中央集権と地方分権

・2010年4月13日、ブログに公開した文章の転載

 
中央集権制と地方分権制、制度としてどちらがすぐれているか、どちらが望ましいものかは一概にはいえないだろう。
結局は制度がどう機能しているか、政治の実態がどうなっているかの問題だろう。

中央集権制の下で、中央権力の担い手が権力を濫用したり私物化し、腐敗が広がれば、中央に集中した権力を地方権力や中間権力に分散させることによって、改革を行おうとする動きが出てくる。
一方、地方分権制の下で、地方権力の担い手が権力を濫用したり私物化すれば、分散した権力を中央に集中させ、その力で地方権力の腐敗を正そうとする動きが出てくるだろう。

中国の歴史をみると、中央集権的な体制と地方分権的な体制が数百年ごとにいれかわっているが、その一因には今いった理由もあるのだろう(もちろん、それだけではなく、中央権力の力が衰えると地方の実力者が独立をはかり、地方権力者同士の間で覇権争いがおこり、特定の勢力が勝利すると中央集権制が成立する、といったパワーゲームの結果、中央集権制と地方分権制がいれかわっている側面も大きいだろうが)。

日本は、明治維新以降中央集権制をとってきたが、中央官僚による税金の私物化など、中央権力に対する信頼が失われてきているので、道州制の導入など地方分権をめざす主張が唱えられている。
だが、多くの国民にとって魅力的な地方分権の案はまだ提起されていないようだし、力関係においても、中央集権制を維持しようとする勢力、その中で利権を確保しようとする勢力の方が圧倒的に強いだろう。
中央集権制がまだ続いていくのか、地方分権制に移行していくのか、現時点では判断はできないだろう。

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