チャイポ(OFC)の11枚目を上段に置くか下段に置くか悩んだときの判断基準について


チャイポのカードの置き方について友人と議論する機会があった。そういえばこういうのを真剣に考えたこともなかったなと思い、暇だったので、以下の画像で示すようなシチュエーションではどう置くのが最適なのかを、本記事では真剣に考察してみることにする。



今回のチャイポはOFCのヘッズアップであり、山札は52枚+ジョーカー2枚の計54枚である。
また、話を簡単にするための前提条件として、ここでは「2を中段に置き、4を捨てる」ことは確定としたい。

以上を踏まえた上で、残りの7を上段に置くのと下段に置くのとでは果たしてどちらがより優れた置き方なのか、という点が今回の論点である。

本記事ではまず、それぞれの"割れない"確率を実際に計算して、上段か下段どちらに置いた方が割れる確率が低いのかを導出したあとに(本記事中ではバーストのことを"割れる"と表現する)、その計算過程から得られる教訓として、この状況をできる限り一般化し「上段か下段のどちらに置く方がBetterか」を任意の場面で判断するための簡易手法を提案する。

前半部分については"小学6年生でも分かる"を前提で執筆したので、中学・高校の数学(確率)でつまづいた、という方もぜひチャレンジして頂きたい。

(※筆者注)本記事は結果よりも計算過程を重視しているため、結論は後回しとしています。結論だけ見たい方は最後まで一気にスクロールしてください。また、全体的に小難しく書いていますが、本記事の結論はおそらく、チャイポの腕に覚えのあるギャンブラーの皆さんからすれば明らかでしょう。記事を読み進める前に、自分なら上段に置くか下段に置くか、感覚で選んでみてください。ではさっそく、本題に入ります。

最初に、
①7を下段に置いた後に"割れない"場合の数
②7を上段に置いた後に"割れない"場合の数
と,、それぞれの状況を番号①②で定める。
当たり前のことであるが、①と②の結果を比較したときに、より大きい場合の数となった方が"割れにくい"ということになる。
読者におかれては、以下の計算過程を眺めながら、トランプのどの要素がそれぞれの場合の数を増大させることに寄与しているのかを考えながら読み進めて頂くと、より有意義な時間となるであろう。

さてまずは、①と②に共通するものとして、状況①②の全事象を考える。これは、残りの山にある31枚(※)のカードの中からランダムに3枚のカードを選ぶ組み合わせの数と等しい。

(※) ディスカード記録から読み取れる残り枚数30枚 + ジョーカー1枚で31枚。この数字は後でも出てくるので要注意。

まずは、確率計算が不慣れな方に向けて、この全事象の場合の数の求め方を丁寧に解説する。

こういうときはまず、「31枚の山の中から1枚ずつ引いて机の上に3枚並べる」ことを考えてみるとよい。
机に並べる場合は、「1枚目のカードは31種類の可能性」があり、2枚目は「1枚目で選ばれたカードを除いた30種類の可能性」があり、3枚目は同様に考えて「2枚を除いた29通り」の可能性がある。
したがって、机の上に並べるときは、31×30×29通りの場合の数が存在するのである。

ただし、いま本当に考えたかったのは机の上に並べる場合の数ではなくて、手札に3枚をもらう場合の数である。これらの違いは、その3枚が例えば【K/T/9】と配られる場合と【K/9/T】と配られる場合を区別するのか、という点にある。机の上に並べる場合はこれらを区別するが、チャイポのように手札でもらうだけの場合は、これらを区別しない。【K/T/9】の並べ方を全て書いてみると、

【K/T/9】【K/9/T】【T/K/9】【T/9/K】【9/K/T】【9/T/K】

となる。並べるときはこれを6通りと数えているが、手札にもらうだけのときはこれを1通りと数えるべきなのである。例に上げたのは【K/T/9】の1例であるが、実際にはすべての3枚の組に対してこの6倍のかぶりが発生しているのだから、並べるときの場合の数は、今我々が求めたい数字よりも6倍多いのである。
したがって、「31枚の山の中から3枚の手札をもらう」場合の数は、
31×30×29 ÷ 6 = 4,495 (通り)
と計算できるのである。これがまさに、本記事で考えている状況での全事象の場合の数である。
トランプの組み合わせに関係なく、OFCで12枚目と13枚目を置く時点では常にこの4,495通りが全事象となる。

さてここからは、①と②それぞれの計算に入っていく。
以下、ジョーカーを「Z」で表すこととする。

まずは①について、
「7を下段に置いた後に"割れない"場合の数」は、

(あ)「次に配られる3枚のカードの中に、【Z/K/T/7】が少なくとも1枚含まれている場合」

の数と等しい。これは、下段において2ペア以上の役を成立させることができるかどうか、を考えると分かりやすい。

ただ、さっそくで申し訳ないが、この場合の数を直接求めることは極めて困難である。
なので、この計算においては、確率計算でよく使う"余事象"を使う方法で導出する。

余事象とは「ある事象に対して、それが起こらない事象」である。この場合は、(あ)を直接求めるのではなく、(あ)が起こらない場合を計算して全事象から引き算して(あ)を求め、(あ)を直接計算することを回避するのである。(これは、余事象を求めるほうが明らかに簡単だ、と明確に分かる今回のような場合の常套手段である。)

いま、(あ)の余事象を(い)と定義すると、(い)は;

(い)「次に配られる3枚のカードの中に、【Z/K/T/7】が1枚も含まれない場合」

と書ける。この場合の数を計算するのはとても簡単である。
(い)の場合の数は、残りの31枚から【Z/K/T/7】の残り枚数の合計7枚を除いた24枚の中からランダムに3枚のカードを選ぶ組み合わせの数となる。この計算も、冒頭で示した全事象のときと同様に考えればよく、
(い)の場合の数 = 24×23×22÷6 = 2,024 (通り)
と計算できる。
これは(あ)が起こらない場合の数(いわば、①の状況下で"割れる"場合の数)であることから、
(あ) = (全事象) - (い)
  = 4,495 - 2,024
= 2,471 (通)
と計算できる。


次に②について、
「7を上段に置いた後に"割れない"場合の数」は、①の同じように考えると、一見、次の状況(A)と等しいように思われる。

(A)「次に配られる3枚のカードの中に【Z/K/T】が少なくとも1枚含まれている場合」

これは①と同様、下段において2ペア以上の役を成立させることができるかどうかに着目した条件設定であるが、実は②は①と決定的に違うところがある。それは「下段に2カード分の空きがあること」である。
これはすなわち、7を上段に置いた場合は、たとえ配られた3枚に【Z/K/T】が含まれていなかったとしても、配られた3枚の中にペアが存在すれば、その二枚を下段に置くことで下段に2ペアを成立させることができる、ということである。
つまり、①と比較して②は、上記(A)の状況に加え、状況(B);

(B)「次に配られる3枚のカードの中に【Z/K/T】を含まず、かつ同じ数字のカードが2枚以上含まれている場合」

も"割れない"という条件を満たすのである。
したがって、②の場合の数は、(Aの場合の数) + (Bの場合の数) となり、(A)と(B)を合計した数字となることが分かる。
ではさっそくそれぞれを計算してみよう。

まず(A)について、
①で計算した(あ)とやりかたは同じなので、ここでは簡単に記述する。
(A)の余事象は「次に配られる3枚のカードの中に【Z/K/T】がひとつも含まれない場合」であり、これは、残りの31枚から【Z/K/T】の残り枚数の合計5枚を除いた26枚の中からランダムに3枚のカードを選ぶ組み合わせの数となるので、 26×25×24÷6=2,600 (通り)あり、これを全事象から引き算することで、(Aの場合の数) = 4,495 - 2,600 = 1,895 (通り)と求めることができる。

次に(B)について、
(B-1)「次に配られる3枚のカードの中に【Z/K/T】を含まず、かつ同じ数字のカードが3枚含まれている場合」
(B-2)「次に配られる3枚のカードの中に【Z/K/T】を含まず、かつ同じ数字のカードが2枚含まれている場合」
の2つの場合に分けることができる。

これらを考えるにあたり、残り山の31枚を、同じ数字が何枚残っているのかに着目してまとめてみると、

残り4枚生きている数字 → 1種類(Qのみ)      
残り3枚生きている数字 → 3種類(A/K/9)     
残り2枚生きている数字 → 8種類(J/8/7/6/5/4/3/2) 
残り1枚生きている数字 → 2種類(Z/T)

となる。

(B-1)については、残り3枚以上生きている数字を引いたときしか起りえない状況であるから、次の2つの場合のみが考えられる。

・残り4枚生きている数字から3枚を選ぶ場合の数
 → 4枚のQから3枚を選ぶ場合の数だから4通り(4枚のQのうちどのQを使わないのか、と考えると分かりやすい)

・残り3枚生きている数字から3枚を選ぶ場合の数
 → A/K/9の3種類でそれぞれ1通りずつあるが、Kは使ってはいけないため、2通り

この2通りを合計し、(B-1)の場合の数は、4 + 2 = 6 (通り) となる。

次の(B-2)については、残り2枚以上生きている数字を2枚だけ引いた場合にのみ起こる。ただし、配られる3枚のうちのペアでない残り1枚の組み合わせも考慮しなければいけない分、(B-1)と比較して少し複雑になる。とはいえ、先ほどと同じく、残り何枚生きているかによって次のように3つの場合に分けられる。

・残り4枚生きている数字から2枚を選ぶ場合の数
 →残りの4枚のQから2枚を選ぶ方法は、4×3 ÷ 2 = 6 (通り)あり、この6通りそれぞれに対し、残り1枚の選び方は、「残り山の31枚からQ4枚と【Z/K/T】の5枚を除いた22通り」あるから、22 × 6 = 132(通り)

・残り3枚生きている数字から2枚を選ぶ場合の数
 → ペアの種類は、(A/K/9)の3種類があるが、Kを使ってはいけないことに注意すると実際はA/9の2種類。3枚ずつ生きているA/9それぞれに対し、2枚の選び方は3通りずつ存在する(例えば3枚のAから2枚を選ぶ選び方は、3枚のうちどのAを使わないのか考えると3通りあることが容易に分かる)ので、2 × 3 = 6 (通り)のペアの作り方が存在する。この6通りそれぞれに対し、残り1枚の選び方は、「残り山の31枚からA or 9の3枚と【Z/K/T】の5枚を除いた23通り」あるから、23 × 6 = 138(通り)

・残り2枚生きている数字から2枚を選ぶ場合の数
 → 残り2枚だけ生きているのは8種類(J/8/7/6/5/4/3/2)あり、それぞれの2枚の選び方は当然1通りずつある(だって2枚しかないので)。これら8通りそれぞれに対し、残り1枚の選び方は、「残り山の31枚からペアに使用した2枚(8種類のどれか)と【Z/K/T】の5枚を除いた24通り」あるから、24 × 8 = 192(通り)

これら3つの場合を合計し、(B-2)の場合の数は、132+138+192= 462(通り)となる。

以上より、(B-1)の場合と(B-2)の場合を合計した、 6 + 462 = 468 (通り)が、(B)の場合の数となる。

ここまでついてきてくれた読者が何名ほどいるかは分からないが、そろそろいま何を計算しているんだっけ?と分からなくなってきている方がいるかもしれないのでおさらいすると、今やっているのは②「7を上段に置く場合」の計算である。②は(A)と(B)の二通りの場合に分けられるため、(A)と(B)をそれぞれ計算しており、先ほど(B)の場合の数が導出できた、というのが現状である。
おさらいはこのへんにして、これでようやく(A)と(B)それぞれの場合の数が求まったので、これらを合計して、

(Aの場合の数) + (Bの場合の数) = 1,895+468=2,363 (通り)が②の場合に"割れない"場合の数である。

ここまでの計算をまとめると、

①7を下段に置いた後に"割れない"場合の数 → 2,471通り
②7を上段に置いた後に"割れない"場合の数 → 2,363通り

であることが分かった。全事象が4,495通りであることを考慮して確率に変換すると、

①7を下段に置いた後に"割れない"場合の確率 → 2,471÷4,495=0.5497 ≒ 55.0%
②7を上段に置いた後に"割れない"場合の確率 → 2,363÷4,495=0.5257 ≒ 52.6%

となる。つまり、割れないことだけを考えると、今回考察しているシチュエーションでは、7は下段に置くべきだ、という結論になることが分かる。これまでの経験や感覚から、こういうときは7は下段に置いた方がいい、と認識しているギャンブラーの皆さんも、ここまできちんと計算したことはなかったのではなかろうか。いずれにしても、正解されたギャンブラーの皆さんにおかれては、皆さんの感覚が正しかったことがこれで証明されたので、これからも自信をもってチャイポに励んで頂きたいと思う。

さて、ここまでで冒頭に上げた個別事例の計算は完了したが、意外と7の置き場所が上段か下段かでそれほど確率に差がないという事実に驚かれた方も少なくないのではないだろうか。

今回例に上げたシチュエーションはOFCでは結構よく見る光景であろうし、これだけ上段と下段で差がないとすれば、なんらかの条件では上段置きが優位となるシチュエーションが存在するかもしれないということになる。これまでは常に下段置きを選択してきたという方は特に気になって夜も眠れないであろう。
せっかくなのでここからは、今回計算した個別事案の計算過程をできるだけ一般化し、似たようなシチュでの下段置きか上段置きかの選択基準を考察してみたい。

今回考えた状況は、10枚目を置いた時点で、
・ジョーカーが残り1枚
・下段に1ペアが完成
・中段には下段より下の2ペアが完成(下段にペアができさえすれば割れることはない状態)
・空き場所は上段に1枚分、下段に2枚分
となっているときに、11枚目を上段か下段のどちらに置くべきか、というシチュエーションであると一般化できる。

ここで、11枚目のカードを【W】とし、10枚目を置いた時点での下段のカードを【XYY】(Yがペア)として、

残りのWの枚数をL枚 (Lは0以上3以下の整数) (上の例では L = 2)
残りのXの枚数をM枚 (Mは0以上3以下の整数) (上の例では M = 3)
残りのYの枚数をN枚 (Lは0以上2以下の整数) (上の例では N = 1)

とL,M,Nそれぞれを定める。残りのZ(ジョーカー)の枚数は1枚であることに注意する。

この上で、例と同様、11枚目のWを下段①か上段②どちらに置くか、を考察してみる。

まず①「Wを下段に置いた場合に割れない場合の数」について、余事象を考えると、
(①の場合の数) = 4,495 - (30-L-M-N)×(29-L-M-N)×(28-L-M-N) ÷ 6
とかける。この値は(L+M+N)に依存しており、(L+M+N)が大きいほど①の場合の数は大きくなる。実際、
(L+M+N)=7のとき、(①の場合の数)= 2,724(通り)
(L+M+N)=6のとき、(①の場合の数)= 2,471(通り) ※ 上記例はこれ
(L+M+N)=5のとき、(①の場合の数)= 2,195(通り)
(L+M+N)=4のとき、(①の場合の数)= 1,895(通り)
となる。

次に②「Wを上段に置いた場合に割れない場合の数」について、例と同様に(A)と(B)を定義したとする。

このとき(A)については、
(Aの場合の数) = 4,495 - (30-M-N)×(29-M-N)×(28-M-N) ÷ 6

とかける。①との違いはLの有無であるが、これはWを上段に置いたことで、もしWを1枚だけ引けたとしてもそれだけでは下段に2ペアを成立させることができなくなっているため、と考えると理解しやすい。
また、この値は(M+N)に依存しており、(M+N)が大きいほど(A)の場合の数は大きくなる。実際、
(M+N)=5のとき、(Aの場合の数)= 2,195(通り) ※ 上記例はこれ
(M+N)=4のとき、(Aの場合の数)= 1,895(通り)
(M+N)=3のとき、(Aの場合の数)= 1,570(通り)
(M+N)=2のとき、(Aの場合の数)= 1,219(通り)
となる。

①とAの導出方法が同じであることに着目すると、変数部分をβに置き換えた次の表記で①とAの式を統一できることが分かる。

(場合の数) = 4,495 - (30-β)×(29-β)×(28-β) ÷ 6

β=7のとき、(場合の数)= 2,724(通り)
β=6のとき、(場合の数)= 2,471(通り)
β=5のとき、(場合の数)= 2,195(通り)
β=4のとき、(場合の数)= 1,895(通り)
β=3のとき、(場合の数)= 1,570(通り)
β=2のとき、(場合の数)= 1,219(通り)

①とAが同じ式で書けるという事実は、(① - A)の値はLの値に大きく依存することを表しており、実際、①とAとの差をL=0,1,2,3それぞれに応じて表にまとめてみると、次のようになる。

(表1)①とAの差分

たしかに、①とAが1つ差(L=1)か2つ差(L=2)か3つ差(L=3)か、で差の値の傾向が似ていることが分かる。

ここで、② = A + B であることから、
・(① - A)の値がBより大きいとき、下段置きが優位
・(① - A)の値がBより小さいとき、上段置きが優位
となることに注意して冒頭の例のシチュエーションを改めてみてみると、L=2(7の残り枚数が2枚)であり、①が2,471、Aが1,895だったから、(① - A) = 576の箇所に該当する。先の例ではBの値が468だったから、①とAの差分よりBの方が小さくなった結果、下段置きが優位であると結論づけられたことは、先に示した通りである。
上表から読み取れる傾向として、Lの値が大きいほど①とAとの差が大きく、L=1においては軒並み300程度となっており、次に考察するBの値の振れ幅によっては、上段置きが正当化される可能性が高いことが読み取れる。

最後に、(B)の振れ幅について考察する。
以下では、(B-1)と(B-2)を例と同様に定義する。

まず(B-1)について。
(B-1)は3枚以上生きているカードの種類の数に依存するが、ジョーカーありのOFCにおいては相手側の中段及び下段にもペアが置かれることが多いため、11枚目を置く時点でのディスカード記録に置いて3枚以上生きているように見えるカードは少ないだろうことと、下段を構成する【X/Y】を除く必要があることを考慮すると、(B-1)の場合の数は高々20(通り)程度であろうと推測される。つまり、(B)の値にとってより支配的なのは(B-2)の場合の数であるため、本記事では(B-1)の考察は省略する。

次に(B-2)について。
・残り4枚生きている数字がD種類
・残り3枚生きている数字がE種類
・残り2枚生きている数字がF種類
とD/E/Fを定めた上で、最初の例と同様の計算を行うと、

・残り4枚生きている数字から2枚を選ぶ場合の数 = D × 6 × (27-M-N)
・残り3枚生きている数字から2枚を選ぶ場合の数 = E × 3 × (28-M-N)
・残り2枚生きている数字から2枚を選ぶ場合の数 = F × 1 × (29-M-N)
となる。いくつかの場合を当てはめて実際に計算してみると、

M+N = 5のとき、
・残り4枚生きている数字から2枚を選ぶ場合の数 = D × 132
・残り3枚生きている数字から2枚を選ぶ場合の数 = E × 69
・残り2枚生きている数字から2枚を選ぶ場合の数 = F × 24

M+N = 4のとき、
・残り4枚生きている数字から2枚を選ぶ場合の数 = D × 138
・残り3枚生きている数字から2枚を選ぶ場合の数 = E × 72
・残り2枚生きている数字から2枚を選ぶ場合の数 = F × 25

M+N = 3のとき、
・残り4枚生きている数字から2枚を選ぶ場合の数 = D × 144
・残り3枚生きている数字から2枚を選ぶ場合の数 = E × 75
・残り2枚生きている数字から2枚を選ぶ場合の数 = F × 26

となる。これ以上のケーススタディは煩雑になるだけなのでこの辺りで打ち止めにするが、(B-2)の値は残り4枚生きている数字の種類の数にかなり左右されることが分かる。この結果から分かることとして、11枚目を上段に置き、下段に2枚分のスペースを空けた状況に置いては、4枚生きているカードが1枚増えるだけで下段に2ペアを成立させることができる場合の数が大きく増えることが分かり、4枚生きている数字の種類数が重要な指標となることが分かる。(これは概ね直感の通りだろう)


以上、長々と書き連ねてきたが、これらの考察の結果を利用して、冒頭の例のようなシチュにおける上段か下段かの厳密な指標を作ることができる。
ただ、厳密なものを作ったとしてもパターンが多すぎて覚えられないし、仮に覚えられたとしても、実戦の限られた時間の中で正確に判断するのは不可能に近い。
と、いうことで、本記事の最後にこれまでの考察結果をわたしなりに(多少の厳密さを犠牲にして)まとめた簡易的な指標を紹介しておく。興味のある方はぜひ参考にしてほしい。


<例題の答え>(答えだけを見るために最後までスクロールした方向け)
①7を下段に置いた後に"割れない"場合の数 → 2,471通り
②7を上段に置いた後に"割れない"場合の数 → 2,363通り
のため、下段置きが正解。


<簡易的な指標>
(i) … 11枚目のカードの残り枚数が1枚以下の時は、必ず上段に置くべき
(ii) … 11枚目のカードの残り枚数が3枚の時は、必ず下段に置くべき
(iii) … 11枚目のカードの残り枚数が2枚の時は、次の指標で判断する。
 (既に下段に置かれているカードを除いて、)
 ・残り4枚生きているカードが3種類以上存在するときは、上段置き
 ・残り4枚生きているカードが1種類以下存在するときは、下段置き
 ・残り4枚生きているカードが2種類以上存在するとき、
→  残り3枚生きているカードが3種類以上であれば、上段置き
→  残り3枚生きているカードが2種類以下であれば、下段置き


以上、最後まで読んで頂きありがとうございました。


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