世界構成

【国】
民主主義国家。

【法律や条例の一部】
草食・肉食・雑食など食形態に関わらず、全種族が平等に生存する権利を有する。
特に多産の種族において、各自治体の条例に準じ、間引きが認められる。多くの自治体で間引きは有料となっており、不要な出産をしないよう呼び掛けられている。間引きの際は、該当個体に察知されないように行うことが推奨されている。基本的には麻酔薬を使用した安楽死処分を行うが、一部例外がある。
飛行は、飛行可能地域、飛行可能施設、私有地の屋内で許可されている。違反すると、罰金または懲役、もしくはその両方が課せられる。一部免許取得者(消防、警察、救急医師など)は全域での飛行が許可される。ただし、不要の飛行と判断された場合は、指導や免許停止などの措置を取られる。
飛行は緊急時に限り、全員に許可される。この時、「緊急時飛行届」を原則10日以内に自治体に提出する必要がある。

【肉】
食用肉の取り扱いは、行政の許可を得て加工したもののみ販売が許可される。現在の主流は魚肉を使用した加工肉。研究開発が進んでおり、味、匂い、食感などかなりのバリエーションが展開されているため、肉食や雑食からの不満はほとんど無い。
栄養素の問題は、各種サプリメントや、食品に添付されているもので賄えている。
卵に関しては、鳥類や爬虫類などから提供される。特に産卵数が多い種族は、その卵を販売することで生計を立てているものも多い。有精卵については、食肉法に抵触するのではないかという議論がなされているが、販売者の所有財産であることや、現在の法律において、卵の状態では生命を有する個体とみなされないため違法にはあたらない。有精卵の購入者は孵化前までに処理することが義務付けられている。しかし、それらを全て管理することは不可能であるため、孵化させた後、食殺する事例は少なくはない。悪質なものの一例としては、飲食店の夫婦が自身らの有精卵を孵化させて、客に生きたまま提供していたものがある。誤って孵化してしまった場合は、自治体に連絡すると有料で引き取り処分をしてもらえる。もしくは、認可された病院・精肉店・加工店でも有料で引き取り処分をしてもらえる。無認可や個人での処分は食肉法違反となる。販売しない卵に関しては、自治体が回収・処分を行っている。回収した卵を無断で販売し、逮捕された事件も存在する。

一部、間引きされた個体は食肉用に調理加工される。

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【婚姻】
一夫一妻64%一夫多妻18%多夫多妻5%多夫一妻1%その他12%

同種87%異種12%同種異種混合1%

異種間の子供は、99%以上の確率で父親か母親どちらかの種族になる。ごく稀に双方の特徴を併せ持つ個体が産まれることがあり、キメラ型と呼ばれる。種族の決定には、遺伝子の種族決定因子が作用していると判明しているが、詳細は不明。キメラ型においても種族決定因子は存在が確認されている。父親の種族決定因子をX、母親をYとした場合、通常ではどちらか片方を受け継ぐが、キメラ型はXY両方を持つものと、どちらも持たないものがある。キメラ型同士の親を持つ子世代は、祖父母世代あるいはより以前の種族が発現することが多い。キメラ型が更に産まれる事例もあるが、4世代以上連続の発現は確認されていない。
異種間での受精確率は、同種間のものより圧倒的に低い。特に原種に近いもの、同種間のみで構成されるコロニーでは、異種間の自然受精はほぼみられない。これには、ヒト型(二足歩行体型)への進化が関わっており、ヒト型特徴が多い個体ほど異種間受精率が高くなっている。
現在のところ、正式な調査において、(ごく一部の卵胎生を除き)胎生の個体が卵から産まれることや、卵生の個体が子宮内で生育した事例は存在しない。

【ヒト型への進化】
絶滅種であるヒトに近しい特徴への進化。現代文明を構築する各種製品は、概ねヒトが使用していたものを流用、または改良している。はるか昔(正確な年代は不明)ヒトと原種の遺伝子を融合する実験、ヒトと原種の交配実験などが行われたと推測される。結果、ヒトに近しく好ましい特徴を発現した個体が形成され、それらを元に人工淘汰、次第に自然淘汰を繰り返し、表現型として確立した。

ヒト型系統の特徴
二足歩行に適応し、前肢を手として器用に使う。前肢の形状は多種にわたるが、細く長いものがヒトに近く、器用な場合が多い。指の数は3~4が多く、ヒトの第一指(親指)に相当する指の発達がみられる。この第一指相当の指は、必ずしも第一指ではなく、例えば、第二指が発生箇所や形状の変化によって、同様の機能を備えた場合などもある。本特徴は、道具を使うという点において非常に優位であるため、第一指相当のものが発現しなかった個体は、補助指などを用いることが多い。触手や翼、吸盤といった前肢の形状がヒトと大きく異なるものはその限りではない。現在、指の形状は多岐にわたっているものの、太く短いものが割合として最も多いため、各種道具などはその形状に合わせたものが主流である。複数の形状に対応したものも多い。爪の形状は原種に近いものが多く、種族差が顕著である。特に蹄を有するものは、蹄の軟化がよく見られ、指と同様の動きを行えるような形状になっている。一部原種にあった肉球は、消失している個体が多いが、部分的、または完全に発生している個体も存在する。

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脚は、指で支えるよりも二足歩行に適しているため、踵で支える形状への変化が見られる。指で支える形状のままの個体も相当数存在するが、二足歩行時の膝やふくらはぎへの負担が、踵のそれよりも大きい。手と同様に肉球の消失が見られるが、手に比べ一部、または完全に発生している確率が高い。

頭蓋の発達がほぼ全ての種族に見られる。また、それに伴い頭部の被毛が伸びやすくなった。現在、事由として、頭部の保護を強固にする説と、ヒト遺伝子の介入による、保護などとは関係の無い、ただの飾り毛であるという説が主に挙げられているが、どちらも仮説段階にある。しかし、現状において、頭部被毛を各個体が自己主張として調整していることを鑑みるに、保護目的よりも飾り毛としての側面が大きな割合を占めると思われる。

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内蔵器官は概ね二足歩行に適した構造、ヒトのそれに類似する傾向にある。雑食は特に、ヒトが雑食であったため、現存するヒトの内蔵資料とほぼ同様の構造となっている。肉食、草食は各種臓器の数や大きさなどに差異が見られる。複数の胃を持つ種族では、反芻を必要とする個体とそうでない個体が、同一コロニー内で同時に発生する場合もあり、進化適応が途中段階にあるものとして考えられている。ただし、文明の発達によってそれら形状の違いが、生存面での有利不利に大きな影響を与えなくなっているため、進化適応の速度は緩やかであるとされる。

乳房の発達
ヒト遺伝子の介入により、特に雌において乳房の発達が見られる。ヒトが乳房を大きくする進化を遂げた事由は明らかではないが、その形質を引き継いだことはほぼ間違いないとされている。通常乳腺を必要としない鳥類や爬虫類なども、ヒト遺伝子の介入により、ヒト型への形状変化の過程で発現した。ただし、特に卵生の種族は、乳房や乳腺の発現はあるものの、母乳の生成は無く、(直接の生存とは)不要な器官となっている。

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冬眠の消失
原種の中には冬眠(越冬や越夏なども同様)を行うものもあったが、暖房器具の普及や、食物の通年持続的供給が可能になったことにより、冬眠のデメリット部分の方が大きくなったため、冬眠行動が消失した。この消失は自然に起こったものもあるが、多くは冬眠阻害薬や不冬眠手術などで消失させている。

年齢
ヒト化に伴い寿命が平均化された。世界平均は70歳。ただし、年齢の数え方が統一されていないため、参考数値となる。胎生の種では、おおよそ出産時を誕生として0日目とするが、卵生の種族では、産卵日や孵化日、文化的に卵から音がした日など多岐にわたる。この国では孵化日を0日目とする、孵化誕生日制を取っている。孵化は身体の一部が視認出来た時となっている。

体格差が小さくなり、身長や体重が均一化した現代では、性成熟も同様に均一化の傾向にある。早いもので15週齢、遅いもので20年ほど。

【言語】
世界言語機構により認められた言語が、各国の第一言語として使用されている。本国では、共通言語4型が第一言語として採用されている。共通言語は、どの種族も滞りなく発音出来ることが条件となっており、ヒト型に近付いた声帯でなくとも、ある程度意味が通じる程度に発音出来る。同じ共通言語型を採用していても、地域によって多少の方言が生じる。共通言語の他に、各種族間で通じる種族言語がある。種族言語は、端的な情報伝達を目的とした原種の発声方法を用いるため、共通言語に比べ直接的な表現が大半を占める。本能への刺激を含む言語であるため、特段学習の必要は無いが、ある程度の慣れは必要となる。共通言語が主に使用される現代社会では、種族言語は衰退の方向にある。進化や文化としての保存のため、種族言語保護活動も行われているが、同一種の中でも異なる言語を持つものもあり、難航している。鳥類の一部では分類を行うことが不可能な種も存在している。

【竜】
原種が不明、もしくは何らかの人工的操作がなされ、どの系統にも属さない種が存在する。これらは、比較的近しい種(便宜上○○とする)から「キメラ○○」や「○○複合××」などと呼称されていたが、迫害や差別が起こりやすいことなどの負の側面が大きくなったため、「竜」という新種として制定された。竜は、遺伝子鑑定により分類学的階級の「界」「門」「綱」「目」までのいずれかで、他のどの生物とも当てはまらず、意志疎通が可能であった場合認定される。現在までに27種の竜が認定されている。「界」での竜認定は無い。

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【学校】
各学校への入学は、年齢によらない。初等教育学校は、共通言語での会話が可能で、発音文字を9割以上認識出来たら入学が可能となる。公立私立共に前述の項目を計るテストが実施される。種族性入学制限は私立のみ行っている学校もある。中等教育学校は、初等教育が終了したら入学が可能となる。種族性入学制限が公立校でも一部採用されている。また、各種専門性の学校もある。入学テストは一部の学校で行われているが、公立ではごく少数。高等教育学校は、中等教育終了以上の知識を備えていれば、どの段階にあっても入学が可能。専門性が強化され、その後の進路に大きく影響してくる。高等教育は、規定の教育過程が無いため、学校により学べる項目が変わってくる。中等教育を全体的にレベルアップさせた授業をする学校に入り、興味の湧いた分野が見つかれば、その専門性の高い学校へ編入するという流れが一般的。元の学校へ戻ることや、更に別な学校へ編入するなどは容易であり、それに伴う転居などの費用は税金によって賄われる。5年ほどで成人認定から就職、もしくは大学へ進学する場合がほとんど。大学は、研究機関としての位置付けであり、就職とほぼ同義となるが、給与の発生に多少の遅れがある。大学進学は全体の0.6%である。大学を設置している研究機関がそもそも少ないため、この数値であるが、学校の制度を採用していない企業も多々ある。

【成人】
成人の認定は、高等教育終了時、卒業をもって行われる。この時、年齢は考慮されない。また、高等教育終了以外にも、成人認定試験を受け、基準点を満たした者も成人として認められる。いずれも、初等教育前半の基礎学力と、社会生活をおくる上での社会性や判断力を見るものとなっている。ほとんどの場合は、この認定で落ちることはない。認定されなかった個体は、間引きが許可されている。ここ20年で3件の不認定が出ているが、その後の聞き取り調査で、いずれも意図的な不認定を狙った自殺であったことが判明している。

【住居】
住居は、戸建てと集合住宅が基本。海中戸建て住宅は比較的高価な傾向にある。天然の河川や湖を使用した水中戸建て、半水中戸建て、淡水集合住宅は人気物件のため、価格が高騰している。土中戸建ては比較的安価。半土中物件は陸上戸建てと同価格帯。土中集合住宅は地下深いほど高価。群れ物件は減少傾向にある。

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群れ物件の一例。通常物件と異なり、リビングや寝室にあたる部屋の割合が大きく、複数のトイレと広めのキッチンがある。風呂場は物件によって異なるが、広めに取ってあるか、複数の場合もある。洗濯機などは、一度の洗濯数が多いため、コインランドリーなどの施設を利用する場合が多い。

恒温種向け
最も基本的な造り。全身に被毛を有する種が多いため、換気を行う各所に自動の掃除機能が付いている。また、浴室に全身ドライヤーが備わっている。配水管には、毛が詰まらないようにする器具が付いている。いずれも、被毛型補助金が建築時に適用される。

変温種向け
外壁を構成する箇所に断熱構造が取り入れられている。窓も一部を除き二重窓となっている。また、室内温度が通年で一定となるよう、冷暖房が稼働している。冷暖房費は補助金が出る。

水中向け
電気系統に特殊なコーティングを施してあり、漏電はほぼ無い。照明と通信機器以外のコーティングには助成金などが無いため、通常より高価になる。
水流の強さによって形状が変化する。強いところでは丸に近い形状が取られる。特に河川の場合、出入口及び開閉可能な窓は下流側に限定される。一日の間に家の中全ての水が外部の水と入れ替わるよう、換水機能が付いている。
下水が流れ出さないように、キッチン、トイレ、浴室などは、一時排水と完全密閉から排水が出来、排水後に再度水を満たすことが出来る。この設備は高額であるため、水面に前述の水回りの部屋を置き、下水道に接続している住宅が多い。
呼吸用の空気を取り入れられる箇所が、壁か天井に設置されている。自動で換気されており、体格や呼吸量によって大きさが異なる。
特に湖中住宅において、凍結保険がある。湖面の凍結時に出入り用穴の作成や、物資の輸送、住宅まで凍結した場合の溶解など、凍結による様々な事象に対応している。

半水中向け
住宅の一部が水中にある。リビングにあたる部分が水中にある場合が多い。それ以外の構造は概ね被毛型恒温種住宅と同様。

町の造り
原種本能の名残により、草食種は草食種で集まる方がストレス値が小さくなることが判明している。そのため、草食特区や草食用集合住宅がある。雑食、肉食は特区の設置はない。
靴が普及したので、近年整備された道路は硬い素材が多い。それ以前は、爪の保護のため比較的柔らかい素材が使用されていた。コストや耐久面で硬いものの方が勝っているため、置き換わっている。

【被服】
ヒト化に伴い、被服の着用が始まったとされているが、年代は不明。素肌を隠す、外見の装飾という目的が主。防寒や防水目的としたものもある。


四足歩行時より、後趾への負担が大きくなり普及した。基本的に、足の形に合わせたオートクチュールとなる。鳥類は脚も重要なアピールポイントであり、翼状の手を補助する器官でもあるため、スプレー式のコーティングを施しているものが多い。このスプレーは、吹き付けた箇所に透明な膜を形成するもので、使用後は剥離剤を皮膚と膜の境目に塗布することで、皮を剥くように剥がれる。汚れや傷を防止し、重量も小さいため飛行の妨げになりにくい。被毛とは相性が悪い。一部医療用として類似のスプレーコーティングが使用されている。

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