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#1:コンサートに大切なもの

ON music projectとしての活動は、簡単に言うと”クラシックのコンサート”を演奏家の皆さんと一緒に開催していく、と言うものです。
とてもシンプルなもので、つまりは出演してくださる演奏家が納得できる内容で、コンサートを開催していくお手伝いをしているようなイメージです。
仕事内容としては、日取りやホールを決めたり、チラシを作成したり、SNSでの告知をしたり、プログラムの内容を相談したりと、どれも単純明快な事柄だと僕自身は思っているのですが、それらを進める上で、実は一番大切だなと日々感じていることがあります。それは、演奏家自身の気持ちや考えが、それらの細かい事柄にどのくらい反映され、コンサートが彼ら自身の意欲的な取り組みとなっているかどうか、と言うことです。
芸術活動などに限らず、全ての仕事においても当たり前のことですが、”あなたでなくても代わりはいくらでもいる”と言うようなお仕事や物事(そう第三者に見えてしまうものも含めて)には、誰しもが能動的になれないですし、相当な演技力を持ってしても、少なからず人には伝わってしまうものなのではないでしょうか?つまりコンサートに出演している演奏家や音楽家の気持ちが乗らず、誰の演奏でも同じではないか、自分でなくても良いのではないか、と思わされるようなものは、僕にとっては大変残念な取り組みということになります。特にクラシックコンサートと言われる分野では、曲目も同じものを演奏することが多く、言わばカバー曲をどんどん聴かされるようなイメージにも似ています。カバー曲となれば、元々の楽曲の持つ力だけでなく、カバーする人物の魅力がプラスされること、またその人物の力が楽曲を超えるようなものであることでこそ、魅力が相乗効果的に引き出されます。
もちろんプロの演奏家の立場としては、与えられた条件の中で依頼を受けたお仕事をする、パフォーマンスするということは大切なことですし、常に80%の力を出し続けられるのがプロフェッショナルであると思います。ただ、僕自身が演奏家ではなく、コンサートを主催する小さな立場として考えるのであれば、ステージに上がる方々が気持ちよく納得できるものを、能動的に行ってくださるということが、お客様と双方にとって、満足度の高いものになるのではと単純に考えているのです。
それが実は商業的に非効率であるようなことや、綺麗事なのでは?という問題や疑問は常にあるのですが、例えば、自分の会社ではその社員がいつもキラキラして前向きに働いていて欲しいとか、自分のチームでは補欠も一丸となって試合に真剣に取り組んでいるはずだ、というような、社長や監督たちの願いや希望に似たものとして、僕も自分が開催するコンサートにおいては、演奏家一人一人の個性や価値を強く感じ、それが誰の代わりでもない特別なものであるという気持ちで臨みたいと思っているのです。
全員が望みの仕事や就きたい職業を選べる時代までは、まだ少し時間がありそうですが、自身が選んだ物事で仕事をすることの最大の魅力は、自分がまずは納得できる方法で継続できる、ということだと思います。
僕にとってコンサートに大切なものは、出演してくださる人が、誰でもない”あなた”であるという、その魅力に満ちたものであることだと、感じています。

今はこんな風に考えながら、演奏家との関わりを大切に活動を続けています。

2020.4.16 THU

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