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#Illustrator のアートボード管理とスクリプト

Illustrator はドキュメント上にアートボード名が常に表示されません。アートボードツールに切り替えれば目視できますが、その都度アートボードを編集するモードに入ってしまい、作業の流れを中断してしまいます。
また、複数あるアートボードの名称や座標・サイズを管理するのも決して快適とは言えない状態です。

そこで、私たち三階ラボが長年採用しているアートボードの管理方法と共に、アートボードに関するスクリプトをご紹介します。

アートボードをレイヤーで管理する

私たちは特定のレイヤーにグループを配置し、スクリプトでアートボードに変換することによってアートボードを管理しています。

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グループにはテキストとパスをそれぞれ1つ入れ、テキストはアートボード名に、パスの座標・サイズはアートボードの座標・サイズに対応します。
こうすることで、常にアートボード名が把握でき、普段使っているツールでアートボード名やアートボードの座標・サイズを変えることができます。

アートボード用グループを用意する

まず、アートボードを管理するレイヤーを用意します。レイヤー名は「/artboard」とします。以降このレイヤーを「アートボード用レイヤー」と呼びます。

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次に、アートボード用レイヤー内に、アートボード名となるテキストと、アートボードの座標やサイズの元となる矩形のパスを用意し、そのテキストとパスをグループ化します。以降このグループを「アートボード用グループ」と呼びます。

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既存のアートボードを元に作成したい場合は、以下のスクリプトでアートボード用レイヤーアートボード用グループ自動作成することもできます。

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アートボード用グループを調整する

アートボード用グループは一度作ってしまって後は複製しながらテキストや座標・サイズを変更していくとスムーズです。
アートボード名を連番にしたり、まとめて選択して順に編集したい場合は、以下のスクリプトがおすすめです。

テキストに指定した文字や連番を追加するスクリプト

テキストを編集するスクリプト[有料]


アートボードを再構築する

アートボード用グループが用意できたら、それらを元にアートボードを再構築します。
再構築するときは、以下のスクリプトを使用します。

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左上のアートボード用グループから順に、右に向かってアートボードを構築します。
ストーリーボードのような、左上から下に向かって構築したい場合は「アートボードを再構築する(ストーリーボード)」をご使用ください。

アートボードを再構築するスクリプトは、アートボード用レイヤー「/artboard」内のアートボード用グループを参照します。アートボード用グループ内のパスサイズやテキスト内容を変えたりアートボード用グループ自体を追加した後、スクリプトを実行するだけで、アートボードを一瞬で組み立てなおすことができます。アートボード用レイヤーをロックしたり非表示にしたままでも再構築できます。

アートボード用グループを作成するスクリプトとアートボードを再構築するスクリプトは、アートボード用レイヤー名を参照し実行します。
初期値は「/artboard」になっていますが、お好みのアートボード用レイヤー名に変更できるスクリプトを同梱しました。

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一連のフローから「めんどくさそう」「複雑そう」と思われるかもしれませんが、一度アートボード用レイヤーとアートボード用グループを作ってしまえば、以降の調整が圧倒的に楽になります。
ちなみに、私たちはアートボード用レイヤーとアートボード用グループをあらかじめ準備しておいたテンプレートファイルを使っているので、初手の手間は一切かかっていません。テンプレートファイルは本当におすすめです。


アートボードを個別に調整する

アートボードを再構築するスクリプトは、アートボード用レイヤー内のアートボード用グループを元にまとめて調整を行いますが、アートボード1個だけをひとまず調整したいこともありますよね。

そんなときは、以下のスクリプトを使用します。

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このスクリプトの特徴は、アクティブなアートボードだけを調整するところです。選択した1個のアートボード用グループを元にアクティブなアートボードだけの調整を行います。さらに、選択しているものがパスだけならアートボードの座標とサイズを調整し、テキストだけならアートボード名だけを変更します。アートボード用レイヤー内にないオブジェクトを選択していても実行可能です。


アートボードを追加する

アートボード全体を再構築するのではなく、現状のアートボードはそのままで、新たにアートボードを追加する場合は以下のスクリプトを使用します。

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アートボード用グループを選択して実行するとアートボードを追加することができます。パスだけを選択した場合は、アートボード名を入力するプロンプトが表示されます。こちらもアートボード用レイヤー内にないパスの選択でも実行可能です。


アートボードを書き出す

最近の Illustrator はアセット書き出しやアートボード書き出しの機能が追加・強化がされました。
しかし、書き出しのして方法が煩雑だったり、ファイル名のコントロールがいまいちだったりします。そこで、以前から配布しているアートボードを書き出すスクリプトが活躍します。

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実は、アートボード用レイヤーの名称のデフォルトを「/artboard」にしている理由が、このアートボード書き出しスクリプトと関係しています。
アートボード書き出しスクリプトには、レイヤー名の先頭に「/」があるレイヤーを書き出さない、という指定ができるからです。背景が透過された PNG を書き出すときに重宝します。

アートボード用レイヤー名にわかりやすい接頭辞をつけておけば、書き出し時にコントロールしやすくなるのでおすすめです。


アートボードを選択する

アートボードが増えていくと、目的のアートボードを探すことが面倒になってきます。
このスクリプトを使えば、入力した文字を元にアートボードをアクティブにしつつ、画面中央に表示するので、キーボードだけでアートボードを切り替えることが可能になります。

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以上、#Illustrator のアートボード管理とスクリプトでした。

喫茶店作業のコーヒー代として使わせていただきます!