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クロノジェネシス ~バゴの成長力の偉大さ~


アーモンドアイというスターホースがターフを去った後に、次世代の女帝が君臨するのだから、現代の日本の競馬は凄いとしか言えない。

今に始まったわけではないが、ノーザンファームの層の厚さにも驚くばかり…。

クロノジェネシスは昨年の秋華賞、本年の宝塚記念に次いで有馬記念でGI3勝目を飾った。

斤量が牡馬に比べて軽いとはいえ、そして着差が着差とはいえ、非常に強い勝ち方だった。

本馬は、クラブ法人サンデーサラブレッドクラブの所有馬である。

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(2017年度募集馬カタログより抜粋)

募集価格は…なんと1,400万円。1口35万円である。

昨日の有馬記念勝利で本馬の総収得賞金は8億7千万を超えたのだから、リターンは凄いことになっている。

来年も現役生活を送るので、さらなる活躍が見込まれ、出資者は楽しくて仕方ないはずだ。

2歳9月のデビュー戦を馬体重440kgで出走している通り、1歳の募集時点でも大きな身体では決してなく、むしろバランスは整っているが、

腰高で牝馬らしさ感じられる繊細さ(非力さ)が感じられる馬体構造であった。

馬体に身が入り、能力を発揮できるのは早くはないという見解であったが、

本馬はデビュー2連勝を飾り、GI阪神ジュベナイルフィリーズでも2着と好走した。

そして3歳クラシック3冠を全て走り切り、秋華賞でGI初勝利を飾った。

本年は2000m以上のレースに的を絞り、有馬記念はキャリアで最高体重(474kg)で走り、勝利した。

この成長力は素晴らしい。

これまでで最も距離が長い舞台(2500m)をものともせずに快勝したのは能力の証である。

1歳時点から身体全体フレームに対して胸が非常に深い馬であり、長い距離をこなせる心肺能力を兼ね備えているのは明らかだ。

(※この心肺機能の高さは走力を活かすうえでも重要である。)

2歳戦から活躍し、4歳の12月に大レースを勝つ…馬体の成長も含めて父のバゴの存在抜きには本馬の活躍は語れない。

欧州血統の成長力の奥深さを感じさせられる1頭だと思う。

クロノジェネシスの母系は米国のスピード血統の結晶だ。

ミスタープロスペクターMr. Prospector×サンデーサイレンス×クロフネ。

2歳から活躍できる下地のあるスピード色濃い種牡馬たちが代々掛け合わされている。

この母系にバゴが配合されて誕生したのがクロノジェネシスだ。

ただし、バゴも決して晩成型の競走馬ではない。

自身も2歳時に4連勝でクリテリウム・アンテルナシオナル (仏国G1)を制し、翌年の3歳時に凱旋門賞を制した名馬である。

欧州を代表するオーナーブリーダーであるニアルコス・ファミリーの所有馬であった。

バゴは英クラシック2冠馬の父ナシュワンNashwanの代表産駒であり、さらに遡ると母父バスティノBustinoもクラシックレースのセントレジャー勝ちと4歳時にコロネーションカップGIをレコード勝ちをするなど成長力とスタミナに富む血統。

クロノジェネシスは、母系と父系の秀でた特徴が非常に上手く融合された結晶とも言える存在だと考えられる。

同じくノーザンファームの生産馬であり、先日の朝日杯フューチュリティSで2着だったステラヴェローチェも同様に母系はスピード色の濃い血統構成になっている。

牡馬であり、3歳そして4歳になっての成長力に期待したい。

日本で種牡馬生活を送って来年で16年目を迎えるバゴ。

産駒に未だ後継種牡馬がいないので、クロノジェネシスの活躍の後なだけにステラヴェローチェの将来にも期待したい。



※作者 一口馬主マスターB
Twitter  → https://twitter.com/onemouthmaster2


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