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夏の往復書簡 2020 : 一之瀬ちひろ ⇆ ひがしちか 2通目

一之瀬ちひろ様

ナマステ!なんだかそんな気分です。

この前電話した朝ね、むくりと起きて、なぜかトマトの枝芽を取らなきゃって顔も洗わずに畑へ飛び出したの。そうしたらブヨに両脚計6箇所も刺されて今朝のオンラインミーテイングでも、実はフレームアウトしている足先では、長靴みたいに晴れ上がった足を掻かないようにとさすっていたの。

オンラインは共有できてるけど、切り取られているね。それ以上も以下もない それだけのことだけど。身体が同じ空間ででうこととはやはり断然違うね。会っている気がしてるけど。自分の見せたい部分だけを見せれる。インスタみたいだ!

以前お会いしたのは寒い1月だったかな。新宿駅構内の穴場の静かな喫茶店だったね。あの日は3~4年ぶり?だったのかな。2017年に発刊した拙書『かさ』の撮影のためだった。そうだった。障がいのある方に傘を持ってもらいコシラエルのビジュアルを撮影してくださり、駒場の文豪カフェでお話しして、その時に憲法について話して別れてそれ以来だったねー。
月日は早いもので。。。あはは。

新宿のその喫茶店で、ハーブティーをお互い頼んで、その時の話をしつつ、そもそも出会いは、『暮しの手帖』の撮影だったとかお話して。
あの時、いただいた写真集胸に抱いて、帰路の電車でも開くのは勿体ないわと思い。長野に帰った翌日、朝のバタバタ終えて、一人になって静かな時間に開封しました。

写真集の前に、あのテキストがありました。そのテキストは、入り口のドアみたいに私をようこそって写真集へ誘ってくれました。その一連のテキストの階段を登って、ドアを開いて写真集という中に入って、もじもじとまじまじを見つめて、会話して、引いては眺めて、立ち止まったりして、、、、
ドアから出て、「今、ここ」にいました。

その全ての段階が一つの経験になってて、、、、余韻があって。
テキスト部分は実際見てない景色(ビジュアル)なのに、そのドアから出て「今、ここ」にいるのに頭の中でもどちらもたちあがってて、それはそれは映画みたいだったよ。

ずっと、感想を伝えてなかったの、ずっとお伝えしたかった。
ブラボーーーー!!!!!
ああ。ゆっくりと時間をかけて作品を作るとその時間も、ちゃんとこうして受け取れるんだとそれにも感動したよ。花がなぜ綺麗なのか、、、それはその時間も感じれるからかもと思う。咲くまでの時間と。きっとこの花はずっと咲いてはいないという頭の隅にある現実。

国家、憲法という大きすぎるテーマを掲げた勇気と、そこに正対できるのは、政治的なセオリーではなく、ほんの小さな個人の思いなのかもしれないという希望の光が差している気持ちにもなれた。
それが、錯覚なのかもしれないけれど、案外見落としがな大発見かもしれない。

まずあの本を形にして、産んでくれてありがとう。と思いました。どうやって、誰かに届けたらいいのかなあ。この往復書簡で誰かが、興味抱いてくれたらいいね。展示では、プリントも見れるんだよね。きっと。その体感もドアを抜けた向こうなのか。「今、ここ」にある次の経験なのか。楽しみです。写真見るのが好き。なんでかな。考えても分からないけど。現実と非現実が両方あるような感じが虜にするのかな。


あの日刺されたブヨの傷は、膿も収まりあと少し。ムズムズかゆいくらい。
本当にブヨ、嫌い。ちょっとくらい人間にメリットあればいいのに、体の悪いところ直すとか、脂肪吸ってくれるとか、肌が綺麗になるとか。いや、心を広げてメリットを探すとするならば、通常のありがたみだわね。(痒くない平時)コロナ的思考になりつつあるわ。全く。

でもこんな風に、人間に都合が悪いことは完全に除外し、損得で全て考えていく思考になっちゃうのが現代人なのかなと思ったり。

ウィルスやバクテリア、菌が、みんないて、自然界がうまく循環していたはずなのに全て悪だと除外し続けて、滅菌しすぎたためにスーパーウィルスだけが勝ち残り、偏った世界になって、私たちどこへ向かうのだろうかと思うこの頃。コロナになって、すごく思考の転換と気づき、不謹慎だとは重々承知だけどこれからの生活についての大きな転換の産物があったと思える、ただじゃ起き上がらないぞ!産物にするぞ!という気持ちも込めて。

一之瀬さんのコロナ自粛中のこと考えたことなどお伺いしたいなあ。
私の周囲、筋トレした人が多かった笑

子供が起きたので、この辺で。
夏休み楽しんでいるかな。こちらもセミが鳴いて短い夏が来ました。蛍もそろそろ終わりかな。

ではでは またね!
今日も健やかな1日を

2020年8月4日 ひがしちか

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~展示情報~

Coci la elle exhibition “ひらく”
2020年9月5日(土) – 9月22日(火祝)
コシラエルの展示会を開催します。
一点ものやオリジナルプリントの傘、日傘、ハンカチなどコシラエルのアイテムをずらりと展示販売いたします。
http://onreading.jp/exhibition/hiraku/

一之瀬ちひろ 『きみのせかいをつつむひかり(あるいは国家)について』展
2020年9月5日(土) – 9月22日(火祝)
一之瀬ちひろによる私家版写真集『きみのせかいをつつむひかり(あるいは国家)について』の刊行を記念して、小展示を開催します。
http://onreading.jp/exhibition/chihiro/


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