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また、雨のパレードを聴いている。

自分がこうしたいと思ったものを実際に形にするのは難しい。そう思ったのは、学生のときにフリーペーパーを作っていたときで、自分でいくら雑誌を読んでいた経験があっても、実際にデザインをやってみるとスキル的に自分ができることは少なく、やってみると、別にそうでもないものが出来上がった。

目に見えるデザイン以外でも、誌面の中身にもそれは言えた。好きだった『POPEYE』のようにすることはできず、大人しい真面目な内容になった。正直、つまらなかったと思う。

デザインもそこそこで、内容もそこそこ。無料だったとしても、読む人がいるかわからなかった。そういうものをこの世に生み出してしまったことに、とても腹が立った。

そんなとき、当時好きだった芸能人がラジオで紹介していて、ある方たちを知った。

それが「雨のパレード」というバンドだった。はじめて聴いたのは、『morning』という曲だった。

1回聞くと、なぜだかわかってしまった。この人たちは、自分たちが思い描いているものをそのまま形にできている。1㎜のズレもなく正確に、曲をつくっている、そんな風に思った。実際にはそんなことないのだろうけど。

そうして彼らは、「わたしができなかったことをやってのける人たち」になった。

『morning』以外の、ほかの曲も聞き漁った。You、Change your mind、Summer Time Magicなど「おきにいり」と題したわたしのプレイリストには、雨パレの曲がぞくぞくと増えていった。

あの頃、唯一新曲を追っていたアーティストだった。聴くごとに自分の挫折を思い出したはずだけど、あまり辛くなかったから不思議なものだ。

最近はすっかり韓国の曲ばかりを聞くようになっていたけど、もう一度聴きたいと思うようになった。最近また雑誌をつくるという考えが頭のなかをプカプカしているからかもしれない。

あのときからはもう5年ほどたっていて、今ならもっとこうするといった考えだってある。もしもつくったら、前よりは雨のパレードに近づけるのかな。

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