アイドルゲームをしていたら故郷を村焼きされた話

(2019/06/28にぷらいべったーにて公開したものを載せています)

今年の2月中頃にハマったゲームが、6月28日でサ終を迎える。
アプリリリースから半年ももたずに消えていってしまうそのゲームが私は大好きだ。

私の生まれは神奈川の海の方で、いわゆる【湘南地域】で長いこと過ごしてきた。今はもう訳あって神奈川を出てしまったのだけど、たまには神奈川に帰って、あの懐かしい景色をまた見たいなって思っていた。砂浜に注射器が転がってたり、海はそんなにきれいではなかったり、夏にはバイクが爆走したり、まあその……静かな場所ではないけれど、思い出深くて大好きな故郷だ。

その故郷を私は焼かれた。



6月28日にサ終を迎えるこのゲーム、【Readyyy!】って言うんですけど。多分4月26日のサ終お知らせでツイッターのトレンドに上がってたので(そんな話題でツイッターのトレンドに上がりたくなかった)、「ああ、あのyがやたらついてたゲーム?」ってなる人もいるんじゃないでしょうか。

ぶっちゃけここまでスピードサ終(半年もたずの撤退)を決められると「実際にReadyyy!ってどんなもんだったの?」って気になる人もいません?

そういう人にもこのゲームを知ってほしくて、あわよくばファンになってほしくて、今(6月28日の午前1時28分)、9時間半後の終焉に堪えかねて長文を書きなぐっているわけです。まだ実感ないけど、漠然とした喪失感が胸の内側にはあるかな。9時間半後には泣いちゃってたりするのかな。わからない。なにしろ好きなまま終わるゲームがはじめてなもので。


この【Readyyy!】、舞台が湘南地域だったんですよ。江ノ島!鎌倉!とかそのあたり。もう背景とかも見知ったところが多くて多くて、ぶっちゃけバーチャル里帰りしてた。懐かしすぎてメチャクチャ興奮したし、一介のアプリゲームに抱くにはあまりに重い感情を抱いてしまったんだよね。なぜなら故郷だから!
ストーリー進めるたびに身覚えのある景色がまたひとつ……、みたいな感じで、新しい背景が出てくるのを心待ちにしてた。この楽しみ方が想定されていたものなのかはわからん。でも、それくらい良いものだった。
故郷に何の感慨も抱かない人もいると思うけど、私はどうやらメチャクチャ重い感情を抱くタイプだったらしくて、それはバーチャル故郷も例外ではなかった。

故郷を懐かしむ人間に作り込まれた“故郷”概念を与えるとどうなるか?答えは簡単。ズブッズブにハマる。もう面白いくらいハマる。正直ハマりすぎて自我を見失いかけた。普段なら絶対に買わないムック本?まで買う始末。うまれて初めてゲームのムック本を買ったよ。うわ~!買っちゃった!大それたことしちゃったなあ!って凄くドキドキした。

あんまり急にハマったものだから、Readyyy!をプレイする前の自分を思い出せない。今までどうやって生きてたんだっけ?って最近思う。社会の使い捨て歯車として、また一介の社畜として生きてきた私に概念的故郷はあまりにも沁みた。

このゲーム、いわゆる【アイドル育成ゲーム】というやつで、私はそんなに慣れ親しんでこなかったジャンルのゲームなんだけれども、【湘南】が舞台だからってプレイを決めたんですよ。アプリリリースしてちょっとしたあとに公式アンケートがあったんですけど、【このアプリを始めたきっかけは?】っていう設問に「湘南が舞台だったから」って書いたくらい。それくらい湘南に飢えてた。概念的湘南に飢えてた。

今から考えると公式さんには申し訳なかった。まさかアイドルゲームを「湘南が舞台だったから」始めるやつがいるとは思うまいて。なんの参考にもならないアンケートを出してしまって申し訳なかった。でもゲームをプレイしたら湘南があまりに湘南だったのでメチャクチャテンション上がったんですよね。すごいよ。マジで。背景が湘南なんだ。あまりに湘南。キャラクターの会話より背景に目が行く。身に覚えのある景色がポンポン出てくるから背景の方を見てしまう。多分これ湘南地域にすんでる人間がやったら「おっ」っていう呟きを一度は漏らすと思う。

そんなわけで毎日故郷を懐かしんで、「あっこれ見たことある場所」「も、最寄り駅~!!」「このお店知ってる~!!」などと概念的故郷を摂取して神奈川にどっぷり浸っていた私は、無慈悲なサービス終了宣告を4月26日に受け、バーチャル故郷を概念的村焼きされたわけです。もうあの村には帰れないんだ……。

いや……わからないけど、他にもこういう人がいたかもしれないけど、まさかアイドルゲームやってて【村を焼かれたエルフの気持ち】を理解することになろうとはね。人生ってわからねえ。あの一瞬、私は村を焼かれたエルフになった。ほんとマジで。サービス終了おしらせをバス停で見ちゃったんですけど、そのあと震える足でバスにのって重たい体を引きずって家に帰ったんですよ。帰れたのが自分でもびっくりなレベルで心臓はドキドキするし、なんか手には力入らないし。不思議と涙はでなかった。バーチャル村焼きされると人は呆然とするあまり涙も出てこないんだなって思った。

生きてて概念的村焼きエルフになることある?そんなことってある?私はないと思ってた。でもいま概念的村焼きエルフになってしまってる。



さて、そんなわけでどうしてこんなに哀れな概念的村焼きエルフが産まれてしまったのか、この素敵なゲームについて語りたい。

ゲームのジャンルは【アイドル育成ゲーム】。昨今の女性向けゲーム界隈では特に珍しくもない題材のように思う。実際、ゲームの設定自体は特に奇をてらったものではない。うなぎを飼っているアイドルや、御輿と見るやデートを抜けてでも担がずにはいられなくなるほどのお祭り好きなアイドルなど、ちょっとひねった設定はあるものの、全体的にとっつきやすくて良い意味で「普通」。主人公も昨今のアイドルゲームには珍しく、普通に大人。高校生相手にも敬語で話すし、なにより性別が定まってないから男性の気持ちでも女性の気持ちでもプレイできる珍しさ。キャラとの恋愛描写もないので、本当に見守りコンテンツとして優秀この上ない。

ちなみに、主人公(プレイヤー)はアイドルの卵である高校生をプロデュースし、同時にそのアイドルたちが住む寮の寮長を勤める、という設定だった。
ここだけちょっと詰め込んでる……というか、冷静になって考えるとメチャクチャ忙しそうな設定だ。
社畜としての私が一瞬「そんな会社やめとけ」と言いかけるけれども、この“プロデューサー兼寮長”という設定にもちゃんと理由がある。

実はこのゲーム、【アイドル】としてのキャラクターだけではなく【高校生】としての一面も描こうとしていたようなのだ。だから“寮長”という役割をユーザーに与えて、【高校生】としての彼らも見られるようにしてくれたわけだ。

女性向けアイドルゲームを多くプレイしてきたわけではないから、確かなことは言えないけれども、大抵のゲームは【アイドル】としてのキャラクターに焦点を合わせるんじゃないだろうか。キャラのバックボーンや生い立ちのスパイスとして【家族】【友人】、様々なものを引き合いに【アイドルではない一面】が語られることもあるけれど、それをメインでやることは少ないように思う。

けれどこのゲームは違った。気合いの入れ方がおかしかった。

キャラの家族構成はこういうゲームではあまり触れられない(※ストーリーに絡んでこない限りは)ことが多いと思うけれど、「姉がいる」「母さんにホワイトデーのプレゼントを贈る」「嫌いなものは父と兄」のように家族の存在を普通に描写してくる。妙にリアルなのだ。いやなんか、ほんと普通に会話にさら~っと家族の話が出てきてね。親戚の話とかね。

だからもう、とにかくリアルだった。キャラクター同士の掛け合いとかもそうなんだけど、一人の“人間”としてあり得そうな、一人の人間としてキャラクターに親近感を抱いてしまう作りになっていた。見事だと言わざるを得ない。

お母さんにホワイトデーのプレゼントを贈る、とか聞いた日にはもう、「めっちゃ良い子じゃん……」と呟いてしまった。
このお母さんにプレゼント送ろうとしてた子ね、普段めっちゃつんけんしてくる子なんですよ。「ウスノロ」とか「無能め」とか罵倒してくる子なんですよ。でもお母さんにホワイトデーのプレゼントをあげちゃう。しかもストール。おしゃれ。こんな高校生いる?

そんな感じでキャラクターの家族観というか、家族との距離も妙にリアルに描いてくるゲームだったわけです。

友人の家族事情すらそんなに把握していない身としては、実在する友人の家族事情よりも非実在青少年の家族事情に妙に詳しくなってしまったことに若干の不安を覚えた。

家族関係に関してはもうちょっと触れたいものもありつつ、狂気を感じる箇所がもっともっといっぱいあるのでそちらを語っていきたい。

*ゲーム演出の細かさ
*現実と虚構を曖昧にしてくる演出

主にこのへんがこのゲームにおいての“狂気”だと私は感じている。そして、この狂気があったからこそ、たった数ヵ月の運営にも関わらず熱狂的なファンを数多産み出す結果となったんだと思う。


まずゲームの演出の細かさについて語りたい。

このゲーム、アプリゲームにしてはちょっと引くぐらい背景が用意されていたっぽい。軽く調べたところどうやら500枚……。【駅】の背景だけでも“時間帯”と“季節”でバリエーションがあるので、実際にゲームをやった身としては「そりゃ500枚にもなるわ……!」という感想をもった。本当に作り込みの精度がおかしい。時間帯で背景変えてくるゲームがありますか!?しかも季節まで反映させるって正気の沙汰とは思えない。びっくりの一言。

しかもこの背景、動く。

【倉庫】の背景では埃っぽい倉庫内で舞ってる埃がじわじわ動いてるのがうっすら確認できるんですが、これ、本当に「それやっちゃう!?」というレベルの出来なんです。まず舞ってる埃を描写しようってのが狂気的なんですけど、それを「動かす」のがもうどうしちゃったの?って感じ。なんかもはや背景を見て「この背景はどこに注力してるのかな~?」って調べたくなるレベル。

商店街の看板の明かりがチカチカしてたり、季節ごとにのぼりの内容が違ってたり(例えるなら冬は【たい焼き】なんだけど、夏は【水ようかん】に変わってるみたいな。とかく仕込みが細かい)。
でもその細かな演出のお陰で背景が背景じゃなくなってるんですよ。何いってるかわからないかもしれませんけど、背景だけで楽しめる部分があるというか。だからバーチャル里帰りしてたんですけど。

そも、時間帯と季節を反映させた背景を作ろう!とかなかなかならないのでは(売り上げに直結しなさそうだし……)。職人気質と狂気を感じる。

あとはキャラクターのモーション。

俳句を読むキャラクターにはエア短冊・エア毛筆でさらさら~っと筆を走らせるようなモーションをさせるし(※俳人育成ゲームではなくアイドル育成ゲームです)、高貴なキャラは背景に薔薇が飛ぶし、ドSブレインの眼鏡は光るし、キャラごとのモーションが一つ一つちがうんです。

Aというキャラ、Bというキャラ、同じ「笑顔」を表現するにもモーションの使い回しということをしていなかった。ひとりひとりの「表情」が同じ「笑顔」でも違っていて、それがたまらなくリアリティーを持たせてくるんですよね。
ひとりひとりのモーションがちがうのって三次元?現実?では当たり前なんですけど、二次元とかゲームの世界ってそうじゃないじゃないですか。使い回すのなんてよくある話で、だからこそこの細かさに静かな興奮を覚えざるを得なかった。最高にクレイジー。

ライティングもかなり凝っていて、木のある背景だとキャラの顔や体に木漏れ日がさしたり、木の葉の影が落ちるんですよ。夕方だとキャラクターに当たる光が夕日色に染まって綺麗だったし、あまりにも当然のことのように細かいライティング設定を発揮するもんだから、普通に見過ごしちゃってあとで「えっ今夕日当たってた!?桜舞ってた!?」ってビビることも多々。画面として馴染んでるんですよね。現実に則しすぎてて脳みそがゲームだって認識してないんだと思う。引っ掛かれないほど出来が良い。そんな感じ。違和感がないんだな。

優等生が(紆余曲折あって)学年主任を投げ飛ばすイベント(※アイドル育成ゲームです)もあって、それでは背景が雷雨の大嵐だったりもしたんですが、ちゃんと雷は落ちるし雨でバシャバシャだしでなんかもう……えっなにこのゲーム……?というのが素直な感想。背景のあまりの出来に怯えることになるとは思わなんだ。

雷が落ちるたびにびみょ~にチカッチカッとする上、光と音のタイミングが雷のそれそのものっていう、非常にこったゲームです。
雷の落ちる音で思い出した。このゲーム、音も異様に細かい。椅子を引く音、学校のチャイム、足音、それからお風呂場でキャラが話してるときには声にぼんわりしたエコーがかかる上、扉越しに話してるシーンではちゃんと声がこもって聞こえるという。あまりにもリアルすぎて何だろうなこのゲーム。何を目指してたんだろうか。

そんな出来の良いゲームが半年ももたずにサ終するっていう現実、かなり受け止めがたいものがある。

6月28日の11時を迎えたら、私はもうあの桜並木を見ることはできないし、商店街の看板の明かりがちかちかしているのも、学校の教室で埃がきらきらと舞っているのも、雷の音も、お風呂場で話すくぐもった声も、何もかもを失ってしまう。
きっとこれだけのものを作るのは相当大変なはずで、だからこそ作った人たちには正当な評価とそれに付随する賛辞が与えられて欲しかった。半年で終わって良いゲームじゃなかったんだよって、今でも凄く思ってる。もう本当に、残念の一言。


現実と虚構を曖昧にしてくる最高にして恐怖の演出についても語ろうと思う。本当にここはこのゲームの肝だと思うし、メチャクチャ鳥肌がたった部分でもあるので語り倒したい。


*MV
*SHOWROOM・アプリリリース前に各サイトに掲載された記事

この辺が虚構を現実だと錯覚させるポイントだったと思う。

【MV】

まずはMVについて話したい。
恥ずかしながら私は音楽には疎く、とくに人の声が入った曲などは普段滅多に聞かない。というか音楽自体をあまり聞かない。ので、音楽とかアイドル関連についてかなり的はずれなことも言ってしまうと思うんですけど、許して欲しい。なにしろ二次元・三次元含めてこんなにアイドルにハマったのはReadyyy!が初めてなので……。本当に人生狂っちゃったな~。狂わされちゃったな~。

興味があったら【大胆不敵に恋したい MV】って検索してもらえるとありがたいんですけど、それでもってぜひ他のMVも見ていただきたいんですけど、それはおいておくとして。

https://youtu.be/MiXPo5oVVAo

おそらく宣伝用に作ったであろうMVの数々が存在しているんですが、これ、どれもこれも本当に出来が良い!例えるなら、プリキュアのエンディングの滅茶苦茶““強い””バージョンとでも言うべきか……。キャラクターが違和感なくバリバリに動いて歌うんですよ。
3Dモデルの動きがとにかく滑らかで布の動きも布の質感ごとに変えてるのかも?って感じで。

例えばRayGlanZっていうオラオラしたユニットのMVで【GO NOW!】っていう曲があるんですけど、これでみると衣装のジャケットの裾の動きは少し硬め(重い?)かな~というのに対して、La-Verittaっていう世界観重視のアーティスト系ユニットの【BEAT IN LOVE】では踊る二人の衣装の羽っぽい部分がちょっとふんわりしているような、軽さを感じられるような……(思い込みかもしれないけど)。

https://youtu.be/KXjg0KDSgyE

これ、アプリで流れるんですけど、初めて見たときに度肝抜かれましたね。舞台が湘南だから始めましたけど、Readyyy!というコンテンツそのものに興味をもったのはこのMVを見たからだと思います。

https://youtu.be/DZujVaE4QWc

世界観で魅了するLa-Veritta。他のグループに比べて動きが控えめなのも楽曲重視のアーティストユニットだからなのかなあ。

上記のMVを二つ見てもらえるとわかるんですけど、ファンのサイリウムの振り方?が全然違うんですよ!前者のRayGlanZの【GO NOW!】は曲に合わせてガンガンサイリウムも振られてるんですが、後者のLa-Verittaの【BEAT IN LOVE】ではサイリウムを振るどころかファンが棒立ちっていうね。多分ライブに聞き入っちゃってるっていうことなのかな?とにかくユニットごとの特色が出ていてMV見てるだけでも楽しいです。

摩天ロケットっていうユニットの場合は【君が見た空は】っていう曲があって、これはステージをいっぱい使って飛んだり走ったりするし、なんならドローンも飛ばすし、曲調もどこかアニメのオープニングのような爽やかさと元気さがあったりして!青空が印象的なMVですが、この青空もドローンも全部作られたものだってのがにわかには信じがたいんだなあ。この数分のMVでも爽やかでこの“ユニットらしさ”が余すところなく出ているんですよ。
余談ですがこの曲、カラオケでタンバリンシャンシャンしながら歌うと超楽しいです。

高校一年生のみのユニットなので、元気大爆発って感じです。

Just4Uっていうユニットだと前述の【大胆不敵に恋したい】なんですけど、これはとにかくキャラクターごとの個性が出てるな~と思う。人物ごとの動き方の差別化が出来ていてとにかく素敵。芸術家肌でマイペースなキャラクターはステージ下のファンにマイペースにファンサービスし続けるし、運動が得意で好きなものは焼き肉、趣味は胃をいたわること!なキャラクターはその運動神経をいかしてダイナミックなダンスを見せつけてくれたりとか。足も腕も長くて迫力ある。
ほんとうによく作り込まれているな~って思いながら見ちゃう。こちらもファンの動きにご注目。細かいですが指で数字カウントしてるんですよ!

https://youtu.be/MiXPo5oVVAo

最後に荒い息をしているところ、「踊った!」感じが出ててリアル。

SP!CAっていう主人公格のユニットがあるんですが、こちらは5人組で、やっぱりひとりひとりの動き方が全然違う……!【Special Nu World】っていう曲なんですけど、これがもう最高にアイドルで爽やかでキラキラしてるんですよ。
モデルのひとりひとりの腕とか足の長さにも差違があって、それがまるで本物の人間のようにも思えて、ほんとに今の技術って凄いなーと感心するしかなくて。
MVの最後に映る金髪の男の子がちょっとうるっとした顔になるんですけど、このユニット、解散と結成を繰り返してきたユニットなんですよ。でもデビューしたい、アイドルをしたい!っていう夢を叶えてステージに立てたからこそ、こういう描写があったのかなあと……。MVからもいろんなものが見えてくるコンテンツ、それがReadyyy!。

https://youtu.be/Meep-kNDnyc

なんかシュワシュワしててソーダが飲みたくなるんですよこのMV……

ちなみに旧メンバー(SP!CA脱退済み)との軋轢が描かれるところでサ終が決定してしまったので、滅茶苦茶ストーリーの続きが気になります。ラノベにして13冊分?くらいのストーリーがあるとか聞いた記憶があるので、どうか救済してほしいところ……。

非実在アイドルにMVのリアルさでバフかけて「もしかしてこのアイドルたちは存在しているのでは……?」という疑念を抱かせてくる、それがReadyyy!というコンテンツです。



この「もしかしてこのアイドルたちは存在しているのでは……?」という現実と虚構を曖昧にしてくるこの手法なんですけど、MVだけにはとどまらないんですよ。

浅学ゆえこちらも詳しいことはわからないんだけれど、【SHOWROOM】っていうリアルタイムで配信されて配信者と交流?出来るものがありまして、そのSHOWROOMでキャラクターたちがアイドルとして配信を行ってたんですよね。
二次元のアイドルが三次元で配信ですよ。動くししゃべるし次元越えちゃったよ。アイドルが次元越えちゃったよ。初めて見たときは本当に目の前で何が起こってるのか理解できなくてスマホを落としてしまった。2019年にもなるとこんなこと出来るんですか!?って感じ。

こちらでは「アイドルが配信をしている」という体で進むので、何て言うか、自分が育てているアイドルがアイドルとして振る舞っている姿を見られてちょっとそわそわしちゃうんですよね。リアルタイムでファンからのコメントも拾って読むし、アドリブとかも絡んでくるので“実在している”感じがめちゃめちゃに増して情緒狂いそうになるというか。これは現実?それとも虚構?

キャラのお誕生日、新曲の発表、何かにつけてSHOWROOMを使ってファンサービスをしてくれたので、ゲームだけじゃなくてこういうところでも楽しませてくれるんだ……!ってもうファンはニッコニコ。凄く幸せな時間であったことは間違いないし、SHOWROOM?なにそれ?ってなってたけど勇気を出して踏み出して飛び込んでよかったと思う。深みにはまってしまった感じはあるけども。多分これ抜け出せない。

SHOWROOM、基本的に22時からやってくれてたので、配信が終わるときにキャラクターから「お休みなさい」って言って貰えるんですよ。それがちょっと嬉しかった。地味に嬉しかった。キャラクターと同じ夜を過ごせて、お休みなさいって言ってもらえて、まるで本当にキャラクターが存在してるみたいで。リアルタイムの強みってこういうところだなあ……としみじみしちゃったり。

アプリが開始される前から各サイトで“アイドルにインタビュー!”みたいな形式で特集が上がってたりもしたんですけど、こちらも作り込みがすごい。ゲームで明かされたであろうシナリオの伏線がそこかしこに張られてる。その上、アイドルらしさを崩さずにインタビューに答えてくれてる(形式をとってる)。
同じ事務所の仲間とはどんな関係なのかとか、どうしてアイドルになったのかとか……。ゲームでは語られない部分についてアイドル本人からの言葉を受け取れるっていう、ハマればハマったぶんだけ楽しめるコンテンツだなと思いました。

そういう細かな部分での作り込みが本当に冴え渡っていて、サ終が決まった今はもう何を言っても……なところはあるけど、もうちょっと知名度が上がれば爆発するコンテンツだったのは間違いなくて。だからこのゲームが終わってしまうのが残念でたまらない。サ終決定以降、どうすればこのゲームは売れたのかなって何度も考えた。どう考えても知名度が足を引っ張った。

ド素人の考えではあるけど、

*【アイドルゲーム】という比較的ライト層が多いジャンルで周回必須のやりこみ要素を数多くいれてしまった(ゲームの性質的にはゲーマー向けだった)のでついていけなくなるユーザーが多かった

*アプリリリース前から声優さんありきのイベントが多かったので、声優オタでないユーザーからするとちょっと身構える部分があった

この二つも大きいかな、と思っている。

前者に関してはゲームプレイしてるときからじんわり思ってることではあったんだけれど、コンテンツのジャンルとファン層からはピントのずれたゲーム性だったように思える。よくも悪くもアプリゲーム離れしたゲーム性で、多分家庭用ゲーム機で出した方がよかったんじゃないかなーと思えてしまうくらい。

女性向けアイドルゲームってわりと手軽な操作で、タップだけでなんとなくどうにかなっちゃうものが多いから、それに慣れてるとReadyyy!のゲーム性はややこしかったと思う。私はタップだけだとちょっと物足りないのでReadyyy!はほどよく丁度良かったんだけれど、ゲームに慣れていない人がプレイするには説明不足が否めないというか、とっつきにくかったのでは。

ゲーム作ってる人って多分ゲームをよく遊んでる人だから、そういう人からすると遊び方がわからない人がどこでつまずくのかわからないんだと思う。やりこみゲーマーからしたら周回プレイと細かな分岐点でシナリオの流れが変わるの、とっても面白いし“それでこそ”なんですけど、そういうのに慣れてない人からすればめんどくさかったろうなって……。

後者の【アプリリリース前から声優さんありきのイベントが多かった】に関してはもう完全に私の主観が入っちゃうんですけど、これ本当にコケたとこだと思う。

そもそもこのReadyyy!、アプリだけで展開していたものではなくて、新人声優を起用した大がかりなプロジェクトなんですよ。大手声優事務所からキャストをオーディションで選出、その選出されたキャストさんがキャラクターの声を当てて、レッスンして、リアルイベントで歌ったり踊ったり……と、ド素人の私から見てもかなり大がかりなプロジェクトでした。笑っちゃうくらいマジで大がかり。

キャストオーディションに関してはキャストが決まるまでを番組にして動画としてアップしていたり、キャスト決まってからもアプリ配信されるまで色々と番組を作ってくれていたり、アイドル育成ゲームでありつつ、新人声優育成コンテンツでもあったのかなって。

ゲームをプレイした身としては、もう18人のキャラクターの声はあの18人のキャストさんじゃないとあり得ないと思っているくらいなんだけれど、いかんせん新人声優さんたちばかりの起用ではファンを引っ張ってくる力は少なかったのかもしれない。
誤解のないように弁明すると、キャストの18人の実力が低かった訳じゃない。歌もうまいしキャラにぴったりな声だし、キャラクターを好きになってから声を当ててるキャストさんを調べると、キャストとキャラクターがそっくりなことにびっくりしたりもして。ほんとに当て書きでもしたかな?っていうくらいキャストとキャラクターの性格が似てる部分があるんですよ。だから18人のキャラクターの声を当てているのが今のキャストさんたちで本当によかったと思うし、それ以外は考えられないと思う。

だからこそ、だからこそ本当に残念だった。

声優推しでリアルイベントをたくさんやって、そこで稼ごうっていうのは分かる。ゲームとリアルイベントとあとはグッズかな?三つくらい収入源を作っておいて運営しておこうっていうの、間違いじゃないし、ファンとしてはそれで全然構わないんだけれど。

リアルイベント、完全にやる順番がおかしかった。

声優さんを追っかけたことが人生で一度もないからこれが正しいかはわからないけど、多分普通は【キャラを好きになる】→【声を当ててる人に興味が湧く】→【声優さんも好きになる】→【リアルイベント行ってみようかな!】ってなるもんじゃないのか。

それなのに最初から全力プッシュで声優さんを推して、リアルイベントいっぱいやって……は無理があるって女性向けゲームに疎くても何となく分かる。

声優さんを推そうにも(新人さんが多いので)何のキャラをやっているかもわからないし、アプリリリース前だから出てるのは軽い設定と名前、容姿くらい。キャラクターを通して声優さんを追おうと思うほどの愛着はまだ持てない状態。

そんな中でそういうリアルイベントをいっぱいやっても、なんだこのゲーム?って困惑されるのは必至では。少なくとも私はReadyyy!を知り始めたときにあまりの声優プッシュに身構えた部分がある。ゲームを遊ぶためにやり始めた人間からすると(とくに声優推し文化にあまり触れてこなかった人間からすると)、ちょっと未知の世界で怖かったんですよ。よく知らないものを好きになるのは難しいし、そこにお金を落とそうと思うのもちょっと難しい。

ゲームをプレイした今ではキャストの声優さんたちのラジオを時間が合ったときに聞くくらいには声優さんたちにも興味をもって好きになれたし、ツイッターアカウントもフォローしちゃうくらいには好きになれたんですよ。だから新人声優さんたちがこんな、数ヵ月で悲しい思いをしなくちゃいけないのも辛い。他にも仕事はあるだろうけど、それでも期待の大型アプリのオーディションで受かって、初めて名前のついた役をもらえた!って喜んでる人もいたわけで、それがすぐに消えちゃうの、かなり辛いと思うんですよね。
私も社会人だから色々想像しちゃうわけですけど、自分が気合いいれて関わってたプロジェクトが急に立ち消えになったら滅茶苦茶に凹む。

でもそんな辛い状況のなか、先日【摩天ロケット】のキャストさんたちが(関係各所に許可をとった上で)Readyyy!を勝手に応援するっていう名目のアカウントを開設してくれたりして、辛いだろうにそれでもファンの方を向いてくれるんだなあとか色々考えてしまったりして。

こんなにファンにもキャストにも愛されているのにあっさり終わってしまうの、本当に苦しくて辛いんだけれど、こういう気持ちを抱えているファンが他にもいて公式に問い合わせたのか、6月19日に公式も新しいアカウントを作ってくれて、かなりユーザーの方を向いた運用をしてくれていて。
サ終決まってからの動きとしてはかなり珍しいと思うんだけど、それゆえにもうちょっと希望をもってこのコンテンツを応援していこうと思いました。本当にハマるとかなり幸せになれるコンテンツだから、興味をもったらMVを見てほしい。ほんとはアプリをおすすめしたいんだけど、あと十分でサ終してしまうから(現在10時50分)。

ここまで読んでくださった方の中にまだReadyyy!をしらなくて、これどんなコンテンツなんだろう!?って興味を持ってくれた人がいるなら、ツイッターで【フコイたん】を検索してみてください。かなり有能でユーザーにフレンドリーな公式アカウントとなっております。サ終に怯えるユーザーがあまりの有能さに癒されました。アカウントは @ fucoyyy です。ほんとに出来るワカメ。
アプリはおわってしまうけれど、Readyyy!プロジェクト自体は終わるわけではないようなので、これからもっともっとこのコンテンツに興味をもって、愛してくれる人が増えたらな~と思います。8月14日には三浦海岸で夏フェスもやっちゃうぞ!7月からはCDの予約も始まるので、もし興味をもった方がいらしたら音楽からでもこのコンテンツにハマってほしい。なんかね、音楽もガチなんですわ。有名な作詞家さん・作曲家さんが作ってるらしいんですよ……。だから音楽だけでも楽しめるんじゃないかな。

まさかバーチャル故郷を村焼きされるとは思わなかったけど、楽しいことも初めてのことにも色々チャレンジさせてくれたコンテンツなので(Readyyy!がなかったらウェブラジオにもSHOWROOMにも一生手を出さなかったと思う)、これからもなんらかの形で続いてください。ストーリーの続きを熱望しています。


サービスも終了してしまったし(現在11時11分)、公式にお礼とこれからのコンテンツについてのお問い合わせをしてこようと思う。
楽しくて素晴らしいゲームをありがとうございました。


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