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やせ我慢で演じる「大人」が素に戻れる親友の存在は超貴重、映画『半世界』

「40代の男が持つモヤモヤをどう解消するのかを知りたい」という気持ちで鑑賞。このモヤモヤが解消されることはなかったが、「やせ我慢で演じる「大人」が素に戻れる親友の存在は超貴重」ということを改めて認識させられた。

作品概要

妻と中学生の息子がいる主人公は、木炭職人で自営業を営み、体を酷使しながら何とか生活を維持し、家庭を妻に任せきりにして、いじめを受けている息子を見て見ぬふりをしてやり過ごしている。そんなある日、小中学校をともにした友人が、地元に帰ってくる。心を閉ざしていたこの友人との触れ合いの中で、仕事も家庭も徐々に変化していく――。というのが本作の概要。ポイントを記すと以下の通り。

本作のポイント

・主人公
 L自営業の父親との確執
  L父へ反抗から反対されていた事業を継ぐ
  L親と自分との比較で自信を持てない
 Lいじめを受けている息子
  L見てみぬふりをしている
 L地元の友人
  L出戻り友人
  L地元を愛する友人

ある日突然大人になるなんて幻想だ

感想を一言で言うと、40才になっても男は子供のまま、ということ。その子供に堂々と戻れるのは、昔の友人たちと会っているときだ。だから、主人公は友人たちとの関係を大切にする。そう、いくつになっても人は子供なのだ。

ただ、家族もいる。だから、断片的にツギハギぎ的に男は、大人にになっていく。大人の男は、強そうに見せかけていて、実は非常に脆弱な存在なのではないか。不惑の40代という言葉があるが、実際は戸惑いまくりだ。ある日を境におとなになるなんて、幻想だ。でもその幻想が世間を包み込んでいるから、人は大人を演じ、その裏で本当は子供である自分と、理想の大人とのギャップに戸惑い、悩む。

20代はまだそのギャップを感じてもそんなものかと思うだろう。おそらく30代からそのギャップに違和感を覚え始め、40代になると、そのギャップに自分は異常なのではないか、と危機感を覚え始める。だからこそ、そういうときにそばにいてくれる友人は、貴重な存在なのだろう。本作では、そのことを強く感じる。

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