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少女革命ウテナ考察2021 第39話(最終話)

第39話「いつか一緒に輝いて」

ー目次ー
①運命に支配されるアンシー
②薄情なこの世界
③アンシーの本音と暁生の本性
④人の憎悪に光る百万本の剣と薔薇の花嫁の定め
⑤ウテナの懇願とディオスの慰み
⑥アンシーを解放する者
⑦世界の革命
⑧いつか一緒に輝いて
あとがき

1.運命に支配されるアンシー

アンシーの剣がウテナを貫いた。倒れこむウテナの耳元でアンシーは「あなたは私が好きだったころのディオスに似ている。でも、あなたは私の王子様にはなれない。女の子だから。」といって、刺した剣を再び抜き捨て、ウテナの手から王子の剣を奪った。

38話から続くシーンではありますが、ここではアンシーは薔薇の花嫁(暁生に支配された立場)として暁生の望むようにウテナから剣を奪うしかなかったのだと考えられます。ウテナに「あなたには無理です。女の子だから。」と話すアンシー。その二人の背後にはメリーゴーランドが浮かび上がります。このメリーゴーランドにもちゃんと意味がありますので、お楽しみに!

2.薄情なこの世界

生徒会執行部が、革命という名の決闘を見届けるために集まっていた。しかし、七実は「早くこんな決闘を忘れたほうが良い」と話す。そんな時、樹璃が突然、昔おぼれかけた姉を救おうと川に飛び込んだ少年の話をする。その話の内容は、姉は運よく大人に救助されたが、少年は川に流されてしまい、生死もさだかではない。姉はその少年の名前をすぐに忘れてしまい、冷たい人だと感じたが、自分自身もすぐに少年の名前を忘れてしまった。というものである。七実は「ねえ、どうして今そんな話を?」と問うが、だれも視線を合わせられなかった。

ここでは、どんなに人を救おうと尊いことをしたとしても、誰かのために命を懸けようとも、人々はすぐにその恩を忘れてしまう。ということを表現しています。つまりこの世界は薄情な世界であるといえます。

3.アンシーの本音と暁生の本性

ウテナの剣を暁生に手渡さずに戸惑っているアンシーに、「後悔しているのか?結局、お前の友達を不幸な目に合わせてしまったな。そう、すべては俺のせいだ。こんな俺のことは嫌いになったか?俺がかつてのように王子様を目指していたら、だれも苦しまなかったのかな。」と涙を流す。「お前の傷も苦しみも、いつもこの身に感じている。」と話す暁生に「あなたは、世界のすべてを知ったうえでこの道を選んだ方です。」と涙をぬぐう。暁生は「俺は、お前をすべて知ったうえで、愛している。」と答える。会話の最後には、アンシーは戸惑いながらもウテナの剣を暁生に渡してしまう。歩みだす暁生の背後にはまがまがしい薔薇の幻影が映し出される。そして、暁生は、薔薇の門(世界を革命する力を封印した扉)の前に立った。

アンシーが剣を渡すか戸惑っていたのは、ウテナへの罪悪感と暁生の言う通り後悔の念があったと考えられます。また、革命者としての素質を持つウテナの剣。もしかしたら暁生はウテナの剣で本当に封印を解き、ディオスの力を手にしてしまうかもしれないと危惧していたのかも知れません。

また、暁生はこの場面で涙を流しながら「こんな俺は嫌か?」とか「お前の苦しみはいつも感じている」などと言って同情を得ようとしています。また「お前を愛している」という言葉もありましたが、ここでの暁生は「自分自身がアンシーから愛される王子様になれれば、封印を解いて力を手にできる。」と考えており、どうにかアンシーの心を掴もうと、愛の言葉をかけたり、夜な夜なアンシーを抱いたりしていたと考えられます。しかしながら、全ては自分が力を手にするため。過去には心を開かないアンシーに「まだ俺を苦しめ続けるのか」と責める場面もありました。

一方、アンシーから暁生に対する愛情表現や信頼の言葉などは一切ありませんでした。当然、自分のためだけに力を使おうと世界の果てになった暁生に心を開くわけもありません

また、アンシーの「あなたは世界のすべてを知ったうえでこの道を選んだ方です。」という言葉の意味を考えます。
世界のすべてとは「受けた恩をすぐに忘れる薄情な世界」「力がない者は誰かに依存して生きるしかない世界」ということ以外にも、「神々のルール」も含まれると筆者は考えています。神々として存在していた頃のアンシーが、ディオスを自分だけのものにしようとした(本当は救おうとしていたのだが)ことで罪を課せられた過去があります。言い換えれば「この世は神の力を自分だけのために使うことをタブーとする世界」でもあるわけです。
アンシーの言葉を意訳すると「あなたは、神のルールがあるとわかっていながらも、自らの野望のためにディオスの力を取り戻そうとしている方です。私はそれに反対しようとも、あなたに従う運命(薔薇の花嫁)です。」となります。

4.人の憎悪に光る百万本の剣と薔薇の花嫁の定め

ウテナの王子の剣を手にした暁生が薔薇の門の前に立つと、奈落の底からうめき声と共に「人の憎悪に光る百万本の剣」が暁生めがけて飛んでくる。それを見て暁生はアンシーの名前を叫ぶ。暁生の足元すれすれで剣の軌道が変わり、頭上高く飛び上がっていく。そして、いつの間にか空中にはりつけられたアンシーに向かって、百万本の剣が絶え間なくアンシーの身体に突き刺さっていく。その壮絶な光景を目にしてウテナは絶句するが、暁生は冷静に「王子様の身代わりになって、剣を受ける。それが薔薇の花嫁の定めだ。すべてはアンシーが自ら望んだこと。」といって、封印を破り、新しい世界の扉を開くべく、ウテナから奪った王子の剣で薔薇の門(扉)を破壊しようとする。

「人の憎悪」とは、アンシーがディオスの力を封印したことで神の救いを授かれなくなった人々からの憎悪と考えられます。そしてその憎悪の象徴として百万本の剣が現れるのですが、この百万本の剣は、暁生が王子の剣を携えて薔薇の門の封印を解こうとした時に初めて現れます。
この百万本の剣は、奈落の底から暁生に向かって一斉に飛んでくるのですが、「神の力を奪おうとする存在に攻撃をしかけている」表現であると考えます。暁生は剣が飛んできたのに気がつくとすぐにアンシーを呼びます。薔薇の門の封印を解くためには、この百万本の剣を王子(ここでは暁生)の代わりに薔薇の花嫁に受けさせる必要があったのです。

5.ウテナの懇願とディオスの慰み

暁生がウテナの剣で門(扉)を切りつける度、ウテナもまるで胸を刺されたかのように苦しむ。そして「暁生さん、姫宮を助けてあげて。暁生さん。」と苦しみながら暁生にウテナは懇願する。すると、何処からともなくディオス声がした。メリーゴーランドに乗ったディオスの幻と共に、ウテナも幻の中でお姫様の格好となり、涙を流す。ディオスはウテナに「薔薇の門には奇跡の力がある」と話す。「君には無理だ、君は女の子じゃないか。それに力もない。力があればアンシーを運命から救うこともできる。でもその力をどう使うかは(暁生)が決める」と続ける。絶望するウテナの傍に横たわるディオスは、ウテナの薔薇の刻印に今まで頑張ってきたことへの慰みのキスをしようとするが、ウテナはその薔薇の刻印を拳ごと地面にたたきつけた。その瞬間ディオスの幻も消えた。そして、苦しみながらウテナは自らの力で立ち上がる。

ウテナは、アンシーには背後から刺され、暁生には王子の剣を奪われ、救いたかったアンシーは目の前で傷つけられてしまいます。敵である暁生にアンシーを救ってくれと懇願しますが、もちろん暁生にウテナの声も心も届きません。救いのない、とても可哀想な状況にあります。学園での決闘では無敵だったウテナ。この時はただ自分の無力さに打ちひしがれていました。

そんな時、ディオスの幻がメリーゴーランドと共に現れます。ディオスは何度も何度も「君には無理だ。君は女の子だから。」と繰り返しウテナを追い詰めます。その時のディオスの顔は黒く塗りつぶされていましたが、これはその時ウテナは床に突っ伏しており、どんな表情でディオスが語りかけているかわからなかった事を表現しています。加えて、「何故そんな事をいうのか。ディオスの心が読めない」というウテナの心情も表現されています。
そしてウテナの隣にやってきたディオスはとどめに「そんな悲しむなよ。無力な女の子にしてはよくやった方だよ」とウテナの薔薇の刻印に慰みのキスをしようとします。筆者は当初このシーンがあまりにもショックで悲しくなってしまいましたが、よく見返してみるとこの後にウテナは薔薇の刻印を振り下ろし、立ち上がります。このディオスの叱咤激励(?)によって、ウテナは「無力な女の子の殻」を自ら打ち破り、立ち上がることができたのでした。
その後のディオスはとても寂しげでした。きっとディオスは自分がアンシーを救ってやりたかったはずです。ですが、封印されてしまった自分も、心を捨ててしまった暁生にもアンシーは救えなかったのです。だからこそ、ウテナに全てを託し、傷つけるような事を言っても彼女に立ち上がってもらうほかなかったのでしょう。無力に打ちひしがれていたのはディオスも同じだったのですね。

6.アンシーを解放する者

薔薇の門(扉)を破壊しようと使っていたウテナの王子の剣は折れてしまった。暁生は折れた剣を見て「この剣でもまたダメか。一体いつになればディオスの力を取り戻せるんだ。まあいい。薔薇の花嫁は俺のものだ。いつかは・・・」と言って振り返ると、そこにはフラフラのウテナが立っていた。よく立ち上がれたなと少し驚いた様子の暁生だが、もう王子の剣は折れてしまったからこの封印は解けないと諭す。そんな暁生を振り切ってウテナは薔薇の門(扉)にしがみつく。頭上ではいまだに何本もの剣がアンシーにつきたてられていた。その様子を見てウテナはどうにかして救おうと扉を開けようとする。
ウテナの行動を離れたところから傍観していた暁生は「力がなければ所詮誰かに依存した生き方しかできない。それが世界というものだ。」と話す。「だまれ!」といってウテナは暁生の発言をさえぎる。そして「姫宮。君は知らないんだ。君と一緒にいることで、僕がどれだけ幸せだったか。」と涙を流す。ウテナのその涙の一滴が薔薇の門に共鳴した。

ここでウテナの王子の剣は折れてしまいました。つまり、「ウテナはもう王子にはなれない」=「アンシーを救えない」???と視聴者側の不安を掻き立てます。暁生は折れてしまったウテナの王子の剣を見ながら「薔薇の花嫁がいればいつかは封印を解ける日が来るだろう」と言います。暁生はウテナのことも薔薇の花嫁(アンシー)のことも道具程度にしか思っていないことがうかがえます。

剣を持たず薔薇の門を開けようとしがみつくウテナを遠くから眺める暁生は「力がない者は、誰かに救ってもらわなければ生きていけない」と、ここでも「女である君には救えない」とウテナに言います。アンシーにもディオスにも暁生にも「お前は無力だ。女の子だから。」と言われてきたウテナ。凡人ならアンシーのように運命だといって諦めてしまうか、暁生のように人から奪ってでも力を手に入れてやると考えます。しかし、この時のウテナは既に「女の子は無力である」という殻を打ち破った存在です。暁生の言葉にも「黙れ!」と真っ向から争う強さがありました。
ウテナは、暁生のように無理矢理アンシーの心を壊そうとも、無力な女の子として、他の人にアンシーを救ってくれと懇願することももうしませんでした。ただ、アンシーに涙ながらに語りかけました。ウテナは、アンシーに感謝し、そして心から彼女を愛していたのです。その真実の愛をアンシーに向けるウテナの涙と薔薇の門が共鳴し、アンシーにかけられた罪も、封印されていたディオスの力も解放されたのでした。

このウテナが涙を流す瞬間、暁生の隣に寝ころんでいたディオスは暁生のもとを去っています。(まるで何かを察したかのように)そしてウテナの涙と薔薇の門が共鳴した直後、ディオスはメリーゴーランドの馬に乗りますが、またがった瞬間、本物の馬の鳴き声がします。
筆者は、この話ではメリーゴーランドは「ディオスを封印していた象徴」であると考えます。そしてウテナによって封印が解かれ、ディオスは本物の馬に乗って走り出した(ディオスの力は解放された)ことを表現していると考えます。しかし、ディオスはその先どうなってしまうのでしょうか?寂しそうな姿はディオスという存在の消滅を意味しているのでしょうか?

7.世界の革命

ウテナの涙が扉と共鳴した瞬間、今までアンシーに向かって飛んでいた剣が止まる。薔薇の門を見る暁生。そこには薔薇の門ではなく、大きな棺を今まさに開けようとしているウテナの姿があった。ひどく動揺した様子の暁生は「やめろ!どうなるかわかっているか!やめろ!」と叫ぶが、ウテナは棺を開けた。頭上の剣は大きな渦のようにものすごい勢いで回転を始める。それをみた暁生は絶叫する。そして、世界の果ての世界は崩れ始める。
暗闇の中「姫宮、姫宮」と呼ぶ声に目を覚ます。アンシー。光が射す先にはウテナがいた。「姫宮、やっと会えた」と涙するウテナを見て、呆然としていたアンシーは事態を理解し、ウテナに早く剣から逃げるように叫ぶ。しかし、ウテナはアンシーをこの棺の中から救い出そうと手を伸ばす。アンシーも恐る恐る手を伸ばし、二人の指先は一瞬繋がれるが、棺は傾きアンシーごと下界に落ちていってしまった。
アンシーを救い出せなかったと絶望するウテナ。その上空では何本もの剣が一つの大きな剣となりウテナを襲った。そして、剣の渦は世界の果ての幻の世界を破壊しつくしてしまう。

薔薇の門(封印)が解かれたことで、ディオスの力もまた解放されました。そして、ディオスの力が解放されたことで、アンシーもまた、今まで背負ってきた魔女・薔薇の花嫁の定めから解放され、百万本の剣もアンシーを狙うのをやめたのです。
さらにアンシーがとらわれている棺を開けるウテナ。その姿をみてひどく動揺する暁生。この動揺の意図することは「人(ウテナ)が神(ディオス)の力を手にすることはあってはいけない。何が起きるか予測がつかない」というところにあります。そう考えると、そもそも暁生は世界の果ての力を決闘の勝者(人)に与える気はなかったのでしょう。あくまでも王子の剣を奪うためだけの決闘であったということです。

筆者は、この世界の幻はアンシーがその中に封じ込めたディオスの力を間接的に使い、暁生の思い描く幻想を作り出していたと考えています。(作中ではプラネタリウムが映していると言っていますが…)そのため、アンシーを解放した瞬間から、アンシーが作り出していた世界は崩れ始めます。

そして崩壊の最中、ウテナはアンシーを救いあげようとしますが、アンシーは棺ごと落下してしまいます。ウテナはアンシーを救えなったと絶望し、涙します。
この時、頭上にあった百万本の剣はアンシーではなく、ウテナに襲いかかりました。ここの表現ですが、既にディオスの力はウテナのものになっていると考えられます。そして、百万本の剣も人の憎悪を象徴するものから、ウテナの心を象徴するものに意味合いが変化したと考えます。
ウテナの性格を考えればアンシーを救えなかった自分をひどく責めたでしょう。「こんな無力な自分は消えたほうが良い」と思ったかもしれません。そうした、ウテナの絶望を表すように剣が束になって、一直線にウテナに襲いかかったのです。また、「アンシーを支配から解放したい」というウテナの意志が剣の渦となり、アンシーを支配していた決闘場の幻想を破壊し尽くします。

8.いつか一緒に輝いて

革命をかけた決闘を終え、学園の日常が戻る。今までと何ら変わらない学園であり、生徒会執行部も今まで通り各々の生活を送っていた。しかし、学園の生徒たちはウテナの存在を忘れ始めていた。理事長室で、暁生は世界の果てからの手紙を作成しながら「やはり彼女には革命は起こせなかった。薔薇の刻印の掟は一からやり直しだ」と話す。しかし、アンシーは「あなたには何が起きたかもわからないんですね。いいんです。あなたはこの居心地のいい棺の中でいつまでも王子様ごっこをしていてください」とメガネを机に置いた。そして「あの人は消えてなんていない。あなたの世界からいなくなっただけ。」といって理事長室を去る。ピンクの洋服に白いベレー帽をかぶり、学園の門に立つアンシー。「今度は私が行くから、何処にいても必ず見つけるから。まっててね。ウテナ。」といってアンシーは学園から一歩踏み出した。

ウテナによってディオスの力は封印から解放され、アンシーもまた罪や支配から解放されました。しかし、神の力を手にしたウテナは人間の住む世界には存在できなくなりました。暁生はそのことに気が付きませんでしたが、アンシーはウテナは神の存在になったことを確信していました。暁生の支配から解放されたアンシーは自らの足で暁生から・この世界から離脱するのでした。そして、ウテナがアンシーを見つけたように、今度はアンシーがウテナに会いに旅立つのでした。

以前、暁生はウテナに「本当は星なんてちっとも好きじゃない」と言っていました。また、アンシーも「今夜は本物の星をみたくなかったので」と星を嫌うセリフがあります。ギリシャ神話では星座になることは大変名誉なことです。もしかしたら、元神々の一員であった暁生やアンシーは星座(星・夜空)に劣等感を抱いていたかもしれません。また、暁生は幾度かウテナのことを彗星などに例えます。アンシーは輝くウテナと、もう輝くことはない自分を対比していたかもしれません。そんなアンシーの心を救うように、少女革命ウテナの最後は「いつか一緒に輝いて」という言葉で締めくくられています。これは、純粋にウテナがアンシーと共に無力な女の子という殻を破って幸せに生きていこうというメッセージであったと考えます。また、一方では夜空に輝く双子座のように、二人が寄り添って光り輝く姿を表現した言葉であると考えます。

あとがき

筆者が初めてこの作品を見た時、最終話のアンシーが学園の門を自らの足で出ていくシーンにとても感動したことを記憶しています。当時は、この作品が一体何を表現しようとしていたのか、ちゃんとわかっていませんでした。それでも、このシーンにとても感動し、そこからこの作品が大好きになりました。当時の感動の理由を今振り返ると、長い間たった一人で孤独と絶望の世界にいたアンシーが、輝く希望の世界へと旅立っていった姿に感動したのだと思います。また、主人公であるウテナが消えてしまったことはとても寂しかったです。できれば、二人が幸せになるシーンが見たかったのですが、それは後の映画版で成就されることになります。

さて、今回は本作の一部のみを考察しました。生まれて初めて考察をし、それを文章にまとめてみて、今まで作品の中に散りばめられていた表現の真意を理解できておらず、ほとんどを流してしまっていたことに気が付きました。考察をすることでキャラクターの心情や設定などがはっきりと見えてきたし、なにより作品を見ている中で「?」がだいぶ減って、楽しく作品を見ることができるようになりました。改めて考察してよかったなと感じます。

この作品が表現したかったことは「女の子は無力で、誰かに依存しなければ生きていけない存在という固定概念(世界)を破壊(革命)すること」だったと考えますが、単に勇敢な女の子を主人公にした作品は他にも沢山あります。この作品が秀悦な点は、人物の持つ設定や枠組みを超えた「愛」を表現したことにあります。つまり、この作品はとてもスケールの大きい「革命の物語」であり、また「愛の物語」でもあったのです。

純粋でまっすぐな愛をアンシーに向けたウテナと、その愛に救われていくアンシーの描写がとても美しい作品でした。心から、この作品に出会えたことに感謝したいと思います。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

絶対運命黙示録

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