ゲリラ雹

昨日、夜9時10時くらい。赤坂あたりに突如、雹が降ってきた。
ゲリラ雹。

弾丸のように降り注いできた。

一日の天気予報は晴れ、夜は曇。誰も傘なんて持ってない。だから皆が皆、屋根がある場所を探して避難した。

仕事中の人も、帰りを急いでいたはずの人も、待ち合わせをしていた人も、怒ってたはずの人も、泣きたかったはずの人も、今年一番嬉しいことがあった人も、

皆一様に空を見上げて、ただただ、降り注ぐゲリラ雹を見ていた。

実際は時間にして、15〜30分もないくらい。それでも一瞬にして地面を真っ白で覆い、空気を一気に氷点下にした。

普段なら絶対にしゃべらないだろう、夜のお店の女の子とUber Eatsの配達員のお兄さんが言葉を交わす。

「やばくないですか?」

「やばいっすよねぇ」

あまりにも人が多いから、一人ひとりにかまっていたら生きていけないくらい目まぐるしくて、息苦しい、この街が、ほんの束の間だけど、ちょっとだけ緩んだ気がした。

時間が、いつもとは違った、止まったかのような、ゆっくりとした流れになった。

自然には逆らうことはできない。

流れに身を任せることしかできない。

だから、皆が流れるプールに流されていくような感じになるしかなくなる。抗うと疲れちゃう。

あぁ、なんか、いいなと思った。

困った人もたくさんいたから、あまりいいな、なんて言っちゃいけないんだろうけど。

ゲリラ雹に遭った人全員が、空を見上げて、額に手をやって「あぁ、困ったなぁ」ってなってる、その感じが、あぁ、なんか、いいなと。

思った。

まぁ、止んでからは、服はめっちゃ濡れててめっちゃ寒くて最悪だったけど。

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