自由業の告白２

昔の人はよく「どんなつらい思いをしても安定しているのが一番」
と言っていたけれど、経済が成長期なら、頑張って得た安定は
長期にわたって維持できるかもしれない。
だけど、今の時代、どんなに頑張っても安定、
特に収入を維持するのが困難な時代、
この発想だけでは、「ただ単にツラいだけ」だと思う。

自分も、頑張った結果、ドン底に落ちた経験があるので晒します。

13年間、年間休日25日、月残業時間100時間超え
最終職歴支店長で年収が400万円いかなかった
（手取りだと300万円なかった気が・・・）
某ブラック企業の優秀な社畜だったけど、
支店長になった最後の1年で年間休日はほぼ０になり、
消化不可能な業務量と、業績悪化の一途をたどる中での
数字の切り詰めに翻弄され、
上からの責任追及の毎日。
自分らしい仕事なんてものは、最早、作ることもできなければ、
そんなものは必要ないと判断され、ただただ無機質な
ベルトコンベアの上で叩かれるだけのような日々。
それだけならまだしも、悪いことは続くもので、
同じ頃、乳がんに侵された元カノが何も言わず手の届かないところに旅立ち、
その翌日には母親が肺炎で、助かるか助からないかの崖っぷちに立たされ、
仕事もプライベートもボロボロ。不眠と不整脈からの心療内科通い。
そんな1年が続き、そうとう精神的にやられてたのか、
コンビニでおつりの計算もままならなくなり、
食べることもできなくなり、体重は減り続ける一方。

そのときに、地下鉄大通駅で気付いた。

「あの地下鉄に飛び込めば楽になれるじゃん」

あのね、まさか自分が、そんな考え起こすなんて、
今も昔も信じられないんですが、
人間って、追い詰めらられると、どんなポジティブな人間でも
「死」を選ぶことがあるっていうのが、よく分かりました。
それは衝動的自殺ではなく、必然的な流れでそうなるんです・・・

自分の場合、「命をかけてまでやることか！？」と気づき、
退職をその場で決意したから、まだ生きてます。

退職するときも、色々あったんですが、
中でもトップから「今までお前に使った金を全て返せ」と言われたのが
一番、印象的でした（笑）

そんなこんなで、13年間の結晶、退職金100万円を受け取って、
1年間の無職生活開始。
とはいえ、精神的にまいった状態でしたから、
せいぜいパソコン整備士の資格を取るくらいで、
あとは、もう仕事復帰なんてできないんじゃないか、
5年後の自分はどうなってるんだ、
そんな不安しか無い毎日を過ごし、
ネットでサイトを立ち上げて、商売じみたこともやったけど、
そんな不安定な状態でやって成功するわけもなく、ことごとく全て失敗。

それでも、色んなコミュニティに参加して、
何一つ、札幌で人脈のなかった自分にも仲間が徐々に出来始め、
いろんな人達と話してるうちに精神的にも徐々に回復。
しかし、失業保険も出なくなり、100万円の退職金も底をつき
さすがにヤバいと自覚。
某広告代理店の新規事業でネットショップをやるというので、
店長候補として働き出したんですが、
あまりにも面白く無いんで、1ヶ月で逃亡。
（逃亡と言ってもちゃんと筋通して辞めてます！1ヶ月は研修期間だったし）

辞めて2ヶ月後、某Amazonさんが、テクニカルサポート募集してたんで、
なんか面白そうだなと思い、受けたら合格。
そこでの1年は社会復帰のためのリハビリだったと思う。
本当に良い仲間と仕事ができ、3年ぶりくらいに
仕事の自信を少しずつ取り戻し、
1年が経とうとした頃、13年間いた某会社で、
共に戦ってきた信頼する上司が、脳外科手術をすると聞き、
一切、前職の人たちとは連絡を絶っていたのを解禁し、
電話をかけてみたところから、
独立起業への道が開けたんですが、そのへんの話はまたそのうち。

今の自分からしてみたら、こんな過去があったなんて、笑い話ですが、
人生なんて過去を恨むものじゃなく
経験してきたことを1本の糸に紡いで未来をつくるものだと今だから思う。
過去なんて関係なく、変わろうと思えば、
人生は劇的に変わるんだと思います。

そして、最初の話に戻りますが、
もちろん頑張ることは必要だけど、それは維持するために頑張るんじゃなく、
自分の中にあるものを育てるために頑張ることが大切なんじゃないかと。

ただね・・・最近、「頑張る」って言葉が嫌いなのか何なのかは
わかりませんが、「頑張らない生き方」とかいう言葉をよく耳にするし、
それと自分の自由業が同じ生き方みたいに勘違いしている人がいるけど、
頑張らない生き方なんて自由業には無いですよ。
「頑張る方向」を変えることで、
無駄を減らして面白いことと自由度を増やすのが自由業であって、
頑張らないで自由になることだけが自由業じゃないです。
「自由に仕事を作れる」ことが自由業です。

頑張った結果はお金だけじゃなく、
自分の中で育った様々な経験や能力だし、
どんな過去であっても、積み重ねたものの中に
未来を繋ぐ育てられた部品が眠っている。
その部品を掘り起こして自由に組み合わせて作り上げていくことが
自由業なんだと感じる今日この頃でした。