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「田中のババア」上演台本

田中のババア(初演2009)

中学生女子3人と48歳の田中(通称:ババア)との友情青春コメディ。チラシから想像出来ないハートフルな物語です。実はこの作品、今は亡き森ノ宮プラネットホール内にあったパブリックスペースで行われた最後の公演で、この公演を持ってパブリックスペースは閉館となりました。

オパンポン創造社の作品では珍しい女性の出演者が男性を大きく上回る作品。魅力的な女優さんとも沢山ご縁出来た今だから再演したいなとも思ってる作品。が、一つ問題が。「脚本の(野村有志/オパンポン創造社)書き方・基礎編」で偉そうに禁止してる手法を使ってます、10年前の野村は。バンバン。湯水の如く、は言い過ぎだけど5箇所ぐらいセリフで出てきます。すみません。何が禁止で、どう使ってるかは下記記事をご覧になった方なら脚本読まれたらすぐに判ります。

自省録としても公開しておきます。

内容は痛快青春コメディ

誰もが楽しめる作品になってると思います。10年前の野村有志の脚本に興味ある方だけでなく、純粋に物語として楽しめるはず。手前味噌ですが。今の脚本との違いも含めて楽しめるかと(オパンポン創造社公演で女性が多いとどうなるかも含めて)。長編なので1,300円と強気の値段ですが、宜しければ。


では、前置きが長くなりましたがどうぞ。




            オパンポン創造社・番外公演
          田中のババア

                                                    作演出/野村有志

 

舞台形状は、奥に壇上があり、舞台とは階段で繋がってるのみ
大黒の後ろにスクリーン
舞台上手にはキューブが二つ
 ********************
田中のババア…
サキ…
カナコ…
ゲンコ…

ユキ先輩…
トオル…
義之…
********************
 
暗闇の中から、声が聞こえて来る
 
ゲンコ 「…私が」
 
照明:舞台下手サスFI
そこに喪服姿のゲンコ
丸々と太った女性である
 
ゲンコ 「田中さんと出会ったのは、今日の様な、春の日差しが降り注ぐ晴れやかな日でした…サキとカナコと、私の3人は、中学三年生になったばかりで…普通に考えたら、中3だった私達と、あの時既に48歳だった田中さんが毎日遊ぶ様になるなんてのはおかしく、非日常すぎると思うけど…あの頃の私達にとっては田中さんといるのは日常であって…あ、田中さんとの出会いは…私じゃなくて、サキって子が最初で…そのサキがある日、思春期特有の理由なき反抗の一環として、万引きした時…」
 
サキ、上手より登場
しかし後を追ってきた店員に羽交い絞めにあう
照明:舞台全体FI(暗め)
 
ゲンコ 「その日は運悪く追いかけてきた店員に捕まり、諦めながらも…あ、ここからは、その「サキ」の言葉を借りて説明すると…諦めかけながらも必死に」
サキ  「離せよ!離せっつってんだろ!!」
店員       「離すはず無いだろ!」
サキ  「いいから離せよ!!…」
ゲンコ 「「って叫んでたらよ」…あ、今のはサキの物真似なんですけど、「叫んでたらよ、どうなったと思う?」」
 
間*客席からの答えを待ってる感じで
 
ゲンコ 「って聞いてきたんです。で、私も今の皆さんと同じ様に「え?聞かれても」みたいなリアクションを取ってたんですけど…サキは元々私達に答えなんか求めてなかったらしく、私達の答えを待たずに続きを話しだし…」
サキ  「叫んでたらよ!目の前から…」
 
SE・シャーと自転車のタイヤが猛スピードで回る音
SE・連続すぎる自転車のベル音(*実際に鳴らす可能性有)
SE・ブオーンと言う様な何かが飛んでくる音
 
サキ  「って、ババアが飛んできたんだよ!」
 
M1CI                  
M1CIと同時に壇上下手(無理なら舞台下手)から黒子二人に持ち上げられながら、
田中が物凄い形相でチャリンコにまたがりサキの元へ飛んでくる
照明:田中をピンスポで追う
店員、あまりに驚き、サキへの羽交い絞めを外す
*その間に、いつの間にかゲンコ退場
 
田中  「乗りな!!」
サキ  「(思わず)お、おぅ!」
 
サキ、チャリンコの後部座席に座る
 
田中  「しっかり捕まんだよ!!」
 
田中、チャリンコを猛スピードで漕ぎ出す
 
店員       「ちょ、ちょっと…」
 
女性店員、そう言いながらも置いてかれるかのように退場
M1・00:21より下記の台詞
 
サキ  「いやホントすげーんだから!なんたって飛んくんだもん!!え?この後?この後はもうババアが運転してんのがママチャリだってのが信じれないぐらいの意次元だよ!意次元!!!だってドリフト使ったと思ったら、原チャリ追い抜いたの皮切りに、軽トラ、軽ヨン、マーチにパトカー、挙句の果てはその追い抜いたパトカーに追われ始めんだから!」
 
SE・パトカーのサイレン
 
田中  「やべ!…おい飛ばすぞ、もっと捕まれ!」
サキ  「いいじゃん、チャリの2ケツぐらいどーってことねぇって…」
田中  「よかねぇよ、俺はな…御歳48なんだよ!おめぇらと違って守んなきゃいけねぇ社会的地位が山盛りあんだ!いいから捕まっとけ!」
サキ  「へへ…おう!」
田中  「うぉおおおおおおおおおお!!」
サキ  「はははは!!」
 
田中、MAXで漕ぎ出す
黒子、二人が、そのチャリンコをET的に飛んでるように持ち上げれたら最高
 
M1レベル上がり
照明:FO暗転
SE・ドンとMをかき消すような音(M1の終わりの如くな感じ)で、静寂へ

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