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渡る世間に鬼も神もいない

淡路島を卒業して神奈川に戻ることを決めた時に、SNSで神奈川帰還宣言をして新しいお家探しのご協力をお願いすることにしました。

渡る世間は神ばかり。

今回もきっとよいご縁に恵まれて素敵なお家と巡り合えるだろう。

そう信じて疑わず、世間にいらっしゃる神さまに丸投げするかのごとく「情報求ム!」とお願いすることにしました。

ちょっと話は逸れますが、「渡る世間は鬼ばかり」というテレビドラマがありましたが、よくよく考えるとすごいタイトルだなと思います。

目に映る人が全員鬼に見えてしまうという恐ろしい眼鏡をかけることになった橋田壽賀子さんは、よっぽどのことがあった人生だったんだろうなあとついつい想像してしまいます。

とここまで書いていて、これはわたしの脳内での勝手な解釈だよなあと思ったので、念のため調べてみたら全然違う事実と出会いました!

このタイトルは、相手のことを鬼だと思う自分がすでに鬼であり、自分が鬼でなかったら相手のことも鬼だと思わない、という意味が込められているのだそう。

へー!そうだったんだ!と思わずちょっと感動。

けれどこれもウィキペディア情報なので、わたしの脳内解釈とさほど変わらない信憑性の乏しい情報であることをここで留意しておきたいと思います。


さて話を戻しまして、SNSで発信するとありがたいことに早速数名の方からご連絡がありました。

そのうちのお一人は静岡県の熱海に住んでいる50代の男性で、熱海駅近くで所有しているマンションをお安く貸しますよと親切な申し出をくださいました。

神奈川帰還計画だったので熱海は全くノーマークでしたが、たしかに県境でニアリー神奈川。

というわけで、見学させてもらうために熱海まで行ってきました!

朝10時に熱海駅ロータリーで待ち合わせをして、車に案内してもらうと美人の奥様と二匹の可愛いチワワが迎えてくれました。

そして、一匹のチワワにはこれでもかというほど吠えられる歓迎の儀を受けました。

ひたすら吠えられ続けながら山を上がっていくこと約10分。

海を見下ろす見晴らしのよいところにそのマンションはありました。

お部屋は広く清潔感があって、ベランダからは海と山が見える素晴らしい眺望。

しかもなんと温泉付き!

しかしながら、家庭菜園やガーデニングが暮らしの一部となっているわたしとしては、土に触れられない生活はフラストレーションが溜まって発狂する可能性が十分に考えられます。

というわけで、せっかく案内してもらったのですがご縁には至りませんでした。



マンションを見学させてもらった後、湯河原方面に移動してご夫妻のご自宅にお邪魔させてもらうことに。

そこは野性味溢れる自然豊かな環境。

未開のジャングルへと入っていくワクワク感を掻き立てられるような、ちょっとしたアドベンチャー感覚を味わえるような場所。

海を一望できるダイナミックな景色、新鮮な空気、湧き水のように美味しいお水に感動して思わず口から飛び出した言葉がこれ。

「わたしもここに住みたいです!」

そうしたら、意外な展開へと繋がりました。

三軒先にある別荘を所有しているおじいさんが最近売却を考え始めたとのことで、「今度おじいさんが来たときに聞いてみますね」と言ってくれたのです。

どこまでも親切で優しいご夫妻に胸がジーン…。

やっぱり渡る世間は神ばかりだと思いながらその日はお別れしたのでした。



ところがどっこい、翌日に予期していなかったことが起きました。

メッセンジャーに次から次へとメッセージが届いて、一体なにごとだろう?と思ってそれらを開いてみると、熱海近辺で売りに出されている中古物件情報でした。

中古物件を探して送ってくださいなんてお願いしてないんだけどな…。

そんな違和感を感じつつその物件情報を見てみると、ボロボロの家やがけ崩れの危険性がある家などとても住みたいとは思えないものばかり(汗)

さらに「余計なお節介すみません」と一言添えられて、不動産に対しての考え方が書かれたブログのリンクも送られてきて、モヤモヤはどんどん膨らんでいきます。

胸の突っ掛かりに気付きながらも、「ご丁寧にありがとうございます」と返信して対応することにしました。

すると、翌日もまた中古物件情報が届きました。

それは海沿いにあるこれまた古い汚い建物で、津波が来たら一発でアウトという立地(汗)

しかも、このようなアドバイスも書かれていました。

「佐藤さんが後々カフェとかをやるとしたら良い場所かなと思いました。いかがですか?」

わたしはカフェを開業したいなんて一言も言ってないし、そんな夢は持ってません。

これは望まないコミュニケーションが起きていると判断して、勇気を振り絞って正直に伝えることにしました。

いろいろ探していただいてありがとうございます。
後々カフェを開業するつもりはありませんので、せっかくのご提案ですが遠慮させていただきますね。
わたしの将来までは勝手に決めていただきたくないな…と正直感じました。
ご親切はとてもありがたいのですが、良かれと思っての個人的な考えや価値観の押し付けは、もう少しご配慮いただけたら幸いです。


以前のわたしであれば、言いたいことを素直に言えず我慢をし続けたはず。

失礼なことを言ったらおじいさんの別荘を紹介してもらえないかもしれないからここは我慢しなきゃ。

もしかしたらご近所になるかもしれないから良い人を演じて我慢しなきゃ。

そんな悪魔の囁きに耳を貸して言いたいことが言えなかったはず。

それどころか、「ありがとうございます!どの物件も素敵ですね!海辺でカフェを開く目標を目指してこれからがんばります!!!」とか思ってもないことを平気で言ってしまう人でした。

そして、嘘で塗り固めて取り繕い続けた結果、そのあと取返しのつかない関係性や出来事に発展していってしまうこともよくありました。

このパターンに気づいたのはわりかし最近のことで、そのばかばかしさに気づいたら、なんて無駄なことに時間とエネルギーを費やしてきた人生だったんだろうと思わず脱力。

嫌われようが、怒られようが、全てがおじゃんになろうが、わたしはわたしに素直でいたい。

常に自分の本音に気付いて相手にそれを伝えられるコミュニケーションをとれる人でいたい。

そう思うようになって、違和感を感じる相手の言動に対してようやく正直に伝えるようになってきたところでした。

今回もまるで練習問題のように宇宙が起こしてくれたこの出来事。

染みついた癖が発動しかけてあやうくまた引っかかりそうになりましたが、なんとか踏ん張ってクリア。

結局のところ、相手からはお詫びのメッセージが届いて、頭の中で想像していた悪いことは何ひとつ起きませんでした。

え?!と思うような出来事と出会った時こそ、自分の癖に気付いて超えていくチャンスなんですよね。

そんな練習問題の相手になってくれる人には、ごめんなさいとありがとうとゆるしてくださいのきもちが自然と湧いてきます。


「渡る世間に鬼はなし」

あなたが恐れている鬼はどこにもいないよ。

あなたの世界にあなたを邪魔する人なんて誰もいないよ。

あなたを阻んでいるものは、あなたが自分の頭の中でつくり出している幻想に過ぎないよ。

そもそも神も鬼もいないよ。

それはあなたのその時の見方に過ぎないよ。

このことわざがそんな意味として聞こえてきた出来事でした。



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