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顕現

たかだか4つしか路線のない、大都会のローカル線、都営地下鉄。
蔵前などの「こじつけ」乗換駅のあるなか神保町の利便性のよさは特筆すべきである。
新宿行きのホームでペロスケの無事乗り込んだのを見届けての帰り。
いつものお買物カート引きであるから三田線まで下がるEVでまっすぐ下へ。
同乗の彼は晴眼でないらしい。
「どちらまで」「三田線まで」。もし改札だったら中間下車、とこのEVのつくりは込み入っている。

先に下した彼を観察していると向かう先に戸惑っているようだ。「どっち行きです?」「西高島平方面へ」「ああ、それはいまでる電車じゃなくて4番線、右手です。誘導しましょうか」。
ふだん2号車から3号車のあたりに乗るというので、ひとまず3号車1番扉を目指す、「あっ、ここ幅せまいです」背中に触れられながら縦列になって移動。

「薄着ですね!寒くないんですかぁ?」「ふふふ暑がりなもので。でも外はコート着ているから大丈夫」そういう彼はしっかりダウンジャケット姿で
こちらは間違いなく寒がり。

「あたし反対行きの3番線なんでじゃここで」といってわかれる。

自ずと観えるわけではない世界。誘導でたまたま背中触った人間が半袖パーカーならそれは「えっ」となるだろう。大丈夫、まわりの一般人はみんな着てますよ。
ばあさん、叔母、わたしと受け継いだ「妙に暑がりの血」、が触れたパーカーから伝わったのならそれはまた愉快。

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