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いいから屋根を探せ#2
野宿ベースの生活
一ヶ月間歩いて旅をしていた内9割が野宿だった。
毎日宿を取るお金は用意していなかった(出来なかった)からバッグにキャンプ用のシートと寝袋を括り付けて歩いていた。
何度も質問されたがテントは持ってない。
重いし、毎晩広げる程丁寧な人間と思っていない。
さて、野宿についてだが
歩きながら寝れそうな場所を探す毎日です。
・ベンチ
・屋根
・人気のない公園
これらをキーワードにしてその日寝る場所を探します。
野宿とはいえども場所選びによってはグッスリ寝れる場所も往々にしてある訳です。
逆に野宿をする上でのNGキーワードは
・虫(防ぎ用がない、スプレー必須)
・野良猫(たまにサンダル盗もうとする奴いる)
(縄張り争いうるせえ。)
・住宅街(すぐ通報される。てか気使う。)
・雨(論外)
この辺りになってきます。
旅初日の経験値0 野宿レベル1の僕が選んだ場所は
住宅街にあるベンチです。
AM0:00 天気は星が見える程度の晴れです。
さて次の日どうなるでしょう。
AM3:00 誰かに起こされたように突然目が覚めます。
なぜかうるさい。なぜか寒い。なぜか濡れてる。
、、、
なぜか濡れてる?
急にめちゃくちゃ雨が降ってきました。
もう土砂降りです。
小学生の頃窓の外を見て高揚してしまっていたくらいの土砂降りです。
寝起きの脳味噌で「雨だ!」と気づくまで
体感5秒くらい時間がかかりました。
服、寝袋、バッグ全てがずぶ濡れ。
状況に気づき始めてだんだん腹が立ちました。
多分これを読んでくれてる貴方も起きた途端
自分と自分の周りがずぶ濡れなら意味のわからない怒りに駆られると思います。
母親に「晩飯なに?」って聞いたら無言でビンタされたくらい意味が分からないです。
でね、状況に理解が追いつくのと並行して怒りも増してくる訳なんですがここで僕当たり前のことに気づいたんです。
いくら怒っても雨は止まない。
至極当然だが僕の心を救い出した一言。
怒っても怒っても状況は変わらない。
雨も止まなければ屋根が立ってくれる事もない。
怒りには生産性が無い。
残念ながら雨が降ってる状況下において無意味なのだ。
濡れたことを受け入れ屋根を探すしか無い。
濡れた。
怪我をした。
コーヒーで服が汚れた。
仕事で失敗をした。
彼女にフラれた。
車をぶつけられた。
おっけーわかったわかった。
いいから屋根を探せ。
p.s 雨でずぶ濡れになった僕は近くの橋の下に逃げ込み
服を着替えて寝袋を干した。
防寒できるもの全てが濡れた。
旅に出る前、友達に貰ったウォッカを飲み干して
体を温めて(ロシア人のやり方)ベロベロで寝た。
翌朝、近隣住民の110通報で駆けつけた警察が
ウォッカの空き瓶の横で寝ている僕を起こしてきた。
どうやら橋の下は小学生の通学路だったらしい。
足元にはバナナが置いてた。
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色々と意味はわからないが幸せだった。
バナナを置いてくれてありがとう。
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