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エイプリルフールなんか死ね


 毎年こんなにエイプリルフールを楽しみにしてるの日本のオタクだけなんじゃない?そんなワクワクした気持ちが枯れ果てることになるとは微塵も思っていなかった、2023年4月1日。

 株式会社ブロッコリー、Elements Gardenが共同制作として発表した「うたの⭐︎プリンセスさまっ♪」とそれにまつわる騒動について、プリンセスとしての覚え書きです。

 何もかも忘れたくて突然消すかもしれないし、この騒動一生忘れるなよブロッコリーという気持ちもあるし、どうなるかわかりませんが整理のためです。お暇な方はお付き合い下さい。

 同じお立場の方、背景はご存知でしょうからすっとばして目次の「燃え滓を拾って数える」からどうぞ。



うたプリの抱えていた火種

 背景とこれまでのこと

※一部個人の主観入ってます

・乙女ゲーム発祥、ジャンルは「キスよりすごい音楽ってあるんだよADV」。
・2023年6月で13周年を迎える
・アイドルグループST☆RISH、QUARTET NIGHT、HE★VENSを抱える
・キャラクターの総称はプリンスさま、ファンの愛称はプリンセス
・アニメ化によりヒット、当時はまだほぼなかった男性アイドルジャンルの先駆けとして時代を切り拓いた
・現在の展開は主にグッズ、CD、アプリ、年1あるかないかのリアルイベント
・アプリは2Dモデルの衣装着せ替えができるだけのリズムゲームでスチルメイン、プリンスさまたちの実際のドラマなどのお仕事に纏わる話がイベントとして展開。あくまで本筋はコンシューマーゲームなので、他アイドルジャンルのアプリのように深い話や過去の掘り下げはない
・コンシューマーゲームで展開される話の内容と曲の歌詞がリンクしていることを由来に、ファンは曲を大切にしている傾向。ここ数年はゲームのリリースがないので曲だけがリリースされているかたち
・この12年で3DのMVになったのはわずか6曲
・プリンスさま個人のTwitterアカウントはあるも、現在は年単位で動かないのがザラ。HE★VENSは個人アカウントなし。
・新作コンシューマーゲームの発売が2016年に発表されてから、未だ未発売
・昔のエイプリルフールでも劇団シャイニング再演という、所謂2.5次元の舞台化をした時もめちゃくちゃに炎上した。アイドルが実在するかのように扱うのがうたプリの特徴でもあったので、世界観が根底から揺らいだような衝撃が走った。
・過去に、後発の先輩グループQUARTET NIGHTだけ単独ライブを2回もやって大炎上した。中身の人がプリライとよばれる声優さんのライブのリハで骨折、思ったようなパフォーマンスが出来なかったことからリベンジとして企画が立ち上がったようだが、先発の後輩グループST☆RISHは単独ファンミを1回やったのみで、この時代にファンをやめた人が多かった体感。ファン同士もとてもギスギスしていた。いろんな事情があったのかもしれないが、このジャンルは制作側と声優さんが近いゆえに情によって大きな仕事が決まるようなジャンルなのだと思い知らされた。
・3DCGのライブを映画にしたことで新規層を増やし、暗黒期を脱出した。内容は1作目は3グループ合同で、2作目はST☆RISHのライブ。ただし、2作目をつくるにあたってアイドルが18人→7人に減るため売り上げが見込めないのでは、と企画が頓挫しかけた。実際は1作目を上回る速さで興行収入18億を突破。
・10周年を超えたタイミングで、ブロッコリー株主総会でうたプリをエバーグリーンコンテンツにする、という話がされる
・原作者のアカウントで、うたプリは永遠です、という熱い気持ちがツイートされたこともある
・事務所の違う設定のHE★VENSは、動きがほぼない。誕生日にブログが更新されて、年1くらいでグッズがでる。アプリにも実装なし。
・ブロッコリーの売り上げの約半分はうたプリが担っている


直近の出来事


 つい1週間前、2023年3月23〜26日に開催された2nd 3DCGライブ、通称SSSでのことです。新しいライブの内容はとても良かったんだけどなぁ。


・チケット代が9800〜20000円と高価
・2種類の公演を実施、内容は一部異なるアナウンスあり
・ふたをあければ、2種類の公演共に90分の公演の内4曲分が前回の3DCGライブ(円盤発売済み)の内容を曲中の一言セリフを変更したのみで衣装・ダンス等まるっとそのまま使い回し

→チケット代が高価にも関わらず、ライブの内容を使い回すことに対してアナウンスがなかった点がおかしい

・事前物販ありだが、当日ラインナップに追加された商品あり(トレーディング商品含む)
・物販は事前抽選あり、枠は30分ごと(=会社側が物販に来る人数を把握できていた)
・追加商品の多くが販売開始1時間持たずに終了、多くの人が買えない事態が発生
・事後通販のお知らせが出るも、当日物販で追加されすぐ売り切れたトレーディング商品の上限が120個等数字が異常
・当日物販で追加された商品の事後通販の一部が数量限定で、こちらも買えない人多数

→今回に関わらず、もうずっと続いている物販の在庫に対する改善をここ数年会社側に訴えてきたが、改善される兆しがない


 総じて、ブロッコリー側から軽んじられているのだろうな、と体感する出来事でした。何してもお金は出すと思われているファンの虚しさ、わかりますか。お金出しますよ、だってプリンスさまに会いたいから。お金出させてよ、なんで買うものがないんだよ。在庫ミリも持てないくらいお金ないのか、我々の出資が至らないからか?ごめんな。そんな気持ちでした。


 あと細かい部分で言うと、以下は個人的にちょっとなぁと思ってました。

・毎年バースデーグッズを出していたが、2023年はその気配がないまま1人目の誕生日を約10日後に控えていた
・2022年のバースデーはグッズに加え、各プリンスさまのソロ曲発表+プリツイが1日限定で動くという破格の対応だったため、これで最後だったのでは?という空気が一部にあった(公式からのアナウンスなし)

 展開はあるんだけど、どこかしら先行きの見えない不安がどうしてかある。映画2作目の興行収入良かったし、11月には念願のスタリ単独決まって、2024年にはSSSの3回目、しかもHE★VENS参戦が発表されたばかりです。それでも、どこか、なんとなく。

 基本的にブロッコリーのことを信用してないから、というのもあると思います。こういう些細な(?)出来事が積み重なっていて、運営に関しては落胆することばかりでした。もうそれに慣れてしまった自分が悲しい。


4月1日、着火剤

 うたプリのエイプリルフールは毎年主に3つ、スタリカルナイ合同公式とアプリとHE★VENSです。

・スタリカルナイはYouTubeチャンネル、24時間で動画を24本。フルボイスに立ち絵がぴょこぴょこ動き、過去のコンシューマーゲームを彷彿とさせる内容
・HE★VENSは公式サイトにてミニエピソードの公開。ミニキャラの絵が各キャラ1種類ずつ新規でしれっと公開された
・アプリは新規2D衣装の1日限定着せ替えとフルボイスストーリー3話。24時間限定で、後日URとして実装される可能性あり

 同時に、以下の動きがありました。


・原作者上松さんのアカウントで、「うたの⭐︎プリンセスさまっ」も展開しますどちらも頑張ります、のツイートが4月1日に投稿
・該当名称の公式ツイッターと、個人キャラ3名の個人ツイッターが開設
・女子3人組の2グループを確認、うち1グループにはキャラに声のついていない状態だが3DCGのMVが数秒公開された
・3人分の声優は後日オーディションで決定


 なるべく事実だけ書くようにしたけど主観入ってたらすみません。この時点でかなりやられてしまったプリンセスが続出。
 その後、4月2日に切り替わったタイミングで原作者のツイートが更新されました。要約すると以下。

・あくまで個人の意見です
・プリンセスさまの構想は実はずっと前からあった
・同じ世界線じゃないのでプリンスとプリンセスは交わりません
・ファンの愛称であることは理解してるが自分にとっても大事な名称なので、このまま使いたかった
・ファンの言葉に傷ついてしまった
・こんな気持ちのまま作曲できません、しばらくうたプリの作曲おやすみします

 結果、大炎上しました。


燃え滓を拾って数える

①名前のこと

・長い年月をかけてファン=プリンセスの愛称を定着させてきた、プリンスたちも我々のことをプリンセスと呼んでくれるのに、その名称をとってしまうのはどうして?
・プリンセスという名称を使われた時のファンの気持ちを想像できなかったのか、顧客が何を大切にしているか制作側は全く理解できていなかったということ?
・仮に社内で止める人間がいたとしても原作者の一存で名称が決まったのだとしたらパワーバランスが悪すぎるが大丈夫か?

②発表の仕方

・どうしてもその名前を使いたかったのならもっと丁寧に発表するべきだった、こんなエイプリルフールにTwitterだけで公式+原作者だけがしれっと言うレベルに留めるのはまずいと誰もわからなかった?
・うたプリというジャンルの大きさと、上松さんの中での意識に乖離があるのでは?すでに原作者の手を離れて会社としてチームとして、大局を見て動かなければいけないメインコンテンツのはず。大切に思ってくれているのは嬉しいが、多くの人が関わりを持つ仕事であることを理解しているのか
・上松さん個人のツイートの範疇を超えているが、コンプライアンスどうなってるの?運営大丈夫?
・せっかくのエイプリルフール、せっかく色々準備してくれたのに心の底から楽しめなかった。数少ない、何かしら動きがあるのが約束された日なのに。対外的にもこんな面白いことやります!ってアピールできる絶好のチャンスなのに、潰れるってわからなかったのか


③設定の甘さ

・あんスタやSideMなど、ガールズとボーイズを両立させようとして起こった炎上やサ終の事例はこの世にすでにあるのに、どうしてこんな杜撰な対応でいけると思ったのか
・プロダクションの名前が早乙女等、同じ名前を使ってるのに同じ世界線ではない、キャラメイクも倉花先生でない、というのなら名称を使う意味は知名度のタダノリと原作者のエゴだけ?うたプリの名前を冠する由来はどこに?


④資金リソースの割り振り方

・我々から集金したお金の使い道を決めるのは会社側だが、メインコンテンツで資金不足ムーブかましといて新規コンテンツでいきなり3DCGMVつくってるのどうして??リソースの割り振りに偏りがありすぎでは??
・同日のプリンスは立ち絵がぴょこぴょこ動くだけなのに声もなきガールズは3DCGでMVとはいい御身分ですね
・プリンスたちの立ち絵、もしかしたらドルチェビータ(新作ゲームタイトル)の一部なのかも……えっこの令和にまだ立ち絵ですか?2D LIVEですらなく?これだけ待ったのに??



 私個人は、何よりも一番資金リソースの分配の偏りが気に食わないです。

 会社の売り上げを何かひとつに頼るってのが構造的に危ないのはわかってるし、次のメインコンテンツをってなるのもわかる。資金源が売り上げの約半分を占めるうたプリの利益であることは当たり前だと思います。アイドルものをこのご時世でやろうとするのはいくらうたプリで実績があるとはいえかなり賭けだなと思うし、だからこそ初期投資するのもまぁわかる。

 でもそれって全て、うたプリがおなざりにされてなければ、の話です。

 発売するって言われたゲームを何年も何年もずっと待ち続けて、他ジャンルではケータイのアプリで簡単に見られる(なんなら着せ替えも配置換えもできたりする)3DCGのMVをわざわざ映画館に何度も足を運んで何十回と見て、展開のないグループの先を不安に思いながら買えなかったグッズを公式サイトで眺めてはため息をついて諦めて、高額なチケット代払った久しぶりのライブでは前回と全く同じ映像流されて落胆しながらペンライト振って、そうやって信じて我慢してきた気持ち全部、踏み躙られた。そんな気分です。


 めちゃくちゃな扱いをされながらもついて行ったのは我々個人の判断ではありますが、めちゃくちゃな扱いを受けているという自覚があるからこそ、「この時代に今」「ブロッコリーが」「女子アイドルジャンルに手を出す」ことが果たして発展に繋がるのかと、それ自体が疑わしいのも辛いです。すでにアイマスとラブライブという2大巨頭がいて、エレガでもバンドリやってたりしながらも中々並び立つまでは、それどころか数年継続できるコンテンツだって数えられるほどのレッドオーシャン。そこに今更飛び込むということがどんなに難しいかは、誰しもが思うところがあると思います。
 加えて、既存のメインコンテンツユーザーですら何を望んでいるか、どうすれば顧客満足度が上がるか、という視点を1ミリも持ち合わせていないブロッコリーが、流行り廃りの激しいアイドルジャンルで新規コンテンツを用いて開拓する絵がどうしても思い描けない。ブロッコリーが持っているのは、自分たちが一時代を築くきっかけを作り上げたという過去の栄光への自負と、男性向けジャンルで一花咲かせたいという自分勝手な欲だけだと思っています。過去の栄光だって成功したのはたまたま誰もやったことがないものだったからで、ブロッコリー自体にマーケティング・運営能力があったからではありません。それを10数年かけて証明してくれました。やりたかったことをやって売れたから同じようにするのだと息巻いているのだとしたら、エンタメ業界や消費者を余りにも舐めすぎです。
 たった数秒公開されたガールズのMVに何億かけたか知りませんが、正直あんなの他ジャンルで腐るほど見ます。第三者の、VtuberだってMV持ってるっていうツイート見て、それが世間の認識だよな〜と思いました。 3DCGがあって当たり前の昨今で、既存のうたプリファンは騙せても新規顧客を騙すことはできません。
 だからプリンスさまをおなざりにしてまで投資されたガールズたちに、額に見合う価値があると思えないことが余計に辛い。

 もうさ〜こんだけ続いてるジャンルだからファンも大体いい年齢なんですよ。普段穏やかだしなんやかんや我慢してついていってる。もう人生の一部なんで。
 グッズもCDも毎回買ってるし、なんなら結婚式の会場は推しカラーのお花にしたし、髪飾りもそうだし、推しのプロミスフラワーのブーケだって持った。結婚指輪の裏には推しカラーの石埋めてもらったし前撮りにはぬい持って写真撮ったりして(旦那まじでありがとう愛してる)、その他諸々もう私の大事な記憶と思い出の中にうたプリがある。嫌いになんてなれない、プリンスさまのことが大好きだから、一緒に生きることを選んだから。重くてごめん。それだけ魅力的なんです、プリンスさまたちって。


 ブロッコリーの企業姿勢とは別に、これだけ大好きなうたプリという世界観の根底が揺らいだことがショックで、じゃあ具体的に何が?ということを考えた時、私は「プリンセス」を使われたことよりも、ガールズたちの世界もひっくるめて「うたプリ」ですって言われたことがショックだったんだと思います。


 上松さんが、「うたプリを永遠にする」っていったその言葉を私は大事に握りしめていました。それはもう、命綱のように。ジャンルの先駆者とはいえなくなって、ファンの年齢層も上がって、いつ終わるともしれない未来を怖がっていた私たちにSTART OURSという曲をくれました。他にどんな名曲が生まれようとも上松さんの作る曲が、歌詞が、うたプリを代表するものであることは確かです。

 それがまさか上松さんのいう「うたプリ」に、全然見たこともきいたこともない女の子が含まれてるなんて思わんや〜〜〜ん????


 元々ブロッコリーという企業を信用してなくて、上松さんという素晴らしい楽曲を提供してくれる作曲家を筆頭とした技術チーム・実働スタッフさんのことを辛うじて信じてやってきた中で、こんな優良誤認みたいなことされて、裏切られたって気持ちになってしまった。私たちは一体何を信じてついていけばいいのですか。

 自分の求めているものが提供されなくなった時、自分がメインターゲット層から外れてしまったということに等しいのでその時は潔くそのジャンルを去ったほうが良いというのが持論なんだけど、今回ばっかりは私の求めているものが悪いのか、なんなのか。もうなにもわかりません。

 同じ方向を向いてると思ったのに全然違うものを目指してたと知った時の気持ちは、最早虚無に近かったです。


 私はうたプリのファンだけど、上松さんのファンではないです。今はもういろんなクリエイターの方々がプリンスさまの曲に携わってくれているので楽曲の心配は正直そこまでしてないけど、ここぞ!と言う時の上松楽曲がないのはさみしいなと思います。その程度。
 ただ、情で仕事を決めがちなうたプリが展開を止めてしまわないかだけ心配です。もう一個人の感情でどうこうするレベルじゃないでしょうが…会社潰れるで…

 シンフォギアもうたプリより先に企画書だしたって言ってたし、本当は男性向けやりたいんだろうな。ごめんなこんなうたプリ大きくしちゃって、こんな声の大きい行動力のあるファンばっかりで。もう私たちが諦めるか、上松さんが諦めるかの2択しかないのかな。


 嘘だって言ってくれたら良かったのに。
 もう何もかも、遅いけど。

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