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中小企業診断士の二次試験を2回本気で取り組んで落ちた話

需要がないかもしれませんが、2年間本気で頑張ったうえで落ちたとある人物の不合格だった話をいたします。

未来の診断士受験生の今の時期、多くの「じゃない方」が、今の時期の気持ちを吐き出したい、見たくなる、検索して同じ気持ちの人がいた。
そんな記事になることを祈って書きました。

私がここで一番伝えたいのは、二次試験はどんなに頑張っても、毎年18%しか合格しないことです。

そして、この18%にはいるのに必要十分な努力をしても、報われる可能性はせいぜい30~40%程度だということです。(長期的に40%を大きく超える二次受験校・受験支援団体は聞いたことがないので。)。

 勘違いしないでほしいのは、一次試験を突破するだけで普通の人はかなりの労力を要します
 こちらを突破できない方も多数いるわけです。
その高いハードルを突破した猛者たちが初回落ちて、涙を呑んで必死に1年間勉強しても、過半数は落ちる試験が診断士の二次試験です(もちろん努力不足で落ちる人もいますけど。)
 誰が見ても合格だと思える、きらびやかな答案を書けるのは上位1~2%です。そこに私たち一般人が入ることはできません。私たちは、200~239点台にひしめく大多数のB評価という猛者たちを一歩抜け出す必要があり、そして、数少ない合格という名の椅子を奪い合う、椅子取りゲームに参加することになります。
十分な努力をしなくても合格する方もいらっしゃる一方、どんなに必死に努力しても、過半数は落選するのです。この現実は過酷です。
 早期合格者の中には多年度生が何で多年度になるかを想像ができず、「合格する気がないからだ」、「勉強が不足しているからだ」という多年度の現状を想像できない人もいます。確かにそういう人もいるかもしれませんが、ほとんどの人は声も挙げず、必死に勉強したうえで散っていったのです。不合格者の声は届きません。
 合格者や受験生が提供するノウハウは決して間違いではありません。ただ、正解でもありません。
どんなに優秀なノウハウを使って勉強しても、合格可能性が長期的に50%を超えることはないのですから。


多年度生は、年に1度引けるガチャ見たいなものであり、このガチャで合格を引くまで続けられる意思があるか、2回落ちたら0からスタートという、絶望感から諦めるかの違いにあるものと思われます。
この試験を2度落ち、再度受験するには多数の犠牲を払い、合格するための人・物・カネ・情報等、資源を集中させる必要があります。よって家族との大切な時間なども奪われます。ですが、この試験にはほかの資格試験よりもはるかに高い中毒性があり、多幸感が得られるでしょう。
故に年々、多年度生が受験生に占める割合が増え、そうすれば合格に必要な基準が等比級数的に上昇していきます。
 また、一発合格道場のように誰かが善意で受験指導をしたことで、その基準が当たり前となり、より合格へのハードルが上がっていく。
合格が長引けば長引くほど苦しい戦いが続く、そんな試験構成になっていることに気づきます。
 私はこの合格を引くまで続くガチャという輪廻から一旦離脱いたしますが、受験を続行する人の気持ちも理解できています。

ここに2年間本気で戦ったうえで2回とも不合格という過半数側に入った私が、必死に勉強して散っていった記録を残します。

長文・駄文で申し訳ありません。
こんなのだから二次試験を落ちたのだと言われたらそこまでですが。

(1) 自己紹介



私の最終学歴は駅弁程度であり、通称STARSと呼ばれる区分で偏差値は50程度。
職業は公務員です。
受験生や合格者の最終学歴平均基準では、中の下か下の上程度の能力であると認識しています。公務員試験を受験しているので経済学は一度学習しています。また、ファイナンスは趣味として株式投資に知見が若干ありましたが、それ以外はほぼ素人です。そういった状態でのスタートとなります。

※ この試験の受験生は高学歴が多いですので、バッググラウンドをお伝えしないと自分もできると勘違いしがちです。


①受験動機

受験開始の動機は、当時放送していた【ドラゴン桜2】というドラマがあったのですが、自己研鑽の一環として、もっとも大学受験に近そうに見えた中小企業診断士という資格を知り、勢いで通信講座(診断士ゼミナール)を申し込みました。

② 勉強方法

勉強方法は独学と通信のハイブリットで行いました。
片田舎なので通学はできません。
2~3年のうちに費やした金額は30~40万円以上はかかったかなぁと(苦笑)
初年度は十数万円ちょっと、2年目は通信講座等多数課金いたしましたので、少なくとも20~30万円以上はかかっています。

③ 勉強時間


勉強時間はすべてスタディングというアプリで記録しました。但し、通勤やジョギング中の耳勉強・シャドーイングなども行いましたが、その時間は反映していません。それらを含めたら+300h以上は加算されるかも。

初年度
2021年6月~12月 月 50~60h前後
2022年1月~3月  月  70~80h前後
2022年4月~8月  月    90h前後
2022年9月~10月 月    110h前後
 うち 1次試験 900h、2次試験300~400h程度
2年目
2023年1月から4月   月20~30h前後(後述する別の資格試験を受験したので少なめ。)
   5月から7月   月    80h前後
   8月から10月    月   100h前後  
         2次試験 累計650h前後

(2) 1年目の受験体験記

一次試験の使用教材は
・診断士ゼミナール
・過去問マスター(中小を除く6科目)
・TACスピード問題集(経営法務のみ)
・TBC特訓問題集(中小企業経営)
・まとめシート前編+後編、中小企業経営問題集

等を用いました。中小企業経営は過去問が意味ないことは情報収集で理解していたため、ほとんどやっておりません。その代わりに診断士ゼミナール、TBC特訓問題集、まとめシートが作成したオリジナル問題集を中心にアウトプットで学習していたと思います。最初の段階で一発合格を目指していたので、一発合格道場等に掲載されている多数の合格体験記の前例を参照に、一次及び二次の日程を逆算して大まかなスケジュールを作成しました。概ねのスケジュール感をもって取り組みました。

2021年5月から2021年12月までは、診断士ゼミナールと過去問マスターを用いて経済、企業経営理論、財務・会計、運営管理等の4科目と理解に時間がかかるものに加え、事例Ⅳの問題集も並行して行いました。
また、時間のあるこの時期に事例1~3の関連書籍を暇つぶしに読んでいます。
(ザ・ゴールや事例Ⅱの岩崎先生の著書等)

2022年1月から4月までは、診断士ゼミナールや過去問マスターを用いて経営情報システム、経営法務、中小企業経営の理解を深めていくと同時に、ふぞろいを活用した事例1~3の過去問(週に1問程度、過去3年分程度)にも挑戦し、二次試験が難しい試験だというのはこの時点で意識しつつ進めました。毎年恒例の経営法務の過去問マスターが度重なる延期が続き、勉強スケジュールを崩され、やきもきする時期です(笑)

2022年5月からは一次試験までは、主要7科目を皿回しで開始し、同時に事例4の強化(イケカコを含む)も行いました。まあ、イケカコはこの段階ではやらなくともよかったですが(苦笑)

過去問マスターは最終的に5~6周回し、選択肢の説明ができる程度までは押さえました。
運営管理のPERT、経営情報システムのUMLなどは直前まで苦戦し理解できなかったのでした。ぎりぎりまで粘ることで直前に急速に理解が進みました。
アウトプットは過去問マスターを中心に行いましたが、法改正論点の多い、経営法務のみTACのスピード問題集もスマホのアプリが重宝し隙間時間で解きました。中小企業経営はTBCの特訓問題集を中心に補完しました。

模試は、5月にスタディングと6月も大原を受験しました。(大手のTACは7月と、開始時期が遅いため、復習がおろそかになる可能性がありスルーしました。)
 スタディングは本試験と比べ、基礎が中心で簡単なものの、スマホで繰り返し解くことができるので復習教材として非常に重宝します。価格も5月初旬までに購入するとセール価格で購入できるのでお勧め。
 一方、大原模試はマニアックな問題が多く、初見対応力が要求され、繰り返し解く教材としては不向きかなという印象です。それでも数少ない中小企業経営の問題としては、十分活用できました。

一次試験において大事なのはわからないことは、一旦飛ばす勇気を持つこと。
一次試験については、今分からなくとも、後でわかることが多々ある試験です。それよりも膨大な範囲の枝葉よりも幹を抑え、全体のボリューム感を把握することです。
直前期になると急速に理解が進むことがままあります。
 
そんな感じで学習を進め、そして2022年8月。1次試験当日を迎えます。本番と練習は違います。
まず、比較的得意科目(と思い込んでいた)の経済学と財務会計で大きく動揺させられました。え、難しい。何これ?
この試験はいくら勉強してもしきれないなというのが受験直後の印象です。初日を受験した段階では「落ちた」という虚無感でホテルに帰りました。
一方、2日目科目は初日科目よりも比較的簡単だったかな?という印象です。

翌日、自己採点の結果、とりあえず全科目60点以上は取れて、480点程度、無事に1次試験は突破することが出来ました。

2022年8月からは2次試験に専念していくこととなります。

1回目の二次試験で使用した教材は
事例1から3
・ふぞろい及び10年データブック
・全知全ノウ
・0から始める二次試験(まとめシート)

事例4
・全知全ノウ
・30日完成
・イケカコ

1年目は二次について、一発合格道場ブログを非常に活用しました。なかでもだいまつさんの記事は今でも永久不滅の記事です。
あまり細かく書くときりがないですが、毎日のように更新された記事を拝見し、自分の解答プロセスをブラッシュアップしていきます。他には、通勤中に診断士ゼミナールの二次講座やyoutubeで配信している多数の配信者の方の一問一答など耳勉強しつつ運転しておりました。そして本番を迎えます。
結果、1年目は2次試験に300~400時間ほど費やしましたが、36/54/63/61の214点しか取れず、合格まで程遠い位置に自分がいることに気づきました。特に事例1は全く対応できず、私の独学で力をつけるのはこれ以上無理と悟り、通信講座を受講します。

(3) 2年目の受験体験記


二年目に使ったものは
事例1~3
・ふくしま式「本当の国語力」がみにつく問題集【小学生版】
・TBC二次集中講座+6回分のスクーリング
・TAC及びLECの二次模試
・LECの総ざらい道場
・EBAの100字訓練(5月から10月)

事例4
・30日完成
・全知全ノウ
・イケカコ
・TBC二次集中のオプション事例Ⅳ
・律星道場事例Ⅳ問題集
・80点突破!!事例Ⅳ攻略マスターガイド(中小企業戦略研究所)

といったことに取り組みました。

2023年1月~4月までにかけては、保険受験を行わない代わりに、応用情報技術者の勉強を行いました。応用情報技術者は午前試験の場合、過去問がそのまま出題されるなど、勉強すればそのまま得点出来る可能性が高いです。また、午後試験では中小企業診断士で習うストラテジー関係の問題もあり、診断士で学習したことも生かせます。こちらは結果的に合格できたので、苦手な経営情報システムをいつでも免除する権利を得ました。1年目落ちて、保険受験をしないと選択した方は、こういったことに取り組むのも悪くないと思います。

また、この期間においてもTBC二次集中の課題や事例Ⅳ問題集を細々学習しておりましたが、本格再始動するのは前期応用情報試験終了した4月以降となります。
事例1~3についてはTBCのメソッドを身につけるべく、不足している小学生レベルの国語力から鍛えるため、ふくしま式から始めました。国語で必要な「抽象化、言い換える力」、「比較力、比べる力」、「因果力、たどる力」の3つの力を小学生の問題集から行いました。
また、2年目は主にTBCのメソッドを使ってオリジナル問題に取り組みました。また、抽象化ブロックシートや100字訓練などを自分の声でiPhoneに録音し、それを活用したシャドーイングを行い、必要な知識の暗記に努めました。

多年度生で近年の過去問周回だけで合格が叶わなかった方は、初見問題が不足します。
TBCはかなり緻密な取材をしたうえで作問をしており、これだけ高いレベルの作問ができるのはおそらくここだけです。非常に良問ぞろいなので、初見対応力の向上に役に立つと思います。受講生以外でも模試を受験するだけでもその作問レベルの高さは実感できると思います。
LECやTACの模試も受けましたが、やはりTBCの模試が本番に近い感じです。
二次集中の受講生のレベルはかなり高く、私の実力では毎回の課題が常に平均点に届くか否かくらいの中の下程度の成績で1年が終わりました。

過去問についても、おろそかにしないよう、8月から総ざらい道場を用いて平成13年から平成23年についてはどういう出題があったかの確認を行い、平成24年以降の過去問からは、ふぞろい、TBC、まとめシート流の3通りで解説を確認しつつ、2~3周程度、取り組みました。

事例4については、各問題集すべて3~6周以上はしています。どれもよく回しましたが、中でも事例Ⅳに関しては、律星道場さんの事例Ⅳ問題集や戦研セミナーの80点突破!!事例Ⅳ攻略マスターガイドなど令和5年には新規問題集が多数発売され、高い基礎・応用力を身に着けました。
直前でNPVが開眼に近い状態になり、本番もライバルと差がつきそうな大事な問題を解くことはできました。(対して点数は上がらなかったので、NPVが開眼したところで、合格ができないことの証明にはなりましたが…)

そして、こんな感じで1年間みっちり取り組んで迎えた本番。実力は昨年よりも伸びたはずと自己暗示をかけて本番に臨みます。

直前の手ごたえは、事例1や3には至らない点は多々あれど、昨年よりは頑張れたかな、と。

その後、再現答案を作成し、合否を大きく分けそうなNPVは取れたから合格可能性は十分あるだろう、と。

数社の再現答案サービスに応募して結果まで一喜一憂しました。数社にフィードバックして頂き、まずまずの評価を得られます。

そして、発表当日、心臓バクバクのまま、結果を確認します。
手ごたえや予備校の採点結果を踏まえて、事例Ⅱ、Ⅳは合格点以上、事例Ⅰ、ⅢはBのボーダー前後でぎりぎりの戦いになるであろうと考えていました。

しかしながら、そこに自分の番号はなく、不合格という結果となりました。

何がダメだったのか。自己嫌悪など様々な感情はありますが、最も大きい感情は喪失感でしょうか。資格試験は落ちたら何も残りません。落ちたという事実だけ。240点と239点は全然違います。
2回落ちたら修得者ですらなくなるわけです。

その後の得点開示は45/55/53/60の213点でした。
まさかの昨年より全体の点数を1点落としておりました。更にショックを受けます。
事例Ⅱはサブスクを書いているはずで他の採点サービスでも悪くない評価なのに合格点未満。事例Ⅳは傾斜配点によりNPVは点数になっていないか、記入欄を間違えたのか。それは誰もわかりません。

結果は残酷であり、必死に1年間勉強したのに、1点の価値もなかったのかと。

やり切ったうえでの不合格は非常に堪えます。しかも、この1年間の努力はなんの価値もなかったのか。
ここで続けるという判断は現段階では取れませんでした。

非常に長文になって申し訳ありません。それだけ思いを込めて取り組んだ、2年間でした。

どんなに人より頑張っても、思いが届くとは限らない。努力すれば報われる。それは一部の人だけです。

あなただけじゃない。多くの受験生は同じ思いをしています。
でも誰も声は挙げない。歴史は戦に勝った人が作るのです。
敗れたあなたの発言は届かない。現実は過酷。
少なくとも同じ気持ちを持っているのは、あなただけじゃないのはわかってほしい。

便所の落書きですが、いつか、毎年今の時期
さまよってこの記事を見て心が救われる人がいればな、と思います。


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