見出し画像

少女革命ウテナ考察2021 第36話

今回は第36話の考察をしたいと思います。前回は緊張してかいたので、今回はもう少し自然体で、自分らしく書こうと思います。なので、どうぞ皆様も気楽に読んでいってください。

第36話 「そして夜の扉が開く」

ー目次ー
①暁生へ想いが強くなる
②選ばれし者となる
③ウテナはアンシーを守り切ったのか?
④理事長室での密会を目撃する

1.ウテナの暁生に対する恋心が強くなっていく場面の考察

序盤はおとぎ話のような、絵にかいた王子様(暁生)とその王子様に恋する女の子(ウテナ)のイチャイチャする様子が描かれている。
一見すると美しく、よくある少女漫画の展開である。しかし、絵にかいたような、よくあるおとぎ話展開こそ、「王子は姫を守るもの」「女の子は王子に守られるもの」という世界の理であり、ウテナが知らず知らずのうちに飲み込まれてしまっている様子を描いている。

2.最後の決闘・選ばれし者となる場面の考察

冬芽はデュエリストのなかでも一番の王子候補である。つまり、王子という存在・ウテナのもつ純粋さや気高さに無意識に憧れ、自分のものにしたいと欲するようになるのは自然な流れである。暁生は、そんな冬芽にウテナを王子様にさせず、女の子として俺から奪い取ってみろと挑発する。暁生の意図は、この世界のイレギュラーであるウテナという存在の芽をつんでしまうことに他ならない。冬芽も西園寺も、世界の果て(暁生)によって用意された棺から自力で這い上がろうともがいていた。加えて、冬芽はウテナも世界の果ての棺から救いだし、普通の女の子にしてやりたかった。そのためにも、世界を革命する力を手にし、世界の果てからの支配から抜け出したかったのだ。ゆえに決闘でウテナに勝つしかなかったのだ。しかし、冬芽はウテナに勝てなかった。決闘中、屋外エレベーターのなかで、ウテナが「姫宮、信じてよ君は必ず僕が守って見せるから。僕が信じられない?」とアンシーに誓った場面が流れる。この場面を見ると、冬芽とウテナは同じこと(大切な人を支配から救い出したい)をしているのに2人の何が違っているのかと疑問に感じるが、それは、冬芽が王子としてウテナを救おうとしたのに対し、ウテナは王子という枠を超えてなおアンシーを救おうとした。そこには世界の理も及ばない特別な力(純粋な心・気高さ)が存在したのだ。それこそ冬芽がウテナに勝てない理由である。筆者には、この時点でアンシーがどの程度ウテナを信じているのかは読み取れないが、そんなアンシーでも冬芽との決闘を経てウテナの強さを認めざるを得なかっただろう。

3.ウテナはアンシーを守り切ったのか?

冬芽との決闘に勝利し、すべての決闘を終え「選ばれし者」となったウテナは、これでアンシーが物のように扱われることはないと安堵する。しかし、決闘で破れた西園寺と冬芽の会話のなかで「終わるのは、最後まで見届けてからだ」という発言どおり、むしろここからが、革命への厳しい道のりの始まりであった。

4.ウテナは理事長室で密会する暁生とアンシーを目撃する

ウテナはアンシーのために純粋な気持ちで闘い、本当にアンシーを守り抜いたようであった。しかし、アンシーを本当の意味で救ったわけではなく、おせっかいな王子様ごっこの範疇であった。寝室での二人の会話で「良かったね姫宮、これで君を狙うやつはいないよ」といったウテナの言葉に、力ない声で「ええ」と一言返事をするアンシー。救われたようには感じ取れない。そしてそのままウテナは寝入ってしまう。「暁生さん」と寝言で言うくらいに、ウテナの心は暁生でいっぱいだった。王子に恋する女の子として、この世界の理に引き込まれてしまっていた。本当にアンシーを救うためには、この世界を革命しなければならないことをウテナはまだ気が付いていなかった。
うたた寝から目覚めたウテナは、理事長室で暁生とアンシーが密会しているところを目撃してしまう。暗闇にたたずむアンシーはうつろな瞳でウテナを見つめていた。その瞳からは「捕らわれの苦しみ」が読み取れる。そんな中、ウテナは愛する人を奪われ、アンシーに裏切られたと動揺するのであった。

あとがき的なもの

ウテナの強さは疑いようがなく、王子という存在を超える革命者としての素質を充分備えていることが事実となりました。しかし、依然として世界の理に引き込まれてしまっていることにウテナ自身が気が付いていないところが何とも不安にさせます。そして、アンシーはそんなウテナをどのようにおもっているのか、次回考察を続けていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?