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夏の往復書簡 2020 : 一之瀬ちひろ ⇆ ひがしちか 4通目

一之瀬ちひろ様

おはようございます。

2つの質問に答えるね。

今私が一番やりたいことは、半径100mの日常の生活。
山奥に移住して2年半。この場所と生活を愛しているの。
家事と、この庭含め、この時間がやりたいこと。

コロナの自粛期間すぐに両店舗を閉めて、webストアの商品を長野の自宅へ送ってもらって、5畳あまりの、狭〜いアトリエ(家の土間部分を今仕事場に)から発送してたの。そんなにご注文が多いわけじゃないのだけど、他の通常業務もありながら、一人でやると大変で。

3月からGW明けまで、子供達は家にいるし、いつもの自分の仕事に加え、オンラインの発送業務と、助成金や、コロナについて調べたり、何よりもお店どうしよう?と、スタッフみんなに休んで!とは言ったものの、お給料全員分払えるかな、今後どうしよう??とか、毎日考えないといけなくて、不安な頭と忙しい体の両方が、パンパンだったな。

友人は、やることなくて、毎日呑んでるよ〜とか、筋トレしているとか、家の片付けしている〜という人も多くて、暇って、最高!と言っているみんなを、私は少し羨ましく思ってた。しかしGWも明けてお店も通常業務へ移行し、在庫をお店に戻し学校もじわじわ始まると、私自身が疲れたのか、仕事を最低限しては、庭にいるようになった。

庭のある場所から、湧き水が出てて、そこを掘りたくなって、3時間くらい掘ると小さな池ができて、その池から、川に流れる道を作って、、、となんだか無心に穴を掘ってた。
そうするとね、自然に疲れとか不安とか悩みが無くなってて、もっと私は土に触れるべきだ!と感じたの。しんどいことしているのに、元気がむくむく湧いてきて、孫悟空みたいに、オラッ〜!(髪が逆立ちキン肉マンのイメージ)ってなっちゃった。土の中にはたくさんの生き物が、それこそ微生物がわんさかいて、ウィルスとか、バクテリアとか多種多様な生き物、目に見えないものの世界がかなり大切なんだなと。

ストレス抱えてる人は、体動かすといいね。脳で抱えたストレスも、体に負荷をかけると、そっちを早くなんとかしよう!と解消してくれているような気がする。ゲームで敵を殺して、ストレス発散している人、心に元気ない人、悩んでる人は、ぜひうちに来て草刈りとか池掘りとか、畑仕事とかやるといいのにと思う。
虫も植物も大量虐殺を孕んだ行為だよ、、本当ごめん、人間って勝手、、、と思いながら、しかし、草刈りの後や畑仕事の後は、とても清々しい。心に元気ない人とか、土や植物や、水に触れる仕事したら元気になるよ!きっと。何時間か水やりとか黙々と畑仕事や、散歩しているだけで、思考が整ってくる。

無心で、無言でただ、掘っていると、今の自分を省みることができて、3日間くらいは掘って掘って石を並べて・・・みたいなことしてた。そしたら、自分たちがこれから使うエネルギーとか下水のあり方、食べ物とか、水とか、確実にこれが要になるなと。それで昔買ったものの、あんまり読んでなかった、ビル・モリソンのパーマカルチャーの本を引っ張り出して、読んでた。

実は一之瀬さんに前にお会いした時、10年でコシラエルの幕を閉じようかなって話したよね。理由は、国産の資材の調達の困難さと、職人さんの高齢化、お修理の部品がない!コシラエルが10年経って気づいたこと↓基本儲からない仕事をしている私・・・という衝撃の事実ね・・・(笑)

でも、コロナで潰れるかも〜って、思ったんだけど、今もなんとか生き延びてる。ずっと潰れそうだったから、コロナに限ったことじゃないわ!って、自分で思えて。逆にコロナでも潰れなかったら大丈夫かも、、、なんて。
それから、何より確信持てたのは、今のスタッフが暗いすし詰めの職安に行くなんて!想像しただけで、やだ!こんな大切な有能な、愛情ある人たちが!勿体無い!って思った。だから、できるだけ、継続したいと。コシラエルという生き物と、コシラエルを育ててくれている今いる大切なみんな(産休中のしほちゃんも!含めるぞ)がよりよく生きていけるように、私の役割がまだあるんじゃないか!とコロナが気づかせてくれた。

なので、一つ目の答えは、もっと明らかなビジョンとしてはパーマカルチャーを取り入れた、半径100mの日常の生活と、半農半傘(コシラエル)かな。

2つ目の答えね。

一之瀬さんのキーワードにピン!っときて、うその「正しさ」という言葉から今感じていること。

正しいことが誰かを今傷つけたり悩ませていることがあるなあと実感してて、私も夫に、自分が正しいと思っていることを指摘して、夫から、「ちかちゃんのいうことは正しいけど、優しくない・・・」みたいなことを言われた時にハッとして。

私意を、あなたもそうするべきだ!と言われたり強要すること、例えば宗教の勧誘とか。信仰は自由だけど、強要するのは不親切だなと。あ、誤解しないでね、私、勧誘とか、お鍋のセールスとかしてないよ!(笑)しかも本人は、正義感や親切心で行ってるってことが、また厄介で。

家族同士だと、もちろん顔を見ている分、健やかなんだけど。SNS上で、他人の誤りを指摘することも正しさはあるけど、その背景や、経緯や、水面下まで見れてないから結果や、十数文字の言葉の世界だけでジャッジしているのは危険なことじゃないかなと。会って話してても誤解や認識の違いなんてざらにあるのに。
あと、物申す時は、一対一で面と向かって言わないと文字だけで伝えるのは、腫れ上がったたんこぶみたいにどんどん〝言葉の世界〟の部分だけ膨れ上がって、ただ見てて悲しくなる。

自粛警察や、電車でも、街中でも、他人の行動を監視する圧力がどんどん人を疑心暗鬼にさせて街の中で、人が人を頼れなくなっちゃう。。。目があっても睨み合う世の中なんて、本当に嫌だなあと思う。

コロナ禍になる前の2019年の10月にオバマ大統領が行ったキャンセルカルチャーについてのスピーチをここに転記しておくね。これ読んだ時、コロナ中のこの世の中にも大事なメッセージだなと思ったの。

「『相手がいかに間違っているか』をツイートしてWokeな気分に浸ることは、アクティビズム(社会をよくする行動)ではない。石を投げるだけでは、社会は変えられない」
「世の中はもっとあいまいなはず。いい人間にも欠点はあるし、戦う相手にも家族はいる。忍耐が必要なのだ」

昨日、香港政府が民主活動家を10人逮捕したニュースを聞き、心が乱されています。

ちょうど、映画『タクシー運転手』を観たばかりで、国って政府って民主主義って、もっと豊かで幸せになるためのツールなのに・・・と、もやもやしている。

もやもやしているのに、外は美しい青空で立派な太陽がいる。
今、午前10時23分 これからアンコ(甲斐犬メス1歳)の体を久々に洗ってあげようと思う。
オンリーディングの杏子さんと同じ名前だね。


今日も良い日を


2020年8月12日  ひがしちか

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~展示情報~

Coci la elle exhibition “ひらく”
2020年9月5日(土) – 9月22日(火祝)
コシラエルの展示会を開催します。
一点ものやオリジナルプリントの傘、日傘、ハンカチなどコシラエルのアイテムをずらりと展示販売いたします。
http://onreading.jp/exhibition/hiraku/

一之瀬ちひろ 『きみのせかいをつつむひかり(あるいは国家)について』展
2020年9月5日(土) – 9月22日(火祝)
一之瀬ちひろによる私家版写真集『きみのせかいをつつむひかり(あるいは国家)について』の刊行を記念して、小展示を開催します。
http://onreading.jp/exhibition/chihiro/


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