母性【湊かなえ】



超個人的感想
ネタバレあります
なんかもう感想っていうか日記(いつもだけど)



面白かったー!
続きが気になってどんどん読んじゃった。


娘の気持ちになって読んでた。始終娘に共感。気の合う彼氏がいたことに感しては「そんな一目気にするような人なのに…上手くいきすぎじゃない?」と思ったけど、私がねじ曲がってるだけかも。

大人、特にお母さんからの評価をものすごく気にしてることに共感した。私もそう、すんごい気にしてた。今はあんまり気にしてないけど。「何を考えても行き着く先は母から愛されたい」っていうのも一緒だなぁと思う。未だにそうなんだよね、恥ずかしいわ。もう21になったのに。

親子が絡む話はどうしても感情移入しちゃう。うるうるになる。精神が不安定になったりもする。過去を思い出して落ち込んだりもする。でね、お話を読むときは絶対に「子」の立場に感情移入しちゃうの。親になったことがないんだから当たり前なのかもしれないけど、そういうお話を読んでいるときはお話を眺めることができない。ただただ読むことができない。冷静に読めなくなる。

お陰様で最後の解説が、私にとっては一番の衝撃を受けた。だって、語り手である「母」も「娘」も信用できない人って書いてあるんだもん。私は「娘」の言ってることが100%だと思ってたんだもん。「母」が嘘を吐いていると思ったんだもん。もちろん母と娘の言ってることが食い違ってるのはわかった。でもそういうときは、「母が狂ってるから空想のことを言ってるだけなんじゃないか」と思ってたの。娘が「母からそっけない態度をされた」と言っていればそうなのかと信じてた。他にも、いろいろ。娘の言ってることを100%信じてた。

でも違うんだね。「娘」みたいな「精神の不安定な子ども」って信用ならないんだね。小さなことでも過剰に覚えてたりするって書いてあった。それで初めて自分が「精神の不安定な子ども」であり「信用ならない人」だと自覚した。たしかにそうかもしれない。お母さんから言われた嫌だったことを過剰に嫌な方に盛って覚えてたのかもしれない。自分のこと冗談の通じないタイプだとは知ってるけど、冗談じゃなくってもいちいち重く受け取りすぎなのかもしれない。そうか〜………私は信用ならない語り手だったんだのか。




女には二種類いるらしい。「母」と「娘」。私は今どっからどうみても「娘」だけど、いつかは「母」になりたいって思ってる。こんなに「お母さんから愛されたい」と思ってしまう私が、「娘子どものための母」になれるのか不安。

子どもが産まれたらきっと自分がされたかったみたいにするんだ、と思ってるけど、こういう考えってエゴって言うのかもしれない。その子のために尽くすことに、それ以外の意味があったら可哀想だよね。考えすぎかなぁ。

私のお母さんも一人の人間がだと気付いてから1年くらいが経つけど、それを何回も忘れちゃう。過去のひどい仕打ちや姉妹間での対応の違いにイラついてしまう。仕方のないことだってわかってるのに、イラついてしまう。たぶん世の中の人もこんなもんだと思うけど、私はどうやってこれに向き合えばいいのかな。忘れてはイラついて、思い出してを繰り返すしかないのかな。

結婚する時か、子どもが生まれる時かにでも、復讐の手紙を書こうかと本気で思ってるんだけど、これって意味のないことかな。「あのときはどうして酷いことをしたの」「妹と私に対して違い態度をとるのはどうして」「あなたの子どもであるけれど、あなたと同じ人生を歩んでいく一人の人間であることをわかってくれてたの」とか、書こうかなと思ってるけど、意味のないことかな。そんなことを言って、私は復讐した気になれるかな。ていうか、私は謝ってほしいのかな。最近お母さんも丸くなって「あのときはごめんね」なんて言うこともあるけど、そういうときって複雑な気持ちになる。「謝って済むとでも思ってんのか」という気持ちと、「今まで耐えてきて苦しかったんだよ」という気持ち。涙がこみ上げてくる。




終章、すべてが上手くいったみたいな終わり方してたけど、どうなっていくんだろう。読み終わった瞬間は「これで普通の愛のある家庭になるんだろうな、よかったね」と思ったけど、今考えてみるとそうも思えない気がする。あまりに上手くいきすぎてるから。

私も夢見がちなタイプだから将来が不安。どうなるんだろう、ちゃんと地に足のついた幸せを手に入れられるのかな。そういう家族を作れるのかな。

夢見がちだって自覚してるだけ、まだいいかな。





新しい言葉を覚えた。
愛能う。
あいあたう。
一生そんな言葉使わないだろうけど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?