ものかきさんにちょうせんじょうに挑戦!

ならざきむつろさん(https://note.mu/muturonarasaki)が行っている

ものかきさんにちょうせんじょう
https://note.mu/muturonarasaki/n/n1302d3ed591a

面白そうなので俺もやるぜ!

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『監視業務』

「あいつだ。脱いだ、脱いだ!」
 汗を拭った。ビルの屋上で伏せたまま双眼鏡を覗く隣にいる相棒の声。興奮していた。「マジかよ。あいつホモかよ! チョーうける」
「どれどれ――」
 俺も双眼鏡を覗きこんだ。向かいのマンションの一室。日焼けした茶褐色の男が二人、抱き合っていた。鍛え抜かれた背筋と尻の割れ目。あともう少しで菊のような模様が見えそうだ。
「お、菊門だな」
「ポケモン? ――ってポケモンってなんだよ」
 相棒は俺に向かって怒鳴ってる。
「ポケモンじゃねーよ。菊門だよ、バカモン。肛門。アナルのことだ」
「アナルのこと?!マジ?!知らなかった!」
 俺の答えを聞きながら、相棒は握りしめてるスマートフォンで菊門を検索していた。タップの勢いが良すぎてディスプレイがぶっ壊れそうだ。 
「おいおい、そんなに重大なことか?」 
「お前が嘘を俺に教えてるかもしれねーからな。まじかこの菊門って言葉を、ヤフーに行って調べるんだ」 
 馬鹿な相棒に落胆のため息を送った俺は、改めて双眼鏡を覗く。
 裸で愛し合っていた男のうち、一人が血塗れだった。もう一人は消えている。 
 クソったれ。しくじった――。
「さて、どうしたものか」 
 汗を拭った。

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