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味の濃いラーメンを食った後に吸う煙草は最高って話。

街灯よりも月明かりの方が眩しい田舎町で、夜遅くまでやっている飲食店は貴重なのだ。国道沿いのラーメン屋ではあいみょんが流れている。金がないくせに麺は大盛り。生きているだけで腹は空く。武士は食わねど高楊枝というが、それは武士という階級をもっているからこそ言える痩せ我慢だ。何の社会的階級も肩書きも収入もない僕らだから、腹一杯に食った上でラーメンのネギが挟まった歯で笑ってやろう。

僕らに目的などなく、ただひたすら朝日から逃げるために車を走らせていた。月の綺麗な夜だったので、車窓から月を眺めようとした。助手席のセンターピラーで綺麗に月食が起きてしまっていたのだが、体を起こす億劫さが勝ってしまったので、淡い光だけを頼りに見えない月を見ていた。

ギリシャ時代からはだいぶ人類は進化したはずだが、太陽が昇る速さには勝てない。僕はメロスではない。昇り切ってしまえば恨めしい太陽も、朝焼けという名を冠した時には愛すことができる。一瞬の心残りで先延ばしにするだけの人生だ。街灯と朝焼けが混じる奇妙な時間にセブンスターの煙だけを見つめていた。


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