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'Non-issue'であることが画期的:ベルギーの新副首相はトランスジェンダー女性(2020/10の「英語ニュースを読む」講座)

ベルギーで発足した新内閣で、トランスジェンダー女性のペトラ・デ・ステル氏が副首相に任命された。
国外メディアでは大きく報道された彼女の任命だが、本国ベルギーのメディアはほとんど話題にしなかったという。
"non-issue"(ささいなこと)という彼女自身の言葉を見出しに引用した以下の記事から、その理由を読み取ることができる。

As Belgium put its new federal government in place this week, Petra De Sutter, an openly transgender woman, was appointed as Deputy Prime Minister – something that went almost unremarked upon by Belgian media.
ベルギーで今週、新たな連邦政府が発足し、トランスジェンダー女性であることを公表しているペトラ・デ・ステル氏が副首相に任命されたが、国内メディアにはほとんど注目されなかった。


ベルギーとほとんどのEU諸国では、性自認は人を定義するものではなく、取るに足らない問題だとされていることを誇りに思います。まだそうではない国でも、私が大臣と副首相に任命されたことをきっかけに議論が始まることを期待します。


本人のツイートを引用しながら、記事は以下の様に続く:

De Sutter’s appointment has been described as a milestone by LGBTQ organisations in Belgium, mainly because it did not cause a media frenzy in the country.
デ・ステル氏の副首相就任は、国内メディアを騒がせなかったことから、画期的な出来事だとベルギーのLGBTQ団体は評している。
While the news made headlines in several other EU countries, the UK and even the US, Belgian media only mentioned De Sutter’s trans identity in passing, mostly when remarking on the diverse make up of the new government – which consists of 50% women, includes several ministers with a migration background, and is relatively young.
(デ・ステル氏任命の)ニュースはEU数カ国、イギリス、アメリカでも大きく報道されたが、ベルギーのメディアは、女性5割、移民出身の大臣数名、比較的若い閣僚など新政権の多様な構成に言及するついでに、デ・ステル氏のトランス・アイデンティティに触れただけだった。



デ・ステル氏は過去のインタビューで、以下のようにも発言している。

I don’t want to be reduced to my transgender past, it’s [only] one part of my identity. I have many others. I want people to talk about me because of my work, because of my political actions. I don’t think your gender, skin colour, religion or sexual orientation should be that important.
トランスジェンダーの過去だけに、私を簡略化して欲しくはありません。それは私のアイデンティティの一つに過ぎないからです。私にはもっと多くのアイデンティティがあります。私の仕事や政治的行動に関して私を語ってほしい。ジェンダー、肌の色、宗教、性的指向はそれほど重要ではないと思います。



特別なこととして取り上げられない。ニュースにならないことが画期的。
日本の一歩も二歩も、もっともっと先を歩むベルギー。
政治家による差別的発言の絶えない日本が、こうした国に追いつける日はいつだろうか。


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