ジャンベを朝鮮半島の太鼓と勘違いして「叩く」人々
皆さんは太鼓を叩いたこと、ありますか?
演奏に難しい技術を必要とせず、誰もが気軽に楽しめる庶民的な親しみやすさを持つ太鼓は、恐らく日本社会に最も浸透している楽器の一つです。
自分は何年か前に地元の祭りで叩きましたが、祭り以外でも何かしらのきっかけで太鼓を叩く機会に恵まれた経験がある方は結構多いんじゃないでしょうか。
ゲーセンの定番ゲームになるほど沢山の人が叩いている太鼓ですが、叩き方を間違えると恥をかくこともあります。
例えばこういった具合に。
この画像は「いとうちゃん【公式】(@keitaboo2000)」という1.8万人ものフォロワーを抱える政治系アカウントが投稿したツイートのスクショです。
彼が「太鼓でだいたい見破れる」という一言と共に投稿した画像には、太鼓を叩く若者達の姿が写っています。
背後の幟旗に書かれた文字から、これは恐らく反原発系のデモか集会の様子を撮影した写真であることが予測出来ますが、件のツイートを見たTwitterユーザーは口々にこんなことを言い出しました。
「日本の太鼓じゃない」
「日本の和太鼓とは大違い」
それは確かにそうですよね。
少なくとも演奏の際にバチを用いる和太鼓とは異なるタイプであることは一目瞭然です。
実際にこれが海外の太鼓であることは間違いありません。
ですから、ツイートの「だいたい見破れる」という内容の意味が「写真の太鼓が和太鼓ではない」ことを指しているならば正解と言えます。
しかし、彼とそのフォロワーは、この海外から来た珍しい太鼓を意味不明な理由で「叩き」始めます。
件のツイートのリプライや引用RTを覗くと、写真の太鼓を何故か「朝鮮半島由来の太鼓」であると決めつけて嫌韓発言に繋げたり、酷いものだと演奏者を根拠なく朝鮮人だと認定して侮辱したりするような反応が大量に集まっているのが確認出来ます。
どうやら彼らは反原発運動の参加者を「朝鮮半島の太鼓を使っているから日本人ではない」という理由で叩いているつもりらしいのですが……自分は彼らにこう言いたい。
残念ながら本当に叩かれるべきは太鼓でも反原発運動の参加者でもなく、あなた達のほうですよ、と。
だって、この太鼓は朝鮮半島とは全く関係ない、
西アフリカの「ジャンベ」ですから。
個人的にはお笑いコンビ「バイきんぐ」がコントで使っていた印象が強い楽器ですが、ボケ担当の西村さんはプライベートでも趣味でジャンベを叩いているそうです。
ジャンベはネットショッピングから数千円程度で入手可能なこともあり日本にも複数の演奏者やファンが存在します。
まだまだマイナーな楽器ではありますが、バイきんぐ効果で有名になってくれれば今回のようなガバガバ国籍透視も減ると思うので、今後の発展を期待したいです。
ところで、肝心の太鼓が朝鮮半島とは無関係であることが確定してしまった以上、彼らの「反原発運動の参加者は朝鮮人」という主張は何の説得力も無くなってしまったわけですが、そもそも件のツイートに賛同していた人々は一体何を「見破って」いたのでしょうか?
「朝鮮半島 太鼓」で検索すれば写真に写るジャンベとは形状も持ち方も大きく異なる「チャング」の画像がいくらでも出てくるのに、彼らはそれすら確認せず、歪んだ先入観から反原発運動を朝鮮半島と結び付けて叩いていたとでも言うのでしょうか?
記事の始めに「太鼓は難しい技術もいらないし誰でも叩ける」とか書いてしまいましたが訂正します。
世の中にはリテラシーの致命的な欠如が原因で太鼓を叩くのに失敗した人々が少なくとも千人以上存在しました。
この記事を最後まで読んでくれた皆さんはどうか太鼓を正しく、楽しく叩いてくださいね。
あと出来れば「♡」や記事の共有も叩いていってもらえると嬉しいです。