という)の営業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたことにより、譲渡人の債務を弁済する責任を負う場合、譲受人の責任は、当該広告があった日後2年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。

解答 ×

営業を譲り受けた商人(以下、「譲受人」という)が、営業を譲渡した商人(以下、「譲渡人」という)の営業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたことにより、譲渡人の債務を弁済する責任を負う場合、譲受人の責任は、当該広告があった日後2年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する(商法18条2項参照)。

ウ.物品の賃貸を目的とする店舗の使用人は、当該使用人に対して商人が権限を与えていないことにつき相手方が悪意であった場合を除き、その店舗に在る物品の賃貸をする権限を有するものとみなされる。

解答 ○

物品の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう。以下この条において同じ)を目的とする店舗の使用人は、その店舗に在る物品の販売等をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない(商法26条)。

エ.代理商が、商人のために取引の代理又は媒介をしたことによって生じた債権の弁済期が到来しているときは、その弁済を受けるまでは、当該商人のために当該代理商が占有している物を留置することができるが、有価証券を留置することはできない。

解答 ×

代理商は、取引の代理又は媒介をしたことによって生じた債権の弁済期が到来しているときは、その弁済を受けるまでは、商人のために当該代理商が占有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者が別段の意思表示をしたときは、この限りでない(商法31条)

2019①問題 2
商行為に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)

ア.他人から取得する有価証券の供給契約及びその履行のためにする有償取得を目的とする行為は、絶対的商行為に当たる。

解答 ○

次に掲げる四つの行為は絶対的商行為に当たる。①利益を得て譲渡する意思をもってする動産、不動産若しくは有価証券の有償取得又はその取得したものの譲渡を目的とする行為、②他人から取得する動産又は有価証券の供給契約及びその履行のためにする有償取得を目的とする行為、③取引所においてする取引、④手形その他の商業証券に関する行為。(商法501条各号参照)。

イ.数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、別段の意思表示がない限り、各債務者は、債権者に対し平等に分割された債務を負担する。

解答 ×

数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担する(商法511条)。

ウ.匿名組合契約は、匿名組合員と営業者との間に特約がない限り、当該匿名組合員の死亡によって終了する。

解答 ×

営業者の死亡は匿名組合契約の終了事由に該当するが(商法541条2号)、匿名組合員の死亡はこれに該当しない(商法541条参照)。

エ.倉庫営業者が寄託物について倉荷証券を発行した場合は、倉庫営業者は、倉荷証券の所持人に対してこれと引換えでなければ、寄託物の返還をすることを要しない。

解答 ○

倉荷証券が作成されたときは、これと引換えでなければ、寄託物の返還を請求することができない(商法613条)。

2018②問題 1
商人及び商行為に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)

ア.中小企業等協同組合法に基づいて設立された信用協同組合は、商人ではない。

解答 ○

中小企業等協同組合法に基づいて設立された信用協同組合は、商人ではない(判例平成18年6月23日)

イ.宅地建物取引業者は民事仲立人であるから、商人ではない。

解答 ×

宅地建物取引業者は不動産取引の媒介を行う民事仲立人である。民事仲立人も媒介を業としている場合には商人資格を得るため、宅地建物取引業者は商人である(商法502条11号、商法4条、判例昭和43年4月2日参照)。

ウ.質屋営業者の金員貸付行為は、銀行取引ではないから、営業的商行為ではない。

解答 ○

質屋営業者の金員貸付行為は、受信行為と与信行為の両方を有する銀行取引(商法502条8号)ではないから営業的商行為ではない(判例昭和50年6月27日)。

エ.土を買い入れてこれで瓦を製造販売する営利行為は、絶対的商行為ではない。

解答 ×

土を買い入れてこれで瓦を製造販売する営利行為は、投機購買に該当し、絶対的商行為である(商法501条1号、判例昭和4年9月28日参照)。判例によれば、投機購買について、買い入れたものをそのまま譲渡する場合のみでなく、多少の製造・加工をしても、投機購買にあたるとしている。

2018②問題 2
会社の使用人又は代理商に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)

ア.支配人は、会社の許可を受けなくても、他の会社の監査役になることができる。

解答 ○

支配人は、会社の許可を受けなければ、他の会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となることができないが、他の会社の監査役であれば、会社の許可を受けなくてもなることができる(会社法12条1項参照)

イ.会社は、その使用人に対し、当該会社の事業に関するある種類又は特定の事項を委任したときは、その旨を登記しなければならない。

解答 ×

支配人を選任したときはその当期をしなければならないが、使用人に対し、当該会社の事業に関するある種類又は特定の事項を委任したときは、当期する必要は無い(会社法14条、918条参照)。

ウ.代理商は、会社の許可を受けなければ、他の会社の使用人となることができない。

解答 ×

代理商は、会社の許可を受けなければ、他の会社の使用人となることができる(会社法17条参照)。

エ.代理商は、取引の媒介をしたときは、遅滞なく、会社に対して、その旨の通知を発しなければならない。

解答 ○

代理商は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、会社に対して、その旨の通知を発しなければならない(会社法16条)。

2018①問題 2
商行為に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお、商法の規定を変更し、又は排除する特約はないものとする。(5点)

ア.最高裁判所の判例によれば、商行為の代理人が本人のためにすることを示さないで代理行為をした場合において、相手方が、代理人が本人のためにすることを過失なく知らなかったときは、相手方は本人との法律関係を主張するか、代理人との法律関係を主張するかを選択することができる。

解答 ○

最高裁判所の判例によれば、商行為の代理人が本人のためにすることを示さないで代理行為をした場合において、相手方が、代理人が本人のためにすることを過失なく知らなかったときは、相手方は本人との法律関係を主張するか、代理人との法律関係を主張するかを選択することができる(裁判昭43年4月24日)。

イ.匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、当該営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる。

解答 ○

匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、当該営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる(商法535条)。

ウ.問屋が委託者の指定した金額より高値で物品を買い入れた場合には、自らその差額を負担するときも、その買入れは委託者に対して効力を生じない。

解答 ×

問屋が委託者の指定した金額より低い価格で販売をし、又は高い価格で買入れをした場合において、自らその差額を負担するときは、その販売又は買入れは、委託者に対してその効力を生ずる(商法554条)。

エ.場屋営業者は、客から寄託を受けた物品の保管に関して注意を怠らなかったことを証明した場合には、当該物品の滅失又は毀損につき、債務不履行に基づく損害賠償責任を免れる。

解答 ×

場屋営業者は客から寄託を受けた物品の滅失又は損傷については、不可抗力によるものであったことを証明しなければ、損害賠償の責任を免れることができない(商法596条1項)。なお、貨幣、有価証券その他の高価品については、客がその種類及び価額を通知してこれを場屋営業者に寄託した場合を除き、場屋営業者は、その滅失又は損傷によって生じた損害を賠償する責任を負わない(商法597条)。

2017②問題 1
小商人を除く個人商人に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)

ア.代理商契約において、商人及び代理商は、契約の期間を定めなかったときは、理由を問わず、いつでもその契約を解除することができる。

解答 ×

商人及び代理商は、契約の期間を定めなかったときは、二箇月前までに予告し、その契約を解除することができる。また、やむを得ない事由があるときは、商人及び代理商は、いつでもその契約を解除することができる(商法30条1項、2項)。

イ.故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。

解答 ○

故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない(商法9条2項)。

ウ.支配人は、商人に代わって、その営業に関する一切の裁判外の行為をする権限を有するが、その営業に関する裁判上の行為をする権限は有しない。

解答 ×

支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する(商法21条1項)。

エ.商人は、その営業のために使用する財産について、適時に、正確な商業帳簿を作成しなければならない。

解答 ○

商人は、その営業のために使用する財産について、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な商業帳簿(会計帳簿及び貸借対照表をいう)を作成しなければならない(商法19条2項)


商行為に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお、商法の規定を変更し、又は排除する特約はないものとする。(5点)

ア.問屋の取次ぎによって売買の相手方に対して法律上の権利を取得し義務を負う者は、取次ぎの委託者であり、問屋は、売買の相手方に対して法律上の当事者とはならない。

解答 ×

「問屋」とは、自己の名をもって他人のために物品の販売又は買入れをすることを業とする者をいう。問屋は、他人のためにした販売又は買入れにより、相手方に対して、自ら権利を取得し、義務を負う(商法551条、552条1項参照)。したがって、問屋は、売買の相手方に対して法律上の当事者となる。

イ.商行為の媒介を業とする仲立人は、委託者ではない当事者に対して、その報酬を請求することができない。

解答 ×

仲立人の報酬は、当事者双方が等しい割合で負担する(商法550条2項)。

ウ.商行為の媒介を業とする仲立人が、当事者の一方の氏名又は商号をその相手方に示さなかったときは、仲立人は当該相手方に対して自ら履行する責任を負う。

解答 ○

商行為の媒介を業とする仲立人が、当事者の一方の氏名又は商号をその相手方に示さなかったときは、仲立人は当該相手方に対して自ら履行する責任を負う(549条)

エ.商人間の売買において、売買の性質により、一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合に、当事者の一方が履行しないでその期間を経過したときは、相手方は、直ちにその履行を請求した場合を除き、契約を解除したものとみなされる。

解答 ○

商人間の売買において、売買の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなす(商法525条)。

2017②問題 3
株式会社の発起設立に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお、設立される株式会社は種類株式発行会社ではないものとする。(5点)

ア.発起人は、株式会社の設立に際して、発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数を定めようとするときは、発起人の全員の同意を得なければならない。

解答 ○

発起人は、株式会社の設立に際して、発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数、当該設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額、成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項を定めようとするときは、発起人の全員の同意を得なければならない(会社法32条1項各号参照)。

イ.設立時取締役の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。

解答 ○

設立時役員等の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する(会社法40条1項)。

ウ.発起人が設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。

解答 ×

発起人は、株式会社の設立に際して、発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数、当該設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額、成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項を定めようとするときは、発起人の全員の同意を得なければならない(会社法32条1項各号参照)。

エ.設立時監査役の解任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。

解答 ×

設立時役員等の解任は、設立時監査等委員である設立時取締役又は設立時監査役を解任する場合にあっては、三分の二以上に当たる多数をもって決定する(会社法43条1項)。

2017②問題 4
株式会社の募集設立に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお、設立される株式会社は種類株式発行会社ではないものとする。(5点)

ア.設立時株主は、必要があると認めるときは、いつでも、創立総会を招集することができる。

解答 ×

発起人は、必要があると認めるときは、いつでも、創立総会を招集することができる(会社法65条参照)。

イ.設立時取締役の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない。

解答 ○

募集設立の場合、設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない(会社法88条1項)。

ウ.公証人の認証を受けた定款は、創立総会の決議によって変更することができる。

解答 ○

公証人の認証を受けた定款は、創立総会の決議によって変更することができる(会社法96条参照)。

エ.創立総会は、会社法に規定する事項及び株式会社の設立その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。

解答 ×

創立総会は、創立総会の目的である事項に限り決議することができる。ただし、定款の変更又は株式会社の設立の廃止については、この限りでない(会社法67条1項2号、73条4項参照)。

2017①問題 1
個人商人に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)

ア.商人が建物を改築するためにした金銭の借入れは、その営業のためにしたものと推定される。

解答 ○

商人の行為は、その営業のためにするものと推定する(商法503条2項)。したがって、商人が建物を改築するためにした金銭の借入れも、その営業のためにしたものと推定される。

イ.最高裁判所の判例によれば、商人でない者が営業を開始するために、相手方はもとより、それ以外の者にも、客観的に開業準備行為と認められる行為を行ったときは、これにより商人たる資格を有する。

解答 ○

最高裁判所の判例によれば、商人でない者が営業を開始するために、相手方はもとより、それ以外の者にも、客観的に開業準備行為と認められる行為を行ったときは、その行為により営業を開始する意思を実現したものであって、これにより商人たる資格を有する(最高裁判例:昭和47年2月24日)。

ウ.小商人は、その商号を登記することができる。

解答 ×

小商人は、その商号を登記することができない(商法7条参照)。ただし、その氏、氏名その他の名称をもってその商号とすることができる(商法11条1項参照)。

エ.未成年者は、商人となることができない。

解答 ×

未成年者でも商人となることはできる。ただし、未成年者が商人として営業を行うときは、その登記をしなければならない(商法5条参照)。

2017①問題 2
商行為に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)

ア.商行為の受任者は、委任の本旨に反しない範囲内において、委任を受けていない行為をすることができる。

解答 ○

商行為の受任者は、委任の本旨に反しない範囲内において、委任を受けていない行為をすることができる(商法505条)。

イ.利益を得て譲渡する意思をもってする動産の有償取得は、絶対的商行為である。

解答 ○

利益を得て譲渡する意思をもってする動産、不動産若しくは有価証券の有償取得又はその取得したものの譲渡を目的とする行為(商法501条1号)

ウ.商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができ、これを特約により排除することはできない。

解答 ×

商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者の別段の意思表示があるときは、この限りでない(商法521条ただし書)

エ.運送に関する行為は、絶対的商行為である。

解答 ×

運送に関する行為を、営業としてするときは、絶対的商行為である(商法502条4号参照)。したがって、運送に関する行為は、絶対的商行為ではなく、営業的商行為である。

2016②問題 1
個人商人の商号又は営業譲渡に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)

ア.自己の商号を使用して営業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

解答 ○

自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う(商法14条)。

イ.商人がその氏、氏名その他の名称を商号として選定した場合には、これを登記しなければならない。

解答 ×

商人は、その商号の登記をすることができると定められており、必ずしも登記しなければならないわけではない(商法11条1項、2項参照)。

ウ.営業を譲渡した商人が負う商法上の競業避止義務は、当事者の特約によって排除することはできない。

解答 ×

競業避止義務は、当事者の別段の意思表示がある場合には排除できる(商法16条1項参照)。

エ.営業を譲り受けた商人が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には、当該譲渡人の営業によって生じた債権について、当該商人にした弁済は、弁済者が善意でありかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。

解答 ○

営業を譲り受けた商人が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には、当該譲渡人の営業によって生じた債権について、当該商人にした弁済は、弁済者が善意でありかつ重大な過失がないときは、その効力を有する(商法17条1項、4項参照)。

2016②問題 2
商行為に関する次の記述のうち、正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)

ア.商行為の委任による代理権は、本人の死亡によって消滅する。

解答 ×

商行為の委任による代理権は、本人の死亡によっては、消滅しない(商法506条)。

イ.最高裁判所の判例によれば、商事法定利率に関する商法の規定は、債務者にとって商行為となる行為により生じた債務に限り適用され、債権者にとってのみ商行為となる行為により生じた債権には適用されない。

解答 ×

最高裁判所の判例によれば、商事法定利率に関する商法の規定は、債務者にとって商行為となる行為により生じた債務に限り適用され、債権者にとってのみ商行為となる行為により生じた債権にも適用される(最高裁判例:30年9月8日)。

ウ.商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならず、当該商人がその通知を発することを怠ったときは、当該契約の申込みを承諾したものとみなされる。

解答 ○

商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならず、当該商人がその通知を発することを怠ったときは、当該契約の申込みを承諾したものとみなされる(商法509条1項、509条2項参照)。

エ.商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。

解答 ○

商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる(商法512条)。

2016①問題 1
商業登記に関する次のアからエまでの記述のうちには、正しいものが二つある。その記号の組合せの番号を一つ選びなさい。なお、解答にあたり、小商人については考慮しないものとする。(5点)

ア.商法上登記が義務づけられていない事項が登記された場合、当該事項に変更が生じても、当事者には変更の登記の義務は生じない。

解答 ×

この編の規定により登記した事項に変更が生じ、又はその事項が消滅したときは、当事者は、遅滞なく、変更の登記又は消滅の登記をしなければならない(商法10条)。

イ.登記すべき事項は、登記をすることにより事実と推定される。

解答 ×

登記事項には会社に関する取引上重要な事項が記載され、事実であることが前提である。仮に、不実の登記した場合であっても、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができないとされており、事実と推定されるわけではない(商法9条、会社法908条)。

ウ.営業とともにする商号の譲渡は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

解答 ○

商人の商号は、営業とともにする場合又は営業を廃止する場合に限り、譲渡することができる(商法15条1項)。この規定による商号の譲渡は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない(商法15条2項)。

エ.未成年者が自己の名をもって商行為をすることを業として行うときは、その登記をしなければならない。

解答 ○

未成年者が自己の名をもって商行為をすることを業として行うときは、その登記をしなければならない(商法5条)。

2016①問題 2
商行為に関する次のアからエまでの記述のうちには、正しいものが二つある。その記号の組合せの番号を一つ選びなさい。なお、商法の規定の適用を排除し、又は変更する特約はないものとする。(5点)

ア.商人の行為は、商行為と推定される。

解答 ○

商人がその営業のためにする行為は、商行為とする(503条1項)。商人の行為は、その営業のためにするものと推定する(商法503条2項)。したがって、商人の行為は、商行為と推定される。

イ.商行為によって生じた債権を担保するために質権を設定する場合、質権設定者は、質権者に弁済として質物の所有権を取得させることを約することができる。

解答 ○

質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない(民法349条)。ただし、この規定は、商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については、適用しない(商法515条)。

ウ.取引所においてする取引は、営業として行われなければ商行為とはならない。

解答 ×

取引所においてする取引は、絶対的商行為である(商法501条3号)。

エ.商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は当該行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物でなければ留置することができない。

解答 ×

商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができる(商法521条参照)。

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