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「温泉むすめ AKATSUKI 1st Live ~艶~」朗読台本 後編

ぽか旦那・ぽか女将の皆さん、チョイナー!

FC公式ナビゲーターの「宇田川 美湯」です。

先日行われた「温泉むすめ AKATSUKI 1st Live ~艶~」内にて披露した、朗読劇の台本の後編を公開しちゃいます♪

では、温泉むすめ最強グループ「AKATSUKI」結成の秘話の後編をご覧ください♪

○場所:師範学校・音楽室 環綺、『Never ending dream』の作曲中
環綺  「(独り言)うーん……。アイドルっぽくないなあ。こんな曲提出したらスクナヒコさまに叱られちゃう」(環綺、素のモード。声がサバサバとしていて低い)

環綺  「(独り言)てか、結局彗ちゃんにこの曲試聴してもらってないし……」

環綺N 「彗ちゃんがあの子に負けてから一週間。あの日以来、彗ちゃんは一度も学校に来ていない」

環綺  「彗ちゃん、負けず嫌いだからなー……悪いことしちゃったかな」

日向の声「やっほー、環綺ちゃん!」

環綺  「きゃっ! びっくりした……。(キャラ作って)鬼怒川日向……ちゃん」

日向  「日向でいいよ!環綺ちゃん、ここで作曲してるんだね!今の曲なに? 新曲? ちょっと失礼!」

日向  「(音楽にノリながら)~♪」

日向  「んー、ナイス! やっぱこれもいい!」

環綺  「あら、ありがとう♪」

日向  「こないだの曲もすっごくよかったよ!踊ってて楽しかったし、この一週間ずっと頭の中であの曲が流れてるの!環綺ちゃん、もしかして天才?」

環綺  「(グイグイ来られて、面倒くさそうに)あはは……。それで、何か用かな?」

日向  「あ、そうだった! さっき、あたしの机にこんな手紙が置いてあってね」

環綺  「これは……彗ちゃんの字?」

日向  「うん。明日リベンジしたいって」

環綺  「え、もう?」

日向  「そうなんだよ。一週間でどうにかなる実力差とは思えないんだけど」

環綺  「断るの?」

日向  「いや、もっかい環綺ちゃんの曲で踊りたいし、受けるよ! また選曲係してくれるよね?」

環綺  「うん、いいけど……」

日向  「やったー! ねえ、今度は彗ちゃんが踊りやすい曲にしてあげてね!」

環綺  「えー? ハンデってこと?」

日向  「違う違う。しらばっくれちゃってー」

日向  「環綺ちゃん、この前はわざと彗ちゃんが苦手なリズムの曲を選んだでしょ?」

環綺  「(図星で)え?」

日向  「あの人のダンスを見れば分かるよー。慣れてる踊り方とは違う動きをしなくちゃいけなくてぎこちなかったし!あれじゃ何度やってもダメだって!」

環綺  「それは……偶然じゃないかな? なんとなく選んだ曲がたまたま……」

日向  「(遮って)あはは! それはない!あんないい曲を作る人がなんとなくであの選曲するわけないって! 何があったか知らないけどさ、仲直りしなきゃダメだよー?」

環綺  「(やや長めに沈黙して)……」

日向  「フフ♪(環綺をじっと見てるイメージ)」

環綺  「(大きく溜息をついて観念)はあ……。彗ちゃんもそのくらいストレートに褒めてくれればいいのに…」

日向  「? なんて?」

環綺  「なんでもない。私が勝手に彗ちゃんにムカついてただけだから心配しないで」

日向  「ふーん……。環綺ちゃんみたいな天才でも凡人の彗ちゃんにムカつくことがあるんだね」

環綺  「え、凡人?」

日向  「うん」

環綺  「彗ちゃんが?」

日向  「違うの?」

環綺  「彗ちゃんが凡人……。(じわじわと)……ふふ、ふふふ……!」

日向  「?」

環綺  「(気持ちよく笑って)あははははっ!彗ちゃんのことを凡人って言う子は初めて見た! あはははっ!」

日向  「え、あたし何か面白いこと言った?」

環綺  「(前の笑いから続いて)分かった。明日は公平な曲を選んであげる。その代わり、日向にはあのヒーローさんをボコボコにやっつけてもらいたいな♪」

日向  「……? よく分かんないけど、あたしは環綺ちゃんの曲を楽しみにしてるね!」

環綺  「了解♪ で、明日はどこに行けばいいの?」

日向  「んーと、確か手紙に……なんじゃこりゃ? 『ひおとこひうり神社』?」

環綺  「なにって? ちょっと貸して。(読んで)……。……あー……。ここは……」

日向  「?」

環綺  「彗ちゃんってホント……。これじゃまるで、日向が私を誘うのが分かってたみたいじゃない」

日向  「? どゆこと?」

環綺  「火男火売(ほのおほのめ)神社。これ――別府温泉にある神社なのよね」

○場所:別府・鶴見岳山頂(火男火売神社上宮)
日向  「へー、ここが別府の鶴見岳……山頂に神社があるんだね!わあ……いい景色! 環綺ちゃん、下に見えるのが別府温泉だよね?すっごい湯けむり立ってる!」

環綺  「(あくび)ふわぁ……。元気だねー、日向。まだ朝の五時半だよ」

日向  「あたし高いとこ好きなんだよね! しかも貸し切りなんて最高だよ!」

日向  「(少し煽るように)……ねー、彗ちゃん」

彗   「……ここなら邪魔は入らないわ。今度は最後まで踊り通しましょう」

日向  「うん。そっちがついてこれればね」

彗   「努力するわ」

環綺  「えっと、ルールは前回と同じね。私が作った曲を、各々の振り付けで踊る。もちろん、この前とは別の曲で」

彗   「それでいいわ」

環綺  「……彗ちゃん、本当に前と同じルールでいいの?アドリブ勝負だと勝ち目ないと思うけど……」

彗   「あら、そんなに心配かしら」

環綺  「心配というか、確認かな」

彗   「(笑って)ふふ。大丈夫よ環綺。……今回はアドリブではないから」

環綺  「えっ?」

日向  「何してるの? 早くやろうよ!」

彗   「ええ。環綺、曲は?」

環綺  「あ、うん。もう決めてきたよ。かなり昔に作ったやつだけど、アイドルのダンスには向いてると思う。二人とも、準備はいい?」

日向  「いつでもいいよ!」

彗   「(フッと鼻で笑って)……」

環綺  「じゃあ、行くよ。――ミュージック・スタート!」

日向  「ほうほう……(と、耳を傾け)。……うん! 大体分かった! またあたしから行くよ!」


N   「そう言って、日向は楽しそうに踊り始めた。瞬く間に曲調に対応し、細かいステップを刻み始める。先日の曲とはテイストが大きく変わっていたが彼女のリズム感の前には無意味なようだった」


日向  「あははっ! やっぱりいいなー、環綺ちゃんの曲!」

環綺N 「私の曲を踊りたいから勝負を受けるというのは本音だったらしく、日向はほとんど彗ちゃんを気にせず踊っている。彗ちゃんはどんな顔してるかな、と思って私がそちらを見ると……ちょうどその時、彗ちゃんがぽつりと呟いた」

彗   「……この曲、懐かしいわね」

環綺  「えっ?」

彗   「(静かに、深く、一回だけ深呼吸)」

環綺N 「集中力を高めるルーティーン。彗ちゃんは目を閉じ、深く深呼吸して――すらりと扇子を抜いた」

彗   「私も楽しませてもらうわ」

環綺N 「そして、彼女は悠然と踊り始める」

日向  「扇子って……。小道具使ったって、本人の動きが悪くちゃ意味ない(よ)……って、あれっ?」

環綺  「(驚いて)あらら……!」

日向  「え、えっ? うっそぉ……!」

環綺N 「日向から戸惑いの声があがる。私も自分の目を疑うしかなかった」

日向N 「彗ちゃん、この前とは別人だ。速い曲にはまるで合っていなかったのに、今日は余裕でついてきている」

環綺N 「たった一週間で‥。この短い期間で、彗ちゃんはアイドルのダンスを身体に叩き込んできたんだ‥」

日向  「ちょっ、マジ……?」

環綺N 「今のところ互角だ。でも時間が経つにつれ、積み重ねてきたものの差が表れる。身につけてきた基本の差、重ねてきた努力の差、今日に向けた準備の差」

日向N 「『勝てない』――。と、あたしは人生で初めて思った。その瞬間、あたしのリズムが乱れた…乱れたリズムはもう戻せない…勝てない。勝てない、勝てない、負ける、負ける、負け(る)――」

彗   「日向、指先を意識しなさい!」

日向  「……えっ?」

彗   「心の乱れは指先に出る! 集中っ!」

日向  「え、あ、うんっ! えっと……。指先、集中……!」

彗   「そう。全身に神経を張り巡らせなさい。あなたのアドリブは素晴らしい。けれど、その踊り方ではいつまでも曲に合わせて踊らされているだけよ。相手を知り、場を知りなさい。そして、曲を支配する側になりなさい!」

日向  「曲を……支配する……?」

彗   「あなたにはその才能がある! さあ、そのまま集中して踊りきるわよ!」

日向  「――うん! 了解!」


    間


彗   「(しばらく肩で息をして)」

日向  「(同じく肩で息をして)」

彗   「……環綺、勝負は?」

環綺  「(ハッとして)えっ? あー、うん。もうどっちでもいいんじゃない?」

彗   「は? ……きゃっ!?」

日向  「ねぇ彗ちゃん!指先を意識するにはどういう練習すればいいの?日舞やればいいの? なんかコツある? 教えてよ!」

彗   「ひ、日向、近い」

環綺  「彗は日向とアイドルやりたいから勝負したんでしょ?その答えは出たと思うけど」

日向  「うんうん! あたし彗ちゃんと一緒にアイドルやるよ!」

彗   「それは、私が勝ったらという話で……」

日向  「固いこと言わないの!」

彗   「でも」

日向  「(ぐいっと)よろしく、彗ちゃん!」

彗   「……(と、少し困っていたが、やがて)。(ふう、と笑って)……ええ。よろしく」

環綺  「(疎外感で)……」

日向  「いやー、師範学校来て良かった!彗ちゃんも環綺ちゃんもすごいね!あ、そうそう!環綺ちゃんも一緒に……あれっ? どこ行くの?」

環綺  「帰る」

日向  「え!? 一緒にやってくれないの?」

環綺  「だって、私は日向みたいに彗ちゃんに誘われてないし」

日向  「……彗ちゃん!」

彗   「……。誘ってほしかったの?」

環綺  「っ!そういうこと聞く? 普通」

彗   「それならそう言いなさい。機会を待っているだけでは何も手に入れられないわ」

環綺  「(少しワナワナ)うるさいなあ!」

彗   「環綺……?」

環綺  「なんで? なんでそういう言い方しかできないの?そんな言葉じゃ彗ちゃんがどう思ってるか全然分かんないじゃん!」

彗   「……」

環綺  「誰のためとかじゃなくて、彗ちゃんは私が欲しいの、欲しくないの? どっち?」

日向  「(気まずい)あー……」

彗・環綺「……」

彗   「…………ふう(と、深く息を吐いて)…環綺。この一週間、私はこれまで試聴したあなたの曲を全て思い出して、振り付けを考えてきたの。だから今回の勝負、私にとってはアドリブではなかったのよ」

環綺  「思い出したって……。無理でしょ。何曲あると思ってるの?」

彗   「甘く見ないで。あなたが聴かせてくれたメロディは全て覚えてるわ」

環綺  「(息で)……!」

彗   「環綺、あなたの曲が欲しい。私と一緒にやってくれないかしら」

環綺  「……(泣きそうになるのを我慢して)……うん」

日向  「やった! 環綺ちゃんもよろしく……って、あれ? 泣いてる?」

環綺  「……泣いてない」

日向  「えー。泣いてるよね?」

環綺  「泣いてません。日向、黙ろっか?」

日向  「ひっ! こわー……!ねえ、彗ちゃん聞いてよ!環綺ちゃん、彗ちゃんのことボコボコにしてってあたしに(口を押さえつけられ)モゴモゴモゴ!?」

環綺  「はーい♪ 余計なこと言わなーい♪」

彗   「(くすりと笑って)二人とも、そこまでにしておきなさい。ほら――別府湾に朝日が昇るわ」

○モノローグ
環綺N 「あの日、私たちは誓い合った」

日向N 「個人でもグループでも、常に最強の存在であり続けること」

彗N  「そして、『アイドル』という未知の領域に挑む温泉むすめたちを導く太陽として、頂点に君臨し続けること」

日向N 「自らの手で新しい時代を作る。それがあたしたちの使命だと!」

環綺N 「あの日――三人で見た暁の光を、私たちは忘れない。新曲――聴いてください。『暁のDiva』」

(ライブではこの後、新曲の「暁のDiva」を披露)

ぽか旦那・ぽか女将の皆さん、いかがだったでしょうか?

出会うべきして出会った3人。

その3人それぞれの熱い想いが1つになって輝きだした・・・それが最強のグループ「AKATSUKI」。

今後の活躍にも目が離せないですね♪

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