よくある質問

Q 路上がだめならお店で飲めばいいじゃん?
A お金があればもちろんそれも楽しい。実際、お金に余裕がある人にとってはこの条例は関係ないかもしれません。この条例が対象にしているのはドンキやコンビニで缶チューハイなんかを買って安く飲みたいと考えるような、お金のない層。渋谷区はハロウィンに町が多数の人々であふれかえることそれ自体をまず問題視しています。多すぎる人の中でだれを排除するべきか?と区が考えた時、お金がない種類の人々を街から追い出そうと決めたのです。この条例が成立すれば、渋谷はお金持ちと観光客だけの街、貧乏人が来ても面白いことができない街、つまり「楽しむこと」に格差のある街になってしまいます。お金持ちも貧乏人も、生きてる限りにおいて「楽しむこと」は平等であるべきだと、私たちは考えます。
また、広場や道端など、開かれた空間でお酒を飲むということは、他では代えがたい独特の経験を私たちに与えてくれます。いつの間にか知らない人が輪に加わっていたりして、職場や学校と自宅の往復だけではありえないような新しい人と出会ったり、思いがけない出来事に遭遇するかもしれない。そういう創造性に開かれた行為です。路上で飲む行為は、バーや居酒屋で飲むことでは単純に代替できません。
とくに渋谷区は、お金はなくともエネルギーにあふれる若い世代がたくさん集まってくるからこそ、その文化と産業が発展してきたという歴史があります。お金がない人を排除し、「普通」や「常識」とは外れるような新しい出会いや出来事を禁止することは、渋谷という場所の個性と魅力をなくしてしまうことにつながることは間違いありません。
ちなみにこの条例は「飲酒」を禁止することばかり注目されがちですが、第7条第3項で「他人に迷惑をかける行為又は危害を及ぼす恐れのある行為」を禁止しています。ここでいう「他人に迷惑をかける行為」とは何か?という質問に議会で区役所のお役人サマが答えたのは、広場や道端で「車座になって座ったり、踊ったり、常識的に考えてありえないこと」を指すらしい。つまり区のお役人が「常識的じゃない」って思ったら何でも禁止できてしまうということ。ていうかそもそも、あらゆる人に通用する「常識」なんてものが存在しないから法律や条例というルールが必要なのに、その条例で「常識的にありえないことは禁止にしましょう」ってどういうこと? 全然筋が通ってない!

Q お酒禁止はハロウィンだけでしょ? それなら別に…
A 路上での飲酒が禁止になるのはハロウィンの一週間と、カウントダウンの大晦日からお正月。そして、全然報道されていないけど「区長が特に必要と認める期間」にも飲酒を禁止できるのです。そしてこの条例、どういうときが「必要」なときなのかを一ミリも書いていない。だから条文上はいつでも区長の好きな時に禁酒にできてしまう、区の裁量がすごく大きいという問題があります。こういう曖昧な書き方しかしていない条例だから、今後の運用次第ではハロウィンやカウントダウンに限らず路上飲酒の自由を規制してくるかもしれないんです。
 また、この条例は「特定の期間に路上飲酒を禁止する」部分ばかり注目されているけど、「音響機器などにより音を異常に大きく出す行為」や「他人に迷惑を及ぼす行為又は危害を及ぼす恐れのある行為」を禁止する条文があって、それには期間の縛りがありません。例えば路上ライブや政治家や社会運動の演説のほかにも、スピーカーを出して好きな音楽を聴きながら飲んだり、踊ったり、サイファーしたりすることもこの条例では取り締まりの対象になってしまいます。「ハロウィンだけでしょ?」と油断していたら渋谷の街で何にもできなくなってしまうかもしれない。

Qハロウィンのごみ問題はどうするの?
Aお酒に酔った人が街にゴミを捨てることが問題ならば、ゴミのポイ捨てを防ぐ条例を作れば良いのであって、路上でお酒を飲んで楽しむことを禁止するのはおかしい。20歳を超えていれば、お酒を飲むこと、お酒を飲んで楽しむことは人間の権利。飲酒とごみ問題は分けて考えるべきでしょう。

Qハロウィンでものを壊す人がいる・ケンカがたくさん起きる・痴漢被害があるのはどうするの?
Aお酒を飲んでいようがシラフだろうが、器物破損、他者への暴力、痴漢・性暴力は刑法で禁止されている犯罪。上でも述べたように、お酒を飲むことと暴力行為は別問題。単に人を傷つける行為を取り締まれば良いのであって、楽しむことを禁止するのはお門違いです。

Qどうして区民じゃない人が渋谷区についていろいろ言っているの?
A渋谷の街をつくるのはそこに住んでいる人だけではない。まちを訪れる人たち、その空間を利用する人たち(条例の言葉でいうところの「来街者」)がいなければこの渋谷とそのカルチャーは成り立たない。また、この条例は区民の権利や義務について定めるものではなく、むしろ来街者の行動に制限をかけるもの。渋谷区民の生活は当然守られなければならないが、この条例が制限をかける対象となる人々の声を無視して良いものではありません。

Q 罰則規定がないんなら別にいいんじゃない?
A 確かに今回の条例案には具体的な罰則規定は書かれていません。だけど、渋谷区側は罰金を取りたいと議会ではっきり言っているので、この条例を一度成立させてしまったら、この後どうなるかわかりません。この条例をある種の「理念法」としつつ、もっと具体的な罰則を定めた条例が出てくる可能性も大。その上、区は「警察と連携して指導に当たる」と議会で言っています。つまり、罰則規定がなくても警察の力を背景にした高圧的な運用が想定されているということです。飲酒を注意されて、ちょっと文句を言ったら逮捕、なんてこともあるかも。

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